(能登半島地震)隆起で障害と化した消波ブロック?【ファクトチェック】

(能登半島地震)隆起で障害と化した消波ブロック?【ファクトチェック】

「隆起の影響で消波ブロックが汀線部障害と化した」という言説が画像とともに拡散しましたが、誤りです。添付の画像は、2020年に陸上自衛隊が北海道で、敵の車両の上陸を防ぐ演習のために設置したものです。

検証対象

2024年1月13日、「隆起の影響で完全に汀線部障害と化した消波ブロック」というコメントと共に、浜辺に消波ブロックが並ぶ画像がX(旧Twitter)で拡散した。

汀線(ていせん)部とは、 「海面と陸地とが接する線」のことである。

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2024年1月16日現在、このポストは1700回以上リポストされ、表示回数は100万回を超える。

能登半島地震で、沿岸部の海底が総延長約85キロにわたって隆起し、陸地となったと報じられた直後だっただけに、石川県で起きたことのように誤解させる恐れがある投稿だ。

検証過程

日本ファクトチェックセンター(JFC)が、ポストの画像をGoogle画像検索したところ、拡散した画像と完全に一致するものが見つかった。

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一致したのは、「陸上自衛隊幌別駐屯地(公式)」の広報用Xアカウントによる2020年9月8日のポストだった。

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陸上自衛隊幌別駐屯地(公式)のポスト(2020年9月8日)

このポストは、2020年8月24日から29日にかけて、北海道天塩町の訓練場であった「令和2年度北部方面隊総合戦闘力演習」を伝えるものだ。障害物は敵車両の海や空からの着上陸を妨害するため、汀線部(陸と海面の境界)に設置されたという。

2020年8月の北部方面隊総合戦闘力演習の様子は、防衛日報デジタルや陸上自衛隊北部方面隊広報紙あかしやでも確認できる。拡散した画像とは別アングルの写真もある。

判定

拡散した消波ブロックの画像は、北海道での自衛隊の演習用に置かれたもので、隆起の影響によるものではない。したがって、誤り。

あとがき

能登半島地震での出来事だとする、あるいは見た人を誤解させるような今回の震災と関係のない過去の画像や映像が拡散しています。

びっくりするような画像、動画を見たときは、それをマスメディアが報道していないか確認してみる、あるいはGoogle画像検索などで確かめる習慣をつけましょう。

JFC では、画像検索や動画の検証手法を学べるファクトチェック講座を公開しています。ご活用ください。

検証:鈴木刀磨、高橋篤史
編集:宮本聖二、藤森かもめ、古田大輔

災害で拡散する偽情報の5類型

災害時に広がる偽情報5つの類型 地震や津波に関するデマはどう拡散するのか
地震や津波、洪水など大きな災害が発生すると、偽情報や根拠のない情報が拡散します。事実と異なる投稿や不確かな救助要請は、本当に助けを必要としている人たちへの支援を遅らせたり、妨げたりする恐れがあります。拡散しがちな偽情報・誤情報のパターンを知って、支援を妨げないようにしましょう。 災害時の偽情報の5類型 実際と異なる被害投稿 災害時に最も多く見られるのが、偽の被害報告だ。2024年1月1日の能登半島地震では、2011年の東日本大震災の津波の映像を使って、まるで能登半島地震の被害のように投稿する事例が相次いだ(例1、例2、例3、例4、例5 、例6)。 例2と例3を投稿した2つのアカウントは添付動画は異なるが、投稿文言は同じで「津波到達になった瞬間NHKのアナウンサーがすごい怒鳴ってる!危機感の伝わってくるアナウンスなので北陸新潟能登半島の方逃げてください」と書かれている。投稿内容をコピーしたと見られる。 例5の投稿は「石川県能登に大津波警報逃げろ」という文言に「#東日本大震災」というハッシュタグもついている。映像は東日本大震災のものだと示唆しているように読

検証手法や判定基準などに関する解説は、JFCサイトのファクトチェック指針をご参照ください。

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