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線状降水帯は人工的に操作されたもの?【ファクトチェック】

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線状降水帯は人工的に操作されたもの?【ファクトチェック】

梅雨の豪雨に関連して「線状降水帯は人工的に操作されたもの」などという言説が拡散されましたが、誤りです。線状降水帯については現在、研究が進められていますが「人工降雨技術で引き起こすことは不可能」と気象庁は説明しています。 検証対象 2023年6月2日、太平洋側の広い範囲で発生した線状降水帯に関連して「線状降水帯は人工的に操作されたもの」だとする言説が拡散した。 ツイートには「昔こんなのなかったよね。人為的に気象操作して、これを気象庁テレビ新聞までグルになってデタラメ報じて」や「自然現象にしては、不自然すぎるし、明らかになんかやってるだろ」といったツイートがあった(例1、例2)。 返信欄には「観測史上最大という言葉もよくプロパガンダに使われますね」「確かに何故かまっすぐ」などの反応があった。 検証過程 線状降水帯は近年現れた気象現象なのか 気象庁の研究者の調査によれば「線状降水帯」は2000年頃に日本で作られた新しい気象用語だ。「気象学的に厳密な定義は存在しない」が、気象庁用語集の定義では以下のように説明している。 「次々と発生する発達する雨雲(積乱雲

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
東日本大震災での自粛や批判をきっかけに陸上自衛隊で赤飯が廃止された?【ファクトチェック】

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東日本大震災での自粛や批判をきっかけに陸上自衛隊で赤飯が廃止された?【ファクトチェック】

陸上自衛隊で支給されていた赤飯が東日本大震災の際の自粛や批判から廃止されたという言説が拡散しましたが、誤りです。廃止のきっかけは、缶詰からレトルトへパッケージを変えたことでした。 検証対象 陸上自衛隊で赤飯が支給されなくなったことについて、東日本大震災の際に自粛したり、批判されたりしたことが理由だという言説がツイッターなどで拡散した(例1、例2)。毎年3月11日が近づくと拡散しており、2023年も表示回数が100万回を超えたツイートがあった。 リプライ欄を見ても、東日本大震災のときに自衛隊員が赤飯を食べて批判されたことが廃止の原因だと信じている投稿が多数ある。 検証過程 日本ファクトチェックセンター(JFC)は防衛省陸上幕僚監部に問い合わせた。赤飯の支給がなくなったのは事実だが、理由は東日本大震災ではないという。赤飯(缶詰)を支給していたのは1980年頃から2013年まで。廃止の理由は以下の通りだ。 「陸上自衛隊の非常用糧食は、缶詰型から軽包装型(レトルトパウチ)へ変更しております。その検討のなかで新たな献立に変更した結果、赤飯は献立からなくなってい

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
地震は人工的な兵器?専門家が人工地震説を解説【ファクトチェック】

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地震は人工的な兵器?専門家が人工地震説を解説【ファクトチェック】

大きな地震が発生したり、震災からの節目の日を迎えたりするたびに「地震は人工的な兵器」というような人工地震説が拡散します。専門家は震災級の地震を人工的に起こすのは「非現実的」と否定しています。 検証対象 東日本大震災の発生した3月11日の節目に、1995年のニュース23の映像とともに「地震は地震兵器によるものだ」という情報(例1,例2)が拡散した。 映像ではオウム真理教元幹部で、1995年に刺殺された村井秀夫氏が「高度な製造能力を持った団体が毒ガスを散布した」「阪神大震災は大国による地震兵器で起きた」などと主張している。この映像は「ディープステート(闇の政府)が世界を操っている」などという陰謀論と関連付けて、何度も拡散している。中には70万件以上表示されたものもある。 リツイートやリプライでは「すごい。分かってたんだ・・・。」「これは、本当に有る事です」「コレで殺された?」などと同調する一方で、「人工地震は不可能」などと否定するコメントもある。 「ディープステートの存在をメディアで暴露してこの幹部が殺された」などと陰謀論を支持するコメントもある。 この

By 宮本聖二
(動画)暴風で風力発電の風車がバラバラになった?【ファクトチェック】

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(動画)暴風で風力発電の風車がバラバラになった?【ファクトチェック】

暴風で風力発電の風車がバラバラに吹き飛んでいく動画が拡散しました。この投稿をもとに、風力発電への懸念を示す人もいますが、この動画はCGで実際の映像ではありません。 検証対象 馬も逃げ出すほどの暴風が吹き荒れる平原で、高速回転していた風車がバラバラに吹き飛ぶ動画が拡散している(例1、例2)。 投稿には,、20日時点でリツイート・引用ツイートが計5000件を超えているものもある。「風車ってこんな壊れ方するのか」といった引用RTや、「風力発電の成れの果て」といったコメントもある一方で、「いやCGやんどう見ても」「CGにしか見えない」といった指摘もある。 検証過程 検証対象の動画の出元を調査するため、画像検索ツールGoogle Lensを使用したところ、UNITAD TechというFacebookアカウントの投稿が出た。この投稿にある動画には、Instagramのマークとともに「YO_DOJO」と記されている。 Instagramで「YO_DOJO」と検索したところ、Travis Sattlerというデジタルクリエイターのアカウントがヒットした。このアカウン

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
トルコ・シリア大地震でシリアを支援する国はロシアだけ?【ファクトチェック】

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トルコ・シリア大地震でシリアを支援する国はロシアだけ?【ファクトチェック】

トルコ・シリア大地震をめぐって、「シリアを支援している国はロシアだけ」という言説が拡散していますが誤りです。国連機関や日本やアメリカなど各国の政府、非政府組織が支援しています。 検証対象 2023年2月6日に発生したトルコ・シリア大地震について「シリアを支援する国はロシアだけ」という言説が拡散した(例1, 例2)。表示回数が25万回、リツイート・引用リツイートが1000を超えるものもある。(2月28日現在) リプライには「NATOには支援するお金もないのかも!」「正義はロシア」「ひどい。地震のときは助けるべきじゃないか?」と同調するコメントの一方で、「UNHCRで義援金受け付けています」などと反論する内容もある。 検証過程 中東の衛星放送局「アルジャジーラ」は、トルコ・シリア大地震をうけて、世界各国の政府が資金援助や救助隊の派遣、支援物資の供与などの支援を表明・実施していると報じている。記事内では各国による支援の内容が紹介されており、シリアに対する支援を表明・実施している国のなかにはドイツやニュージーランドなどの西側諸国、EUなども含まれている。 ド

By リサーチ チーム
トルコ地震は人工地震?【ファクトチェック】

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トルコ地震は人工地震?【ファクトチェック】

トルコ南部で発生した大地震について「人工地震だ」とする言説が拡散されていますが誤りです。根拠とされている波形データはそもそもトルコ地震のものではなく、実際のデータは自然由来の地震であることを示しています。 検証対象 2023年2月6日にトルコ南部で大地震が発生し、2万3000人以上の死者が確認されたと報じられている(2月11日現在)。この地震について、「トルコ地震波形  p波がなく核実験とほぼ同じ」と、人工地震を示唆する内容の画像付きのツイートが拡散。2月11日時点で2700件以上のリツイート、62万件以上の表示がある。 リプライには「阪神も東日本震災も 全て人工」「日本の省庁にもスパイがいっぱいなんだろうねー。。」など、人工地震だと信じている様子のコメントや、陰謀論に結びつける動きもあった。一方で、「初期微動もきちんと記録されています」などのコメントも見られた。 検証過程 検証対象の図は何を示しているか 大きな地震が発生するたびに「人工地震だ」という言説が拡散する。日本ファクトチェックセンター(JFC)は昨年発生した三重県南東沖地震についても検証

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
(動画)トルコ大地震で津波が起きた?2017年の南アでの撮影されたもの【ファクトチェック】

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(動画)トルコ大地震で津波が起きた?2017年の南アでの撮影されたもの【ファクトチェック】

「トルコ南部で起きた大地震で津波が発生した」とする動画が拡散しています。しかしこれは2017年に南アフリカの港町で起きた高波の映像で、誤りです。 検証対象 2023年2月6日にトルコ南部で大地震が発生し、これまでに8000人を超える死者が確認されたと報じられている(2月8日現在)。この大地震が原因で津波が発生したとする動画付きのツイートが拡散し、表示回数は197万回を超えている。 今回のトルコ大地震による津波ではないというコメントが多くみられる。一方で、「東日本大震災の再来」などのコメントもあった。 ロイター通信はこの動画をファクトチェックし、トルコの地震によるものではないと否定している。 検証過程 検証対象の動画から画像検索ツールであるGoogle Lensを用いて画像検索するとこの動画と同様のものが見つかる。ここから遅くとも2017年3月12日までに撮影されていたものだとわかる。 Facebook上に投稿された動画のキャプションには南アフリカの港町ダーバンで撮影されたと記されている。Google Mapでダーバン付近を探すとゴールデン・マイル・

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
(動画)トルコの地震で原発事故が起きた?【ファクトチェック】

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(動画)トルコの地震で原発事故が起きた?【ファクトチェック】

トルコ南部で発生した地震で、原発が爆発したとする動画が拡散しています。しかしこれは2020年にレバノンの首都ベイルートで起きた爆発事故の映像で、誤りです。 検証対象 2023年2月6日にトルコ南部で発生した一連の地震では、トルコと隣国シリアで合わせて4300人超の死者が出たと報じられている(2月7日現在)。この地震が原因で原発が爆発したとする動画付きのツイートが世界で拡散し、表示回数は100万回を超えている。 動画は、今回のトルコの大地震で起きたものではないという指摘が多く、このアカウント自身も後に「2020年のベイルートの映像」と書き加えている。一方で、「PrayForTurkey」などのハッシュタグで拡散するユーザーも見られた。 検証過程 Twitter Blueによる認証マークの付いた「CBKNEWS」というアカウントのツイートには、以下のような注意喚起がついていた。Youtubeのリンクとともに「このビデオは、2020年8月4日のベイルート港に保管されていた硝酸アンモニウムの爆発事故」と書かれている。 リンクは、イギリスのニュース番組SkyN

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
三重県南東沖で起きた地震は人工地震?【ファクトチェック】

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三重県南東沖で起きた地震は人工地震?【ファクトチェック】

2022年11月14日に発生した三重県南東沖を震源とする地震は「人工地震」という情報が拡散しましたが、これは誤りです。専門家によれば、波形は自然由来の地震と同じでした。 検証対象 2022年11月14日の三重県南東沖を震源とする地震について、「三重県の地震は人工地震ですね」といった情報が拡散し、「人工地震」が一時Twitterでトレンド入りすることもあった。 2022年12月27日時点で2300を超えるいいねがついている。「やはり、そんな気がしています」というコメントがある一方、デマ情報だという指摘もある。また、「やっぱりおかしいですよね 三重が震源地でなぜ、東北で震度4」など、震源地から離れた場所で強い揺れが観測されたことで、人工地震ではないかと考える人もいるようだ。 検証過程  人工地震とは、自然に発生する地震ではなく、爆発物などによって発生させる人為的な地震を意味する。日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ネットで拡散する人工地震の言説について、これまでにも検証している東京大学地震研究所の古村孝志教授に取材した。 波形は通常の地震 「三

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
台風15号で被災した静岡市で給水所に行った車に警察が駐禁切符を切っていた?【ファクトチェック】

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台風15号で被災した静岡市で給水所に行った車に警察が駐禁切符を切っていた?【ファクトチェック】

2022年9月、台風15号で被災した静岡市清水区の給水所で「水を貰いに行った車に警察が駐禁切符を切っていたとの複数の目撃証言」というツイートが拡散しました。県警によると、交通整理のために出動しましたが、駐禁切符を切った事実はないとのことです。 検証対象 2022年9月24日にTwitterに投稿された「【悲報】大雨により取水設備が被害を受け5万世帯以上で断水が発生中の静岡市清水区さん、『仕方なく給水所へ水を貰いに行った車に警察が駐禁切符を切っていた』との複数の目撃証言」というツイートが、1.2万件近くのリツイート、3万件以上のいいねを獲得した。 被災地の給水所で水を貰いに行った車が駐禁を切られたのかを検証する。 検証過程 日本ファクトチェックセンター(JFC)は「給水所付近で駐禁切符を切っていた」といわれる静岡市清水区三保を管轄する静岡県警清水署に取材した。 清水署副署長によると、9月24日に給水所の周辺住民から「給水所付近で渋滞している」「車を出せない」という通報が数件あり、署員を派遣した。「用件が終わり次第、速やかに移動してください」などと交通整

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
【訂正あり】台風で駅が浸水しても陽気なスウェーデンの人々の画像?【ファクトチェック】

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【訂正あり】台風で駅が浸水しても陽気なスウェーデンの人々の画像?【ファクトチェック】

「台風で駅が浸水しても陽気なスウェーデンの人々」という画像が拡散しています。加工された偽物の画像ではと疑う声もありますが、これは浸水した駅で撮影された本物の画像です。 検証対象 2022年9月6日にTwitterに投稿された画像には、浸水した建物内で、複数の人が浮き輪を使ってくつろぐ様子が写っている。「台風で駅が浸水しても陽気なスウェーデンの人々が草」と書かれたこの投稿には6万のいいねがつき、「神適応能力」「たのしそうwいいな」などと反応する人が大勢いる一方で、「CGで作った?」「そもそもスウェーデンに台風ってくるの?この画像は本物なのか?」とネタ画像ではないかと疑う声も見られる。 検証過程 同様の画像はソーシャルメディアで世界中に拡散している。投稿された画像をたどると、ハフポストフランス版に同じ写真が見つかり、撮影されたのは2018年7月29日頃、スウェーデン中部ウプサラの中央駅との説明がある。 この情報をもとにTwitterなどで検索すると、異なるユーザーが、同じ場所で撮ったと見られる別アングルの画像や動画(別アングルの動画)を発信したり、地元メデ

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
なぜニュースにならないの? 静岡県内の水害画像は本物【ファクトチェック】

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なぜニュースにならないの? 静岡県内の水害画像は本物【ファクトチェック】

台風15号の豪雨被害を受けた静岡県内の様子とされる画像がTwitter上で拡散していますが、AIで作成された画像など真偽不明な情報も混じって混乱を招いています。9月25日に「なぜニュースにならないの?」という文章とともに投稿された3枚の画像は、静岡市南部・巴川の氾濫による被害だと確認できます。 検証対象 9月25日午後10時54分、「なぜニュースにならないの?」という文言と共にTwitterに投稿された3枚の画像は、台風15号の被害の凄まじさを示すものとして大きく拡散した。 このツイートを引用する形で「これもフェイクなのか?」「写真には一部フェイクが混ざってる」といった疑念の声も上がった。台風15号被害をめぐっては数多くの投稿があり、その中には別の災害の写真や、AIで作成した画像などがあるためだ。 検証過程 1枚目の冠水画像に関して出典元をGoogle画像検索とTwitter検索で探したところ、Jリーグ・清水エスパルスの地元ファンだというアカウントが9月24日午前5時9分に「結局床上浸水&車2台アウト」と投稿していた。続くツイートで、撮影場所を静岡市清

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
ドローンで撮影された静岡県の災害画像? AIディープフェイクの見分け方【ファクトチェック】

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ドローンで撮影された静岡県の災害画像? AIディープフェイクの見分け方【ファクトチェック】

台風15号による記録的な大雨に見舞われた静岡県をドローンで撮影したとする画像がTwitter上で拡散しています。しかし、これはAIで作られた画像で、後から投稿者も偽画像だと認めています。AI作成の画像を見抜くポイントの解説とともに検証します。 検証対象 2022年9月26日、Twitterアカウント「くろん」(@kuron_nano)が静岡県の台風15号による被害について、多くの建物が水没している3枚の画像と共に、「ドローンで撮影された静岡県の水害。マジで悲惨すぎる…」と投稿した。 引用リツイートには「こんなに酷いんだ」「これスルーて、国葬の為にしてるとしか思えないじゃん!」などと本物の写真だと受け止めるコメントがついたが、同日夕方、投稿者自身が「AIで作った偽の画像だ」と認めた。 その後は「偽情報流すな」「ふつーに騙されてしまった!」「ぱっと見わからん」などのコメントもついた。BuzzFeedJapanのファクトチェック記事も「虚偽画像が拡散」と報じている。 検証過程 画像を検索してみる Googleレンズで1枚目を検索すると、洪水の写真は出て

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