
JFCファクトチェック指針
日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックガイドラインを定めて、公平公正な事実の検証に努めています。詳細はこちらのリンクから確認できますが、このページではその概要を説明します。
これらの指針は国際ファクトチェックネットワーク(International Fact-Checking Network, IFCN)の行動規範をもとに、日本での実践例も参考にして作り上げられたものです。
※行動規範の日本語訳はファクトチェック・イニシアティブ(Fact-check Initiative Japan, FIJ)がここで公開しています。
IFCNの5原則
以下は、IFCNが行動規範の中で定めている5つの原則とその概要をまとめたものです。JFCのファクトチェックもこれらの原則に準拠します。
非党派性と公正性
片方の側や特定の政策的立場に立ったファクトチェックではなく、全ての検証を同じ基準で実施する。
情報源の基準と透明性
ファクトチェックを見たユーザー自身も独自に検証ができるように、情報源の安全が確保できないような例外を除いては透明性を確保する。
資金源と組織の透明性
資金源や構成員を明らかにして組織の透明性を確保し、ユーザーに対して問い合わせ窓口も明示する。
検証方法の基準と透明性
検証対象の選択から取材や公開、訂正に至るまでファクトチェックの方法論を説明し、ユーザーにも検証対象の提供を奨励する。
オープンで誠実な訂正方針
訂正指針を公開し、明確かつ透明性をもって訂正し、かつ、それが可能な限りユーザーの目に触れるようにする。
そもそも、ファクトチェックとは
JFCでは、ファクトチェックを「言説に含まれる事実について、客観的に検証し、正確性を評価すること」と定義しています。重要なのは、意見ではなく事実に関して検証する、という部分です。言論・表現の自由を最大限尊重しつつ、提示されている事実が間違っていないかを評価します。
例えば、「雲が出ている。雨が降りそうだ。傘を持っていこう」という言説があるとして、「雨が降りそうだ」という推測や「傘を持っていこう」という判断はその人の自由です。その推測や判断のもととなった「雲が出ている」という事実の提示部分が間違っていないか、をJFCは検証します。
ファクトチェックの方法論
JFCは独自に定めたファクトチェックガイドラインに従って、検証を実施していきます。具体的には、主にインターネットで拡散する言説を対象に、その重要性や影響を考慮して検証し、ユーザーからの提案も受け付けます。
検証は、公正かつ多角的に実施し、情報源や検証プロセスは可能な限りして、ユーザーも自ら検証を再現できるようにします。
また、JFCは「スマートな簡潔さ」を重視します。「少ない言葉で多くを語る」をモットーに、「検証対象」「検証過程」「判定」を端的に伝え、ユーザーが短時間で事実を理解することに寄与します。
ファクトチェックの判定基準
JFCのファクトチェック判定基準は、以下の通りです。

根拠不明は中間の黄色としていますが、赤色の不正確や誤りよりも、問題の深刻さが薄いというわけではありません。
例えば、「地球は闇の勢力に支配されている」というような陰謀論は、荒唐無稽で根拠不明です。これを検証しようとすると、闇の勢力はないという根拠を示す、いわゆる「悪魔の証明」に陥ります。
根拠不明だから誤りよりはマシ、というわけではなく、根拠不明な言説を拡散させる人がいたら、それは問題だと理解する必要があります。
実際には正確とほぼ正確、ほぼ正確と不正確、不正確と誤りなど、判定に迷う事例が数多くあります。編集部内で議論し、運営委員会の意見を取り入れながら、公正なファクトチェックに取り組んでいきます。
訂正について
JFCではIFCNが定める倫理綱領に基づき、「オープンで誠実な訂正」を実施します。外部からの指摘などで、ファクトチェックの誤りに気づき、訂正が必要と判断した際には、訂正した箇所がわかるように訂正を実施し、訂正理由も出来る限り開示いたします。
ファクトチェックの判定結果や判定過程などに影響を与えないような文言の修正の場合にも、訂正に準じる形で、できるだけわかりやすく修正箇所を明示します。