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「(画像)日本政府は汚染水を処理せず福島第一原発からそのまま放出」は誤り【ファクトチェック】

「日本政府は汚染水を処理せず福島第一原発からそのまま放出する」という言説が画像と共に拡散しましたが、誤りです。イラストでは原子炉内の汚染水をそのまま外へと放出していますが、汚染水からトリチウム以外の放射性物質を規制基準値以下まで除去処理する過程が省かれています。

検証対象

「日本政府は汚染水を処理せず福島第一原発からそのまま放出する」という言説が画像と共に拡散した。


このツイートは2000回以上リツイートされ、3500件以上のいいねを獲得している。リプライにはこの言説に賛同する声の一方、「誤解を超えて悪質なイラスト」「上の絵も下の絵も間違っている」などと疑義を唱えるツイートも多くある。

ハフポスト日本版もファクトチェックをし、「誤り」と判定している

検証過程

画像内の「汚染水」は、外に放出されている事から国や東京電力が言う「ALPS処理水」を意味している。

国や東京電力は「汚染水」という表現を福島第一原発事故で発生している高濃度の放射性物質を含んだ水という意味で使っている。一方で「処理水」はトリチウム以外の放射性物質が安全に関する規制基準値を確実に下回るまで、多核種除去設備(ALPS)で浄化処理した水を指す。両者の違いについては、JFCがファクトチェックまとめで詳しく解説している。

「汚染水」の浄化処理について、環境省は以下のように説明している。

  • セシウム、ストロンチウムを浄化処理

  • トリチウム以外の62種類の放射性物質を浄化処理

また、処理水はトリチウムについても安全基準を十分に満たすよう、海水でさらに100倍以上に希釈してから海洋放出する(経済産業省)。

判定

拡散したイラストは、ALPS処理の過程が省かれて原子炉内の汚染水をそのまま外に放出しているように見せているので誤り。

あとがき

このツイートが拡散したのは2023年7月ですが、画像検索をすると、同じ画像で中国語のものが複数のパターンで先に拡散していることがわかります。

どの画像がオリジナルかはわかりませんでしたが、福島第一原発からの処理水の海洋放出をめぐっては、中国政府の関与が疑われるソーシャルアカウントが放出に反対する投稿を拡散させているという指摘があります。

オーストラリアのシンクタンク豪戦略政策研究所(ASPI)が2023年6月に公開した記事によると、ツイッター上で欧米諸国の女性を装ったり、アニメ画像をプロフィールに使用したりしている少なくとも33の正体不明アカウントが海洋放出に反対する600以上のツイートを投稿しており、中国共産党が過去に実施したソーシャルメディア上の影響工作と関係している可能性が高いと分析しています。

検証:リサーチチーム
編集:古田大輔、藤森かもめ

福島第一原発の処理水に関しては、こちらの【ファクトチェックまとめ】もご参照ください。


検証手法や判定基準などに関する解説は、JFCサイトのファクトチェック指針をご参照ください。

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