関東大震災をめぐる「朝鮮人が暴動を起こした」「虐殺はなかった」などの言説を検証 【ファクトチェックまとめ】

関東大震災をめぐる「朝鮮人が暴動を起こした」「虐殺はなかった」などの言説を検証 【ファクトチェックまとめ】

1923年の関東大震災では「朝鮮人が暴動を起こした」「井戸に毒を入れた」などの噂が拡散し、軍隊や警察や自警団などが多数の朝鮮人らを殺害しました。現在も「虐殺はなかった」などの言説が繰り返し拡散します。関東大震災をめぐる主な誤情報を改めて検証しました。

※過去資料に差別的な表現が出てきますが、そのままにしています。

※新たな誤情報の検証を更新していきます(最終更新2023年9月11日)。

震災をめぐり、繰り返し拡散する誤情報

現在も、地震が起きるたびに誤情報 / 偽情報が拡散する。「#井戸に毒」などは、関東大震災での朝鮮人殺傷を想起させる悪質なデマだ。また、毎年9月1日に東京都墨田区の都立公園で開かれる朝鮮人犠牲者追悼式典では「6000人虐殺はなかった」などのプラカードを掲げる行為もある。

関東大震災をめぐっては、内閣府が2009年3月に詳細な報告書を公表した。総理大臣を会長に閣僚や学識経験者などで構成する中央防災会議による「災害教訓の継承に関する専門調査会 報告書」(以下、専門調査会報告書)」だ。過去の大災害の経験を継承する目的でまとめられた。

日本ファクトチェックセンター(JFC)は、専門調査会報告書や当時の資料を参考に「朝鮮人が暴動を起こした」「井戸に毒を入れた」「虐殺はなかった」などの言説を検証した。

関東大震災とは

1923年9月1日 午前11時58分に発生した相模湾北西部を震源とするマグニチュード7.9(推定)の巨大地震。神奈川県、東京府(当時)、千葉県、茨城県、静岡県と広範囲を最大震度7の揺れが襲った。家屋倒壊、火災、津波などで死者10万5000人余り、全半壊21万1000棟以上、焼失21万2000棟以上(全半壊後の焼失を含む)、200万人以上が家を失った(専門調査会報告書 災害概略シート内閣府:「過去の災害に学ぶ23」 )。

画像
上野駅前に避難した人々 右下:皇居前(「関東大震災写真帖」より)

噂の拡散

地震当日の9月1日夕方から「朝鮮人や社会主義者が放火している」という根拠のない噂が出始め、翌2日には「昨夜の火災は不逞鮮人による放火もしくは爆弾の投擲による」「横浜方面から朝鮮人の集団が殺傷、略奪、放火しながら東京方面に襲来」「朝鮮人が井戸に毒を投入」などの情報が拡散した(警視庁編 大正大震火災誌)。
(不逞(ふてい)とは道理に従わず、勝手に振る舞うさまを表す。)

画像
「専門調査会報告書」より

噂の正確な出元はわかっていないが、警察から通達があったという記録が残る。9月2日夜、内務省警保局長が「不逞鮮人取締」を全国に打電、翌3日には郡市町村に通達が出た。神奈川県三崎町(現三浦市)の震災関係書類に「不逞鮮人が罹災者に暴行を加えるだけでなく、井戸に毒を投げるから自衛を講じるよう」に求めた文書がある。(「神奈川県史 通史編5」241ページ)

当時の新聞記事で見ると、発災直後は、多くの新聞が噂を真に受けて記事を書いている。例えば、以下のような内容だ。

「不逞鮮人各所に放火」「200名抜刀して集合」(1923年9月3日朝刊、東京日日新聞=現・毎日新聞)

画像
1923年9月3日 東京日日新聞(現 毎日新聞)朝刊

「不逞鮮人1千名と横浜で戦闘開始 歩兵1個小隊全滅か」(1923年9月4日新聞『新愛知』号外) 

画像
1923年9月4日新聞「新愛知」号外

 当時はラジオ放送開始前で、新聞は日々の出来事を最も早く伝えるマスメディアだった。根拠のない噂だった朝鮮人暴動を、新聞が事実であるかのように広める結果となった。

被災地の市史には当時の日記が引用され、警察からの指示で武装した自警団が組織されたこともわかる。

「この日、午後、警察より『京浜方面の(朝)鮮人暴動に備うる為出動せよ』との達しあり。在郷軍人・青年団・消防団等、村内血気の男子は各々武器を携え集合し、市之坪境まで進軍す」(神奈川県中原村(現・川崎市)青年団員・在郷軍人会員 小林英夫の日記 1923年9月2日・川崎市史303ページ)

朝鮮人による暴動・犯罪はあったのか

当時の司法省が1923年11月に作成した「震災後に於ける刑事事犯及之に関連する事項調査書」は「朝鮮人による殺傷事件は殺人2件、傷害3件が記録されているが、すべて被疑者不詳であり、殺人に関しては被害者も不詳」と記している。

つまり、大規模な暴動などは確認されず、殺人2件についても詳細はわかっていない。蜂起、放火、投毒等については「一定の計画の下に脈絡ある非行を為したる事跡を認め難し」と否定している。

発災当初、朝鮮人への警戒を呼びかけた警察は、実態がわかってくると「朝鮮人の暴動などはデマ」と注意喚起するビラを配布した。9月7日に警視庁が出したビラには「(朝鮮人の暴動など)ありもせぬことを言いふらすと罰されます」と書いている。

画像
9月7日に警視庁が配布したビラ 警視庁「大正大震火災誌」より

当時の警視庁が発行し、国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている「大正大震火災誌」(1925年7月発行)を見ると、第5章「治安保持」にこう書いている。

「震火災によりて、多大の不安に襲われたる民衆は、ほとんど同時にまた流言蜚語によりて戦慄すべき恐怖を感じたり。大震の再来、海嘯の来襲、鮮人の暴動などいへるもの即それなり」
(流言蜚語(りゅうげんひご)とは、事実とは異なる伝聞、根拠のないデマを指す。)

地震とそれにともなう火災で不安に陥った民衆は、大地震の再来や津波や朝鮮人の暴動などのデマにも恐怖した、という意味だ。

また、東京南部の警戒にあたった第一師団は「品川、目黒、池尻、渋谷各方面より不逞鮮人多摩川を渡河して来襲するの報」を受けて斥候(せっこう。監視のために部隊から出す隊員)や小隊を派遣したが、「総て虚報」だったと報告している(東京市役所編・刊「東京震災録」)。

朝鮮人の殺害はあったのか

「専門調査会報告書」で取り上げられた資料の一つ「関東戒厳司令部詳報」の「震災警備ノ為兵器ヲ使用セル事件調査表(東京都公文書館所蔵)」(以下「兵器使用事件調査表」)で、軍や警察による朝鮮人殺傷が確認できる。 

戒厳司令部が陸軍各部隊からの報告に基づいて作成したこの「兵器使用事件調査表」では、軍によって11件53名の朝鮮人が殺害されたと記録されている。警察関係者による朝鮮人殺傷についても、次のように書かれている。

「3日午後に野戦重砲兵第一連隊の兵卒3名が洲崎警察署の要請で巡査5名とともに朝鮮人約30名を移送中、永代橋付近で彼らが逃亡した。隅田川に飛び込んだ17名を巡査の依頼で兵卒が射殺したが、この際飛び込まずに逃亡しようとした他の朝鮮人は多数の避難民 及び警官の為めに打殺せられたり」

つまり、警官と民間人が共同で朝鮮人を殺傷したという記録だ。しかし、警察側の記録ではこの重大な事案は確認できない。

犠牲者数ははっきりとわかるのか

殺害の犠牲者数は、調査によって異なる。記録が残っていなかったり、殺傷を警察が隠匿したと見られる事例があったりするためだ。

「専門調査会報告書」第4章「混乱による被害の拡大」は、「殺傷事件による犠牲者の正確な数は掴めないが、震災による全死者数の1〜数%」と記している。つまり、1000人以上が人間によって殺されたということだ。

当時の司法省と軍がまとめた官庁記録では、殺傷事件の死者数は朝鮮人、日本人、中国人で合計「約577人」(1923年11月30日時点)となっている。

植民地の統治にあたる「朝鮮総督府」も職員を派遣して犠牲者数を調査した。朝鮮人の死者・行方不明者を832人と把握し、一人200円の弔慰金を遺族に支給している(1924年12月朝鮮総督府警務局、「関東地方震災の朝鮮ニ及ホシタル影響」)。

一方、在日留学生を中心に組織された「在日本関東地方罹災朝鮮同胞慰問班」(以下「慰問班」)による調査では6661人だ。そのうち3240人は「屍体さえも探せなかった同胞」(独立新聞1923年12月5日付)と記録されている。また、「天道教徒其の他の鮮人遺骨引き取りの件」という件名の官憲への報告書には警視総監が「彼等(慰問班)の遺骨引き取りの申出に対してはこれを拒絶した」とも記されている(同11月6日付)。

遺体隠匿の規模が大きいのが「亀戸事件」だ。東京府亀戸警察署において、9月4日から5日にかけて、社会主義者、労働運動活動家が陸軍の将兵によって殺害され、朝鮮人も多数殺害された。

遺族や支援者が追求した結果、10月10日になって警察が殺害を認めた。しかし、遺体を隠したり、火葬したりして遺体を確認できなかった。遺体引き取り要求に対して警察は「荒川放水路堤防に於て焼死溺死者や〇〇(鮮人)死体百余名とともに火葬しているから、どれが誰の骨ともわからぬ」と言ったという(「報知新聞」1923年10月14日夕刊)。

朝鮮人以外の犠牲者は

東京府南葛飾郡大島町(現江東区)では、中国・浙江省出身の人々が多数殺されている。「兵器使用事件調査表」はこう記す。「9月3日午後、大島町で警察官40〜50人が連行する朝鮮人約200名と群衆で争闘となり、朝鮮人は全員殺害された」

朝鮮人とあるが、9月16日に警視庁は、殺されたのは中国人労働者だったと外務省に報告している(外務省亜細亜局「支那人王希天行衛不明ノ件」)。

各地で組織された自警団が聞き慣れない言葉を話す日本人を朝鮮人と誤認して殺傷する事態も起きた。司法省が作成した「震災後に於ける刑事事犯及之に関連する事項調査書」(以下「刑事事犯等調査書」)では、民間人が日本人を殺傷した事件として、9月2~7日に8府県46件を挙げている。

千葉県福田村(現野田市)では6日、自警団が、香川県からの薬の行商人たちを言葉が聞き慣れないからと朝鮮人と思い込み、幼児・妊婦を含む9人を殺害した。この事件を題材に、作家の森達也さんが映画「福田村事件」を制作、2023年9月1日に公開される。

警視庁の「大正大震火災誌」によると、東京では、朝鮮人を匿ったとして日本人を日本人と認識しながら殺害した事件もあった。

また、官憲が労働運動家や社会主義者の日本人を殺害する例もあった。甘粕正彦憲兵大尉らによる無政府主義者大杉栄らの殺害は「大杉事件」として知られている。甘粕大尉は、軍法会議で有罪判決を受けた。

鈴木淳東京大学教授インタビュー

JFCは専門調査会報告書の第4章第2節「殺傷事件の発生」を執筆した鈴木淳教授(東京大学文学部日本史学研究室)に取材した。

Q 関東大震災における朝鮮人虐殺を「デマ」と否定する言説があります。

鈴木:朝鮮人に対する殺傷事件で、抵抗の意思がない非武装の人を多数の武器を持った人が襲撃して殺すという、虐殺としか言いようのないことが起こっています。

公文書で立証できるところでは、埼玉県の本庄警察署など、警察が収容している朝鮮人を集団で襲って殺しました。本人は抵抗してもないし、警察が収容しているにもかかわらず襲っている事件があり、それを虐殺と言わないのは無理ではないかと思います。虐殺があったことは、否定できません。

Q:朝鮮人が放火した、暴動を起こした、井戸に毒を入れたということはあったのでしょうか。

鈴木:例えば、爆弾を投げたなどの流言もありましたが、警察の調査では一件もありません。また、井戸に毒を入れたという目撃例もない上に、震災後に警視庁や軍医学校にかなり検体が持ち込まれましたが、一点も毒は検出されていないのが事実です。

震災では大火災が起きましたが、そこでは飛び火などで、燻っていた火が発火したり、保管されていたガソリンが爆発的な燃焼を起こしたことがあったことでしょう。放火や爆弾の投擲などの流言を事実かもしれないと受け入れる環境があったのだと思います。

Q:関東大震災における虐殺事件の意味を、どう捉えていますか。

鈴木:司法省の報告書が、犯人がはっきりして起訴された民間人のみによる殺傷事件だけを取り上げていることから、報告書で示した数が被害者の一部に限られることは間違いありません。

また、殺された人が朝鮮人でも中国人でも日本人でも区別すべきではないので、少なくとも1000人規模の人が犠牲になったと思われます。犠牲者がもっと多かったという説も否定する根拠はありません。

関東大震災で土砂崩れと津波で亡くなった人は推計で1066人です。最低でもそれに匹敵する人間が、人間によって殺されたのです。

日本の歴史の中で特異な規模で特定の民族を標的にした迫害が起こり、虐殺としか言いようがない事件が起こったという事実は動かせないと思います。

あとがき

大規模災害時、被災地では不安や恐怖、緊張が高まり、デマや誤情報が拡散しやすくなります。2011年の東日本大震災でも「津波が再び来る」「放射性物質が黒い雲になって仙台上空に来る」など多くの誤情報が拡散しました。

2016年の熊本地震では「動物園からライオンが放たれた」というツイートが拡散し、発信者が偽計業務妨害で逮捕されました。「リツイートされるのが快感だった」と取り調べに答えています。

災害時の誤情報 / 偽情報は、避難や救護活動に影響を与えます。100年前の関東大震災では、誤った情報が大規模な虐殺まで引き起こしてしまいました。

ソーシャルメディアによって誤情報が拡散するスピードは増しています。 真偽が不確かな情報に接した際は、拡散する前に吟味しましょう。JFCが提供するファクトチェック講座リテラシー講座も参考にしてください。

参考文献

関東大震災 消防・医療・ボランティアから検証する 鈴木淳 著 筑摩書房  2004、講談社学術文庫 2010
数字が語る在日韓国・朝鮮人の歴史 森田芳夫 著 明石書店 1996
関東大震災時の朝鮮人虐殺とその後 虐殺の国家責任と民衆責任 山田昭次 著 創史社 2003 
在郷軍人会 藤井忠俊 著 岩波書店 2009
関東大震災時の朝鮮人迫害ー全国各地での流言と朝鮮人虐待 山田昭次 著 創史社 2014
関東大震災と朝鮮人虐殺  姜徳相  山田昭次ほか 著 論創社  2016
神奈川県史 通史編5 神奈川県庁編 1982
川崎市史 川崎市役所編 1968 

検証:宮本聖二
編集:藤森かもめ、古田大輔、野上英文

【更新】新たなファクトチェック

「関東大震災、朝鮮人が毒を入れようとしたのはデマではなく事実」は誤り【ファクトチェック】
1923年9月1日に発生した関東大震災について「朝鮮人が毒を入れようとしたのはデマではなく事実」という言説が拡散しましたが、誤りです。警視庁が発行した『大正大震火災誌』などの震災後の複数の資料で、朝鮮人による暴動や略奪、投毒などの噂は誤りだったと確認されています。 ※引用した資料には差別的な表現や誤字・脱字と思われる記述がありますが、原文のまま掲載しています。 検証対象 「『関東大震災時に乗じて朝鮮人が井戸に毒を入れようとした』のは『流言』ではなく『事実』であったことを日本人は知らねばなりません」という文言とともに、朝鮮人の犯罪を報じたとする当時の新聞記事のリンクを付けたツイートが拡散した。このツイートは2023年9月8日現在、210万回以上の表示回数と3900件以上のリツイートを獲得している。 拡散したツイートには当初(8月31日時点)、コミュニティノートが付いていた。しかし、9月8日現在、コミュニティノートは見ることができない。 検証過程 関東大震災時に、朝鮮人による暴動や投毒などの犯罪があったのかについては、2023年8月22日、日本ファクトチ
松野官房長官「(関東大震災での朝鮮人虐殺)事実関係を把握する記録は政府内に見当たらない」は不正確【ファクトチェック】
松野博一官房長官が記者会見で、関東大震災をめぐる朝鮮人虐殺について「政府内において事実関係を把握する記録は見当たらない」と述べましたが、ミスリードで不正確です。 政府は2009年に内閣総理大臣を会長とする内閣府の中央防災会議で報告書を出しており、事実関係をまとめた様々な資料とともに「朝鮮人を中心に犠牲者の1%から数%が殺害された」と明記しています。報告書が引用した一次資料には、朝鮮人らが犠牲となった殺傷事件が記録されており、国立公文書館が運営するアジア歴史資料センターなどで保管・公開されています。 検証対象 2023年8月30日、松野官房長官は記者会見で、関東大震災当時の朝鮮人虐殺について「政府内において事実関係を把握することのできる記録は見当たらない」と2回発言した。「令和5年8月30日(水)午前-内閣官房長官記者会見」で確認できる。 問題の発言は動画の6:35ごろから。記者は関東大震災での朝鮮人の殺害について、以下のように質問をした。 「当時、被災地ではデマが広がり、多くの朝鮮人が軍・警察・自警団によって虐殺されたと伝えられています。政府として朝鮮人

判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

毎週、ファクトチェック情報をまとめて届けるニュースレター登録(無料)は、上のボタンから。また、QRコード(またはこのリンク)からLINEでJFCをフォローし、気になる情報を質問すると、AIが関連性の高いJFC記事をお届けします。詳しくはこちら

もっと見る

トランプ関税延期は農林中金が米国債を売却したから? 売却は2024年度【ファクトチェック】

トランプ関税延期は農林中金が米国債を売却したから? 売却は2024年度【ファクトチェック】

トランプ大統領が「相互関税」を90日間延期したのは、日本の農林中央金庫による米国債の売却が影響したという情報が拡散しましたが、誤りです。農林中金が米国債を売却したのは関税に関する発表前の2024年度です。 検証対象 2025年4月11日、トランプ大統領が「相互関税」を延期したのは、日本の農林中央金庫が米国債を売り、米国債の価格低下と金利上昇を招いたからだという趣旨の投稿がXが拡散した。 投稿には、米国債の下落や金利上昇、株・ドル・債券のトリプル安を報じるテレビニュースの画像が添付され、「トランプ『相互関税発動!』→農林中金『バーゼル規制に引っかかって米国債強制決済…』→トランプ『え、米国債売られまくってる…!?ヤバい!関税90日延期で。日本め、報復しないとか言いながら、とんでもないことしやがる』→石破『なんか知らんけど助かった』→世界『日本ありがとう!』」などと書かれている。 4月18日現在この投稿は840万を超える閲覧、リポスト4900を超える。「日本が神風を起こし世界を救う」「相手はともあれ、やっぱり日本は神の国」といったコメントのほかに、「関税発動直

By 宮本聖二
中国大使館「大地震の可能性が高い」と日本への渡航や留学中止を呼びかけ? 地震への一般的な注意喚起【ファクトチェック】

中国大使館「大地震の可能性が高い」と日本への渡航や留学中止を呼びかけ? 地震への一般的な注意喚起【ファクトチェック】

駐日中国大使館が、大地震が発生する可能性が高いことを理由に、日本への渡航や留学の中止、帰国を呼びかけたという情報が拡散しましたが、誤りです。大使館は、日本への旅行や留学については慎重に計画し、不動産の購入は慎重に選択することを勧めていますが、渡航中止や帰国を求めてはいません。 検証対象 2025年4月15日、「在日本中国大使館よりお知らせ『日本では大地震が発生する可能性が高いと想定し、中国国民は日本への渡航や留学を中止するよう勧告します。すでに日本にいる中国国民は直ちに帰国してください!』」という投稿が拡散した。 投稿は中国語の投稿を引用している。引用元の投稿をXの機能で翻訳すると拡散した言説と同じ文言になる。 2025年4月17日現在、この投稿は4300件以上リポストされ、表示回数は307万回を超える。投稿について「えっみんな帰るの!」「これでほんとにあったら人工地震」というコメントの一方で「帰国しろとか、留学するなとかは書いてない」という指摘もある。 検証過程 日本ファクトチェックセンター(JFC)は駐日中国大使館のウェブサイトを確認した。 大

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
兵庫県知事選から考える選挙とファクトチェック 「情報の空白」をいかに埋めるか【情報インテグリティ】

兵庫県知事選から考える選挙とファクトチェック 「情報の空白」をいかに埋めるか【情報インテグリティ】

4月2日の国際ファクトチェックデーに合わせ、一般社団法人セーファーインターネット協会(SIA)/日本ファクトチェックセンター(JFC)が開催した情報インテグリティシンポジウム。この記事ではパネル討論1「選挙と情報インテグリティ」の内容をお届けします。 モデレーター:古田大輔(日本ファクトチェックセンター 編集長) パネリスト: ・澁谷遊野 氏(東京大学大学院情報学環・学際情報学府准教授) ・永田憲亮 氏(神戸新聞社編集局報道部次長) ・西村 健吾氏(TikTok Japan 公共政策本部 公共政策部長) 選挙と情報インテグリティ【パネル討論1】 登壇者の自己紹介 古田:モデレーターを務めます古田です。よろしくお願いいたします。まず最初に、登壇者の皆さまにご自身がどのように情報インテグリティの分野に関わっているか、自己紹介をお願いしたいと思います。 澁谷:澁谷と申します。東京大学大学院情報学環で准教授をしております。私は偽情報やデジタル空間の情報データに関しまして、主にデータ解析の観点から研究に取り組んでおります。 2つの観点から取り組んでおりまして

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
石破首相「トランプ大統領を怒らせてしまった」と発言? まとめサイトによるもの【ファクトチェック】

石破首相「トランプ大統領を怒らせてしまった」と発言? まとめサイトによるもの【ファクトチェック】

石破首相が「トランプ大統領を怒らせてしまった」と発言したという情報が拡散しましたが、誤りです。投稿の見出しは、掲示板サイトのスレッドタイトルからの引用です。本人の発言は確認できません。 検証対象 2025年4月8日、「【悲報】日米電話会談 石破総理『どうやらトランプ大統領を怒らせてしまったようだ・・・』」という投稿が拡散した。 2025年4月17日現在、この投稿は1700件以上リポストされ、表示回数は50万件を超える。投稿について、「トランプには通用しない」「怒らない方がおかしい」と石破首相を批判するコメントがついている。 検証過程 まとめサイトのタイトルは掲示板から 検証対象のリンクは、まとめサイト「2ちゃんねる」の記事だ。 掲示板サイト5ちゃんねるのスレッド「【日米電話会談】 石破総理『どうやらトランプ大統領を怒らせてしまったようだ…』」で、日テレNEWSが2025年4月7日に配信した記事「トランプ大統領『日本は貿易でアメリカをとてもひどく扱ってきた』」を引用元に挙げている。 日テレ記事は、トランプ大統領が石破首相との電話会談の後、SNSに

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)

ファクトチェック講座

JFCファクトチェック講師養成講座 申込はこちら

JFCファクトチェック講師養成講座 申込はこちら

日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。 次回の開講は5月28日(日)午後2時~3時半で、お申し込みはこちら。 https://jfcyousei0518.peatix.com/view 受講条件はファクトチェッカー認定試験に合格していること。講師養成講座は1回の受講で修了となります。 受講生には教材を提供 デマや不確かな情報が蔓延する中で、自衛策が求められています。「気をつけて」というだけでは、対策になりません。最初から騙されたい人はいません。誰だって気をつけているのに、誤った情報を信じてしまうところに問題があります。 JFCが国際大学グロコムと協力して実施した「2万人調査」では実に51.5%の人が誤った情報を「正しい」と答えました。一般に思われているよりも、人は騙されやすいという事実は、様々な調査で裏打ちされています。 JFCではこれらの調査をもとに、具体的にどのよう

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
理論から実践まで学べるJFCファクトチェック講座 20本の動画と記事を一挙紹介

理論から実践まで学べるJFCファクトチェック講座 20本の動画と記事を一挙紹介

日本ファクトチェックセンター(JFC)は、YouTubeで学ぶ「JFCファクトチェック講座」を公開しました。誰でも無料で視聴可能で、広がる偽・誤情報に対して自分で実践できるファクトチェックやメディアリテラシーの知識を学ぶことができます。 理論編と実践編の中身 理論編では、偽・誤情報の日本での影響を調べた2万人調査の紹介や、間違った情報を信じてしまう背景にある人間のバイアス、大規模に拡散するSNSアルゴリズムなどを解説しています。 実践編では、画像や動画や生成AIなど、偽・誤情報をどのように検証したら良いかをJFCが検証してきた事例から具体的に学びます。 JFCファクトチェッカー認定試験を開始 2024年7月29日から、これらの内容について習熟度を確認するJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。誰でもいつでも受験可能です(2024年度中は受験料1000円、2025年度から2000円)。 合格者には様々な技能をデジタル証明するオープンバッジ・ネットワークを活用して、JFCファクトチェッカーの認定証を発行します。 JFCファクトチェッカー認定試験

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
JFCファクトチェッカー認定試験  教材と申し込みはこちら

JFCファクトチェッカー認定試験  教材と申し込みはこちら

日本ファクトチェックセンター(JFC)はJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。YouTubeで公開しているファクトチェック講座から出題し、合格者に認定証を授与します。 拡散する偽・誤情報から身を守るために 偽・誤情報の拡散は増える一方で、皆さんが日常的に使用しているSNSや動画プラットフォームに蔓延しています。偽広告や偽サイトへのリンクなどによる詐欺被害も広がっています。 JFCが国際大学グロコムと実施した2万人を対象とする調査では、実際に拡散した偽・誤情報を51.5%の割合で「正しいと思う」と答え、「誤っている」と気づけたのは14.5%でした。 自分が目にする情報に大量に間違っているものがある。そして、誰もが持つバイアスによって、それが自分の感覚に近ければ「正しい」と受け取る傾向がある。インターネットはその傾向を増幅する。 だからこそ、ファクトチェックやメディアリテラシーに関する知識が誰にとっても必須です。 JFCファクトチェック講座と認定試験 JFCファクトチェック講座(YouTube, 記事)は、2万人調査を元に偽・誤情報の拡散経路や

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)