(画像)男性が子どもたちを瓦礫から救出する画像?【ファクトチェック】

(画像)男性が子どもたちを瓦礫から救出する画像?【ファクトチェック】

イスラエル・パレスチナでの武力衝突に関連し、「今日のベスト画像」として男性が子どもたちを救出する様子として画像付き言説が拡散しましたが、誤りです。この画像はAIで生成されたものです。

検証対象

10月27日、「今日のベスト画像 2023年10月27日」というキャプションとともに画像が拡散した。この画像は「#Gaza_under_attack」「#Free Palestine」というハッシュタグと共にFacebook上で8万回以上共有され、在フランス中国大使館のX(旧Twitter)アカウントも発信した。

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検証過程

画像の詳細をよく見ていく。子どもの足の指の形(オレンジ丸)、男性の方からぶら下がる子どもの腕の形(赤丸)、男性の脇の形(矢印)など、AIが生成する画像に特有な細部の不自然な描写が多数確認できる。

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この画像を元にGoogleで検索をしたが、InstagramやTikTokなど複数のSNSで拡散されている一方、現地で紛争を取材するメディアによる撮影画像とは一致しなかった。

AFPの記事も、偽画像解析の専門家の分析を引用して「AIの兆候が見られる」として「誤り」と判定している。

判定

国内外のソーシャルメディアで大きく拡散したが、AI特有の不自然な描写があり、画像は誤りと判定した。

あとがき

AIで生成した画像は、細部に不自然な描写が見られることがあります。人物ならば指、歯、目、髪などに注目しましょう。感情を刺激するようなインパクトのある写真は反射的に拡散しがちですが、このような画像を見たときは、まず落ち着いて画像に不自然な点がないか確認することが必要です。また、技術の発展に伴い、AI生成でも本物とほぼ同等の精度の画像もあります。発信元にも注意しましょう。

検証:リサーチチーム
編集:古田大輔、野上英文、宮本聖二

イスラエル・パレスチナに関するファクトチェック


判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

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参議院議員・ラサール石井氏(社民党)が、国会でガソリン暫定税率廃止に反対した、という投稿が拡散しましたが、誤りです。8月1~5日開催の第218回国会(臨時会)では、ガソリン暫定税率に関する法案は審議されていません。社民党も否定しています。 検証対象 8月4日、国会でラサール氏が起立している画像に「ラサール石井。ガソリン暫定税率廃止に反対に起立する」と書いた投稿がXで拡散した。 投稿は、8月6日時点までに削除されている。同様の投稿は多数拡散し、表示回数が1300万回を超えるものもある(例1、例2)。 拡散した投稿には「減税に反対してる議員って日本人じゃないよね」「いきなり裏切り。投票した人は反省して」といったコメントや「まだ審議にすら入ってない」「デマです」などの指摘もある。 検証過程 ガソリン暫定税率廃止法案とは ガソリン税の暫定税率を廃止する法案は、ガソリン1リットルあたり25.1円が上乗せされている暫定税率を、11月1日から廃止する内容だ。 8月1日に、立憲民主、日本維新の会、国民民主など野党7党が、法案を衆議院に共同提出した(以上、読売新

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