Amazonが中国市場から全面撤退?越境ECやクラウドサービスは継続【ファクトチェック】

Amazonが中国市場から全面撤退?越境ECやクラウドサービスは継続【ファクトチェック】

「Amazonが中国市場から全面撤退」という言説が拡散しましたが誤りです。2023年7月に中国国内においてAmazonのアプリストアが閉鎖されるとの報道がありましたが越境電子商取引(EC)サービスやクラウドサービスは継続します。

検証対象

2023年5月24日に投稿されたツイートでは「速報朗報 Amazonは7月から中国市場から全面撤退!!中国国内のAmazonサイト運営も削除されます」というコメントとともに、中国語で「7月17日をもって、Amazon中国がApp Storeのサービスを終了する」などと書かれたメール画像を添付したツイートが拡散した。6月1日現在で300万回以上の表示と2.4万件以上のいいねを獲得している。

画像

返信欄では誤りを指摘するものが多かった一方で「Amazonで買い物するなら7月以降が良さそうですね」や「撤退とストアアプリ終了、両方ニュース出てるけどどっちが正解?」といった反応もあった。

検証過程

ツイートの返信欄にはAmazonの電子書籍サービス「Kindle」の撤退についてではないか、という指摘があった。「Kindle」は2023年6月末で中国市場から撤退すると日経新聞ロイターなどが2022年6月に報じていた。

2023年7月に、中国国内でアプリストアが閉鎖されることについては、香港メディアのSouth China Morning Postや中国メディアのYicai Globalなどが報じている。

しかし、それらの記事では、Amazonの越境ECサービスやクラウド部門「Amazon Web Services(AWS)」などの他のサービスは引き続き運営されると報じており、Yicai Globalは「中国での技術革新と投資を続ける」というAmazon社のコメントも紹介している。

判定

Amazonは7月以降も中国国内で越境ECやクラウドなどのサービスを継続する。よって誤り。

検証:本橋瑞紀
編集:古田大輔、宮本聖二、藤森かもめ

検証手法や判定基準などに関する解説は、JFCサイトのファクトチェック指針をご参照ください。

「ファクトチェックが役に立った」という方は、シェアやいいねなどで拡散にご協力ください。誤った情報よりも、検証した情報が広がるには、みなさんの力が必要です。

X(Twitter)FacebookYouTubeInstagramなどのフォローもよろしくお願いします。またこちらのQRコード(またはこのリンク)からLINEでJFCをフォローし、真偽が気になる情報について質問すると、AIが関連性の高い過去のJFC記事をお届けします。詳しくはこちらの記事を

もっと見る

総選挙後の偽・誤情報/米大統領選 終盤/JFCがデジタルアーカイブ学会賞 授賞

総選挙後の偽・誤情報/米大統領選 終盤/JFCがデジタルアーカイブ学会賞 授賞

総選挙は投開票が終わっても、偽・誤情報が止まるわけではありません。政党や当選者、選挙制度そのものに対する偽・誤情報が拡散し続けました。11月5日が投票期日のアメリカ大統領選は日本以上にAI生成含む大量の偽情報が広がっています。そんな中、日本ファクトチェックセンター(JFC)は、11月1日に「デジタルアーカイブ学会賞」を授賞しました。 ✉️日本ファクトチェックセンター(JFC)がこの1週間に出した記事を中心に、その他のメディアも含めて、ファクトチェックや偽情報関連の情報をまとめました。同じ内容をニュースレターでも配信しています。登録はこちら。 今週の解説 総選挙ファクトチェックまとめ 偽・誤情報は何がどう広がった 総選挙が終わりました。どんな偽情報・誤情報が拡散し、どんな影響があったのか。来年の参院選に備えるためにも、振り返ります。 総選挙ファクトチェックまとめ 偽・誤情報は何がどう広がった 【解説】総選挙が終わりました。どんな偽情報・誤情報が拡散し、どんな影響があったのか。来年の参院選に備えるためにも、振り返ります。 選挙で拡散しがちな偽・誤情報の類型

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
総選挙ファクトチェックまとめ 偽・誤情報は何がどう広がった 【解説】

総選挙ファクトチェックまとめ 偽・誤情報は何がどう広がった 【解説】

総選挙が終わりました。どんな偽情報・誤情報が拡散し、どんな影響があったのか。来年の参院選に備えるためにも、振り返ります。 選挙で拡散しがちな偽・誤情報の類型 総選挙が始まる前の10月12日に「総選挙で拡散した/する偽・誤情報への『情報のワクチン』」という解説記事を書いた。その中で示したのが以下の表だ。選挙の際に、どのタイミングでどんな偽・誤情報が拡散するかを分類した。 総選挙の公示は10月15日だが、事実上の選挙戦は9月の自民党総裁選で石破茂氏が選出され、早期解散総選挙の方針を打ち出した段階から始まっていた。 この間、JFCは11月1日までに総選挙に関連するファクトチェック記事を28本公開しています(解説記事は今回含めて5本)。順を追って見ていく。 自民総裁選から続いた石破首相に関する偽・誤情報 初期に立て続けに出したのは、石破首相の発言に関する偽・誤情報のファクトチェック記事だった。 石破首相「中国の領空侵犯は即射撃を検討」などと発言? 表現を改変【ファクトチェック】2024年10月1日に首相となった石破茂氏が「中国の領空侵犯は即射撃を検討。今で

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
自民党議員「石破茂って書きたくないんだが」と発言? まとめサイトによるもの【ファクトチェック】

自民党議員「石破茂って書きたくないんだが」と発言? まとめサイトによるもの【ファクトチェック】

自民党議員が「石破茂って書きたくないんだが」と発言したという言説が拡散しましたが、誤りです。拡散した投稿はまとめサイトのXアカウントで、見出しは掲示板サイトのスレッドタイトルを引用しているだけです。議員の発言ではありません。 検証対象 2024年10月31日、自民党議員が「石破茂って書きたくないんだが」と発言したという言説が拡散した。 2024年10月31日現在、この投稿は380件以上リポストされ、表示回数は4万回を超える。投稿について「高市早苗と書けばいい」「自分達で選んだのに」とコメントが付いている。 検証過程 検証対象の投稿に添付されたリンクはまとめサイト「Tweeter Breaking News-ツイッ速!」の記事だ。引用元は産経新聞「どうなる首相指名選挙 石破首相選出の流れも自民内造反の可能性に懸念」(2024年10月30日)と、掲示板サイト5ちゃんねるのスレッドになっている。 産経新聞の記事は、11月11日に召集予定の特別国会で行われる首相指名選挙で、石破首相選出の流れが強まったと報じている。自民内造反の可能性についても言及しているが、

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
日本ファクトチェックセンターが「デジタルアーカイブ学会賞」を授賞

日本ファクトチェックセンターが「デジタルアーカイブ学会賞」を授賞

日本ファクトチェックセンター(JFC)は11月1日、デジタルアーカイブ学会賞(実践賞)を授賞しました。検証においてデジタルアーカイブされた1次情報を活用し、また、JFCのサイト自体が検証過程で活用した証拠へのリンクを多用し、アーカイブ性が高いと評価されました。 デジタルアーカイブ学会とは デジタルアーカイブとは、文書や画像、映像、音声などをデジタル形式で、アクセス可能な形で保存すること。過去の記録をデジタル化して保管するだけでなく、新たな技術によってその活用の幅を広げるなど、他分野で議論されている。 デジタルアーカイブ学会(吉見俊哉会長)は「日本のデジタル知識基盤構築」を目的とし、関係者の交流や知見の共有、人材の育成などに取り組んでいる(デジタルアーカイブ学会について)。 毎年開催される研究大会において、功労賞・実践賞・学術賞の3部門で、デジタルアーカイブに関連する団体やプロジェクト、論文や著書などを表彰している。 JFCの授賞理由 JFCの授賞理由は、以下の通り。 (以下、受賞理由) 日本ファクトチェックセンターは、ファクトチェックの実践とメデ

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)