総理になれるのはほぼ朝鮮人!官報でも確認できる事実?【ファクトチェック】
歴代の内閣総理大臣のほとんどが朝鮮人だという言説が画像とともに拡散しましたが、誤りです。外国籍では首相になれない上に、発信者は「官報で帰化人か確認できる」と主張していますが、帰化した記録は見つかりません。
検証対象
吉田茂以降の歴代首相の名前を一覧にし、「総理になれるのはほぼ朝鮮人!」というツイートが拡散した。
ツイートへのリプライには「政治家になるのもほぼ帰化朝鮮人 日本人探すのが難しい、知事/市長/区長も帰化朝鮮人だらけ」などと同調した投稿がある一方で、「で、あなたや周りの方はその目で官報を確認したのですか?」など疑問も多く投げかけられた。
検証過程
内閣総理大臣は国会議員の中から選ばれる(憲法67条第1項)。国会議員に立候補できるのは日本国民だ(公職選挙法)。つまり、日本国籍がなければそもそも総理大臣にはなれない。
拡散したツイートの発信者は朝鮮人とは「朝鮮系の帰化人」という意味であり、帰化したかどうかは「官報」でわかると主張している。帰化とは、日本国籍を持たない人に国が国籍を与える制度で、法務大臣が帰化を許可した場合に国の機関誌である「官報」に掲載される。
日本ファクトチェックセンター(JFC)が官報情報検索サービスで確認したところ、一覧表にある歴代首相で帰化の記録がある人物はいなかった。帰化をして吉田茂という名を名乗ることになった人は6人いたが、いずれも吉田茂首相の死後の1972年以降だった。
判定
戦後の内閣総理大臣の多くが帰化した朝鮮人だという言説は、誤り。
検証:宮本聖二
編集:古田大輔
検証手法や判定基準などに関する解説は、JFCサイトのファクトチェック指針をご参照ください。
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