れいわ新選組所属の2参院議員、1日も登院していない?【ファクトチェック】

れいわ新選組所属の2参院議員、1日も登院していない?【ファクトチェック】

「れいわ新選組所属の木村英子、舩後(ふなご)靖彦両参院議員が1日も登院していない」とする言説が拡散しましたが、これは誤りです。れいわ所属の両議員は、2019年に当選してから2023年6月21日に閉会した第211回通常国会も含めて参議院本会議や委員会に出席、発言していることが、参議院の会議録から確認できます。

検証対象

2023年6月17日、「この2人、今国会に1日も当院してなくない?」「議員としての仕事出来ないなら辞職したら?」というツイートが、両議員の写真と共に拡散した。6月28日時点で、ツイートは、99万件を超える表示回数と5000件を超えるリツイートを獲得している。

投稿の翌日の6月18日、ツイートの返信欄に「【お知らせ】」と題した追加のツイートが投稿された。投稿者は検証対象のツイートについて、「お二人が登院されているというご指摘に関しては、こちらの認識不足だったので謝罪致します」としつつも、「ただ自分は登院(ツィートでは当院と間違えてますが)してないとは断言してませんよね」と述べている。投稿者は、6月28日現在、今回拡散したツイートを削除していない。

検証過程

登院についての統計は存在しているのか。政治学者の菅原琢氏が運営するウェブサイトの国会議員白書によると、「国会議員の出席率」を示す統計は存在しない。各国会議員が、出席しなければならない委員会などの大小様々な会議があり、誰がどの会議に出席しなければならないのという「分母」と、実際に誰がどの会議に出席したのかという「分子」の両方を正確に知ることが難しいためだという。

しかし、両議員が所属する参議院は、本会議の出席議員一覧を国会会議録で公開している。ツイートが「今国会」と指摘するのは第211回国会(2023年1月23日~6月21日)を示していると見られるため、日本ファクトチェックセンター(JFC)は、この期間について調べた。

国会会議録検索システムで第211回国会本会議の会議録を検索するため、検索システムのトップページの「会議録を選択して探す」から、「第211回」「参議院」「本会議」を選択して調べると、会議録は17件見つかった。最新の「参議院会議録第14号」の12頁に出席議員の一覧がある。この一覧には、舩後靖彦議員と木村英子議員の名前があった。つまり、この本会議に出席していたということだ。

また、国会議員はそれぞれいくつかの委員会に所属している。委員会の会議録も国会議事録検索システムで確認できる。

この検索システムで「舩後靖彦」と検索すると、該当する会議録が324件見つかる。舩後議員の出席が確認できるもっとも古い記録は、2019年8月1日の政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会(第199回国会)で、もっとも新しいものは、2023年5月23日の文教科学委員会(第211回国会)だ。

同様に、検索システムで「木村英子」と検索したところ、該当する会議録が315件あった。出席が確認できたもっとも古い会議録は、2019年8月1日の東日本大震災復興特別委員会(第199回国会)。もっとも新しいものは、2023年5月16日の法務委員会(第211回国会)だった。

両議員は出席のみならず、委員会での発言も積極的にしている。直近では、舩後議員は2023年5月23日の文教科学委員会の「会議録第13号」では、「読書バリアフリー法」の進捗状況を問うなど9回にわたる発言が記録されている。木村議員についても、6月15日の内閣委員会で「LGBT理解増進法案」について発言しており、こちらは動画で見ることができる。

議員としての両氏の活動は、両氏のツイッターアカウントの投稿からも確認できる。舩後議員の活動として、例えば2021年の参院文教科学委員会での質疑動画のツイート。木村議員のツイートでは、2023年の参院内閣委員会での質疑の様子を動画で見ることができる。

判定

れいわ新選組所属の参議院議員である木村英子、舩後靖彦の両氏が、第211回国会の本会議やいくつかの委員会に出席していたことが、それぞれの会議録を通じて確認できた。したがって、「れいわ新選組所属の2参院議員、1日も登院していない」は誤りであると判定した。

検証:高橋篤史
編集:藤森かもめ

検証手法や判定基準などに関する解説は、JFCサイトのファクトチェック指針をご参照ください。

「ファクトチェックが役に立った」という方は、シェアやいいねなどで拡散にご協力ください。誤った情報よりも、検証した情報が広がるには、みなさんの力が必要です。

X(Twitter)FacebookYouTubeInstagramなどのフォローもよろしくお願いします。またこちらのQRコード(またはこのリンク)からLINEでJFCをフォローし、真偽が気になる情報について質問すると、AIが関連性の高い過去のJFC記事をお届けします。詳しくはこちらの記事を

もっと見る

「(斎藤知事の)パワハラはなかった」と百条委の委員長が発言? 前後の文脈を無視した切り取り動画【ファクトチェック】

「(斎藤知事の)パワハラはなかった」と百条委の委員長が発言? 前後の文脈を無視した切り取り動画【ファクトチェック】

兵庫県知事選で再選した斎藤元彦知事をめぐって、百条委員会(調査特別委員会)の奥谷謙一委員長が「パワハラはなかった」と発言したという動画付きの言説が拡散しましたが、不正確です。拡散した動画は発言の一部を切り取ったもの。奥谷委員長は拡散した動画の発言後、「厳しい叱責を受けたという人はいたか?」と問われて「整理できていないが、『厳しい叱責を受けたことがある』と答えた人は結構おられたと思う」と説明。パワハラに当たるかどうか評価したいと答えています。 検証対象 2024年11月19日、「奥谷委員長が発言してます。パワハラはなかったと」という言説が拡散した。 添付された25秒間の動画では、奥谷委員長が記者から、この日の証人尋問に呼ばれた6人について「パワハラを受けたという人は何人いるのか」という質問を受け、「私の認識では明確に知事の方からパワハラを受けたという方はいらっしゃらなかった」と答えている。 2024年11月20日現在、この投稿は180件以上リポストされ、表示回数は32万回を超える。投稿について「これが正解」「まだ言うかね」というコメントがつく一方で、「そんな

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
アメリカでは帰化して三世代おかないと政治家になれない? 大統領や連邦議会議員に親の国籍は関係ない【ファクトチェック】

アメリカでは帰化して三世代おかないと政治家になれない? 大統領や連邦議会議員に親の国籍は関係ない【ファクトチェック】

「アメリカでは帰化して三代、間におかないと政治家になれない」という言説が拡散しましたが、誤りです。大統領や連邦議会上下院議員になるために、年齢や在住期間の規定はありますが、親の国籍は関係ありません。また、添付画像は日本に関する「帰化した国会議員」のリストですが、実際に帰化した人物はわずかで、ほとんどが誤ったものです。 検証対象 2024年11月3日、X(旧Twitter)で「米国では帰化してから3代間にないと選挙に出られない、つまり政治家になれない」という言説が拡散した。11月19日現在、230万以上の閲覧と1万件を超えるコメントがついている。 コメントには「日本も規制した方がいいですね」「日本も帰化3世までは立候補出ないようにする必要がある」などと同調する意見が続く一方で、「米国で、流石に三世代はないです。」という指摘もある。 検証過程 大統領と連邦議会上下院議員の資格要件を調べると、合衆国憲法に規定がある。 米国大統領の資格要件 合衆国憲法では、大統領は年齢35歳以上であること、生まれながらのアメリカ国民であること、最低14年間アメリカに居住

By 宮本聖二
潜在的な国民負担率は62.9%? 過去のデータで現在は改善【ファクトチェック】

潜在的な国民負担率は62.9%? 過去のデータで現在は改善【ファクトチェック】

「財務省『潜在的国民負担率、62.9%に達しちゃった』」という言説が拡散しましたが、ミスリードで不正確です。2020年にはそのレベルに達していますが、現在は改善傾向で50%台です。 検証対象 2024年11月12日、「財務省『潜在的国民負担率、62.9%に達しちゃった』」「1日8時間働いて5時間分は国に取られる。五公五民どころじゃねーな」という言説が拡散した。投稿にはまとめサイトのリンクが添付されている。 2024年11月12日現在、この投稿は1.1万件以上リポストされ、表示回数は185万回を超える。投稿について「財務省が全国民の敵」「働くの馬鹿みたい」というコメントが付く一方で「公式の報道機関やニュースサイトではありません」というコミュニティノートも付いている。 検証過程 国民負担率と潜在的国民負担率 国民負担率とは、国民の所得に占める税金や年金、社会保険料などの負担の割合だ。租税負担率と社会保障負担率を合計したものを国民負担率、これに財政赤字を加えたものを潜在的な国民負担率という(財務省)。 2023年投稿のまとめサイト記事を引用 検証対

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
トランプ大統領、就任が2ヵ月早まった? パーティーでの「提案」【ファクトチェック】

トランプ大統領、就任が2ヵ月早まった? パーティーでの「提案」【ファクトチェック】

アメリカのトランプ次期大統領が就任を2カ月早めるとする投稿が拡散しましたが、誤りです。自身の別荘でのパーティーでの発言で、実現する見通しはありません。 検証対象 2024年11月16日、アメリカのトランプ次期大統領が就任を2ヵ月早めるという投稿がXで拡散した。「もう就任しちゃうんですって」「トランプ大統領は、先日のマーアーラゴでのパーティーで、大統領就任を2カ月早めるという斬新な計画を発表🎉🎉🎉」と述べている。 投稿には、イギリスのMail Onlineの画像を日本語化したような画像がついており、「トランプ大統領が筋肉隆々のケネディ・ジュニアに5語の警告を発し、マール・ア・ラゴでのパーティーで任期を早めることを提案」という不自然な日本語がついている。 2024年11月18日現在、この投稿は500件以上リポストされ、表示回数は11万件を超える。投稿について「アメリカでの出来事は日本にも影響する…。」「前倒し✨だって、待てないんだもの。」というコメントが付いている。 検証過程 2024年の米大統領選挙で勝利したトランプ氏の大統領就任式は、2025年

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)