日本ファクトチェックセンター(JFC)の事業開始に際し、たくさんのご質問やご意見をお寄せいただき、ありがとうございます。ご批判は真摯にうけとめ、改善に努めてまいります。ご質問につきましては、FAQの形式で以下のとおり、回答をまとめました。
Q1.日本ファクトチェックセンターの設立経緯について教えてください。
学識経験者で構成された「総務省プラットフォームサービスに関する研究会」の報告書、および学識経験者や事業者で構成された「Disinformation対策フォーラム」の報告書において、SNS上の個人の投稿について対処する必要が指摘され、これを中心となって実施する担い手が求められていました。
そこで、セーファーインターネット協会が「日本ファクトチェックセンター(JFC)」を設立しました。
以下が、「総務省プラットフォームサービスに関する研究会」報告書の該当部分です。
以下は、「Disinformation対策フォーラム」報告書の該当部分です。
Q2.日本ファクトチェックセンターは、具体的に何をするんですか?
日本ファクトチェックセンターでは、インターネットに流通する偽情報・誤情報について、ファクトチェックを実施し、検証過程とともに判定結果や参考情報などを発信するほか、リテラシー教育や調査研究を実施します。支援金は、これらの活動全般に活用していきます。
Q3-1.ファクトチェックの対象から既存のメディアを原則として除外するのはなぜですか?
報道機関を原則として除外する理由は、主に以下の3点です。
1. 報道機関は、報道倫理に基づく訂正の仕組みを有しており、その報道倫理と仕組みに基づき自主的に訂正を行うべきであることから、まずはその仕組みに委ねること。
2. 総務省プラットフォームサービスに関する研究会及びDisinformation対策フォーラムにおける、当センター設立に至る議論の経緯を踏まえ、インターネットに流通する偽情報・誤情報を優先的に対象とすること。
以下が、Disinformation対策フォーラム報告書の該当部分です。
3. 当センターは設立したばかりの小さな組織であり、編集部のリソースが極めて限られることから、優先的に取り組むべき対象を絞る必要があること。
JFCファクトチェックガイドラインの全文はこちらをご覧下さい。19条で以下のように規定しております。
Q3-2.報道機関が発信する報道に偏向や嘘が見受けられるので、検証していただきたいです。
前述のように、報道機関は原則としてファクトチェックの対象外ですが、1. 「正確で公正な言説により報道の使命を果たすことを目指す報道機関」とはいえないと運営委員会が判断した場合(19条1項4号)、2.「特に必要と認める場合」(19条2項)には、運営委員会が個別に検討した上で、ファクトチェックの対象とすることもあります。「特に必要と認める場合」としては、例えば、重大な悪影響があるにもかかわらず、発信した報道機関自身や第三者によって検証が為されていないような場合が考えられます。
以下は、Disinformation対策フォーラム報告書の抜粋です。
Q4.なぜ特定の会社に勤務経験のある方で編集部が構成されているのですか?
編集長、エディターが特定の会社に勤務した経験のある人に偏ることで、公正性が損なわれるのではないかというご懸念は、当センターとしても理解しており、当然のご指摘と考えております。
ファクトチェックを監修するエディターに必要なスキルは、広範なテーマに関する取材や調査の経験、正確性・簡潔さなどを担保できる編集経験、まだ経験の浅いチームメンバーを育成する能力です。この条件を直ちに具備するのは一定以上の記者・編集経験者であり、それらを勘案し、編集長がエディターを選考し運営委員会に諮りました。
特定の会社への勤務経験があるメンバーに偏っていることについては運営委員会でも懸念が示され、編集長自身も「多様性の面からは明らかに問題で、外部から公正性を疑われる面からも望ましい状況ではない」との認識を示していました。一方で、編集チームの立ち上げからセンター設立まで時間がなかったために、現在の体制でのスタートとなりました。今後、例えばインターネットメディアや研究・調査機関の出身者など、多様性のある採用を進めていく計画です。
また、JFCファクトチェックガイドラインにおいては、中立性、透明性、公平性について規定を置き、運営委員会が編集部を監督するとともに監査委員会が全体の運営状況を監査するという二重のガバナンス体制を確保することをもって、公平性を担保しています。
ご懸念についてはよく理解しておりますので、編集部によるガイドラインの遵守と運営委員会と監査委員会の二重チェックによって、偏り等が発生しないよう努めて参ります。
Q5.学生がインターンとしてファクトチェックをしているとありますが、どのように選ばれ、編集部としてどのように監修、指導、サポートしているのでしょうか。
編集部立ち上げ時にインターン(有給)として日本ファクトチェックセンターに加わった学生は、すでにファクトチェック活動に関わったことがあり、一定の知見がある学生の中から希望者を募り、選抜しました。
学生のファクトチェックへの参画は、ソーシャルメディアやメッセージングアプリなどで不確かな情報が拡散する現状において、非常に重要であり、次世代のファクトチェッカー育成にも繋がります。IFCN認証を取っている香港大ジャーナリズム・メディア研究センターのAnnie Labなど、国内外でも多数の事例があります。
日常業務においては、ファクトチェックに関するマニュアルを準備し、検証対象の選定方法、検証方法、取材や記事の執筆などを編集部で改めて指導し、記事配信の最終チェックはすべて編集長とエディターで実施しています。今後はインターンを公募し、より多様性あるメンバーをゼロから教育していく体制を作り上げていく計画です。