台風10号の接近でスパム投稿が急増 アダルトサイトに誘導

台風10号の接近でスパム投稿が急増 アダルトサイトに誘導

非常に強い台風10号が鹿児島県本土に接近、鹿児島県に暴風と波浪の特別警報が出ました(2024年8月28日午後1時)。日本縦断の見込みで各地で被害が予想される中、台風への警戒を装ってアダルトサイトなどに誘導するスパム投稿がX(旧Twitter)で急増しています。

画像をクリックするとアダルトサイトへ

急増しているこれらスパム投稿は、台風の進路予想図などの画像に台風への警戒を呼びかける文言が付いており、一見するとおかしなところはない。

「非常に強い勢力の台風10号(サンサン)は発達しながらゆっくりと北上中です。」

「今後は長時間にわたって暴風雨が続くおそれがあり、台風の特別警報発表の可能性も考えられます。」というニュースのような文面から「台風10号が伊勢湾台風クラスになると発表されたけど、どのくらいの威力かと言うと、伊勢湾台風上陸当時に死者・行方不明者合わせて5000人以上+街が壊滅するレベルの威力で、ガチ目にヤバい台風なんよ…」と呼びかけて、1959年に大きな被害をもたらした伊勢湾台風に触れるものもある。

しかし、画像をクリックするといずれもアダルトサイトにつながる。

また、#台風や#台風10号といったハッシュタグがついているものが多く、台風の情報を求める際に出くわしてしまう可能性がある。そうしたアカウントをクリックしてみると、全く同じ投稿がずらっと並ぶ。拡散を狙っていることは明らかだ。

これらのアカウントは続々と凍結されているが、新しく作られるものもあるために引き続き注意が必要だ。

スパム投稿への対策は

台風情報をXで探す場合は、まず、アカウント名が公的機関や報道機関や気象情報会社などであることを確認することが大切です。地域の情報なら、自治体の防災を担当する部署(名称は、地域防災課、防災推進課、防災危機管理課など市区町村によって異なる)の発信をまず活用しましょう。

こうしたスパム投稿は、台風7号の接近の際にも急増したとNHKが報道しています。確かめないまま、拡散するとユーザーが正しい情報に辿り着けなくなります。注意してください。

検証:宮本聖二
編集:古田大輔、野上英文

判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

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「USAIDが日本メディアを操作」 デマ拡散の背景にある報道不信

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兵庫・百条委員会が議事録をすべて破棄? 県議会サイトで公開【ファクトチェック】(追記あり)

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兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラの疑いなどで告発された問題で、調査をしている県議会百条委員会が、議事録を公開せずにすべて破棄したという情報が拡散しましたが、誤りです。議事録は県議会のウェブサイトで公開されています。 検証対象 2025年2月18日、兵庫県議会の百条委に関して、「百条委員会の議事録は全部破棄ってホントですか? 全部公開されずに破棄? 兵庫県議員アタマオカシイやろ」という情報が拡散した。 この情報に対して「百条委員会に使った金は委員に全部払ってもらうしかないな」「そもそも百条委員会がデマだったということか」などのコメントがついているほか「兵庫県文書問題会議録で全部見ることできるけど」と疑問を投げかけるものがある。 検証過程 兵庫県議会は2024年6月13日、地方自治法百条に基づいて斎藤知事のパワハラ疑惑などを調べる「文書問題調査特別委員会(通称:百条委員会)」を設置した。 6月14日から始まった委員会は、2025年1月27日まで計15回開かれている。県議会は、12月25日の分を除く、計14回分を 議会検索システムで公開している。「会議録の閲

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