奨学金・失業手当に課税される?【ファクトチェック】

奨学金・失業手当に課税される?【ファクトチェック】

「日本政府・岸田政権が奨学金・失業手当に課税する」という言説が拡散しましたが、誤りです。政府税制調査会で検討された資料に現在の税制で「非課税所得」の事例として挙げられていますが、財務省は「現状で具体的な課税案について検討していない」と取材に説明しました。

検証対象

「日本政府、ついに奨学金・失業手当に課税へ…岸田『君たちはもう生きるな』」というコメントとともに、岸田総理の画像を埋め込んだツイートが拡散した。7月28日現在、表示回数が720万回以上、リツイート件数が2万件以上となっている。

返信欄では「この二つって困ってる人のための金やろ?」との声がある一方で、「ミスリードに踊らされました」と指摘するコメントもある。

検証過程

検証対象に貼られているリンクの記事本文は2023年6月30日に開催された政府税制調査会の中期答申に関する記事であり、タイトルには「日本政府、ついに奨学金・失業手当に課税へ…岸田「君たちはもう生きるな」とツイートと同様のものがある。

そこで日本ファクトチェックセンター(JFC)は、第27回税制調査会の資料である「わが国税制の現状と課題―令和時代の構造変化と税制のあり方―」を確認した。

資料は答申の目的を、「税制全般を再点検し、様々な社会的課題を包括的に整理することで、経済社会を巡る状況と今後の『あるべき税制』について私たち一人ひとりが関心を持ち、理解し、議論に主体的に参画する助けとなることを目指した」と述べている。

そして現状の税制の課題の一つとして、個人所得課税の課税対象として包括的に捉えられるべき「所得金額」のうち、性質や政策的要請により非課税や免税とされている「非課税所得」の見直しが挙げられている。

「経済社会の構造変化の中で非課税等とされる意義が薄れてきていると見られるものがある場合には、そのあり方について検討を加えることが必要です。」

主な非課税所得の例として、通勤手当や生活保護給付などと並び、給付型奨学金や雇用保険上の失業等給付が挙げられている。

画像
第27回税制調査会「わが国税制の現状と課題―令和時代の構造変化と税制のあり方―」より

主な非課税所得として、給付型奨学金や雇用保険上の失業等給付を挙げた意図について、JFCが財務省主税局に取材をしたところ

「現状では具体的な課税について検討していない。あくまで(非課税所得の)一例として提示したにすぎない」という回答を得た。

判定

政府税調の資料にある給付型奨学金や失業手当は、主な非課税所得を例示したにすぎず、奨学金や失業手当に課税することを財務省は「現状では具体的に検討していない」と説明した。よって誤りと判定した。

検証:鈴木刀磨
編集:藤森かもめ、宮本聖二、野上英文


判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

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