クルド人が使用許可を取らずに 公園で勝手にお祭り? ニュース映像に虚偽のテロップを追加【ファクトチェック】
「公園の使用許可が出ていないのに、 勝手にお祭りをするクルド人」という言説が拡散しましたが、誤りです。許可をとって公園を使用しています。拡散した動画には虚偽の内容のテロップが付け加えられています。
検証対象
2024年8月15日、「公園の使用許可が出ていないのに、 勝手にお祭りをするクルド人」とする動画が拡散した。
この投稿は2024年8月19日時点で3900件以上リポストされ、表示回数は30万件を超える。「やりたい放題ですね」「政府はバカなの?」というコメントのほか、「ちゃんと埼玉県の許可を取っている。この出店の横に、県の公園職員も居た」という疑いの声もある。
検証過程
検証対象の動画の右上の字幕にあるように「一部市民の抗議も 在日クルド人 新年を祝う祭り開催」とGoogle検索すると、Yahoo!ニュースに配信された日テレNEWS の記事が見つかる。
この日テレNEWS の記事は2024年3月20日に配信された、さいたま市の秋ヶ瀬公園でのクルド人の新年を祝う伝統的なお祭り「ネウロズ」に関するものだ。「ネウロズ」は、「国を持たない世界最大の民族」と呼ばれるクルド人の「春を告げる」お祭りだ。埼玉のネウロズは19年前から続く(NHK)。
2024年3月20日開催のネウロズでは「SNSを中心にしたクルド人批判もあり、会場には開催に反発する人も訪れた」という(読売新聞)。
日テレNEWSの記事にある動画の0:55ほどから、検証対象と同じ映像が見つかる。ただし、元の映像に「無許可で公演を占拠(原文ママ)」というテロップはない。
また元記事には「当初は、『安全の確保が難しい』として公園の使用許可が出ませんでしたが、協会とクルド人を支援する団体が協議を重ね、条件付きで開催が許されました」とあり、無許可で公園を占拠したとは報じていない。
2024年3月5日に、埼玉県の公益財団法人埼玉県公園緑地協会がクルド人の祭りを3月下旬に開催することを許可したという朝日新聞の記事もある。
読売新聞の記事も「不許可は集会の自由の侵害に当たる恐れがあり、同協会側(公園を管理する『県公園緑地協会』)は当初の対応は誤りだったとしたうえで、今月5日、音楽の音量に制限を設けて利用を認めた」と報じている。
判定
「公園の使用許可が出ていないのに、 勝手にお祭りをするクルド人」という言説は、誤り。公園の使用許可を得て開催された。
検証:リサーチチーム
編集:宮本聖二、藤森かもめ、古田大輔、野上英文
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