JFCのメディア情報リテラシー教育:自衛策を広める

日本ファクトチェックセンター(JFC)はファクトチェックと並んで、メディア情報リテラシー教育を活動の2本柱としています。ユーザーが自ら情報の真偽を見極め、検証できる能力を身に着けてもらうためです。
日々の検証活動で培った、日本で実際に拡散する偽・誤情報に関する知見とその検証技術を実践的な講座にまとめて公開しています。
JFCファクトチェック講座
JFCファクトチェック講座は、YouTubeと記事でそれぞれ理論編10本、実践編10本をすべて無料で公開しています。
理論編ではメディア情報リテラシーの分野も含み、日本における偽・誤情報の拡散の実態、拡散の原因となるバイアスやアルゴリズム、リテラシーの基礎となるクリティカルシンキングを学びます。
実践編では、高度な検索、画像や動画の検証手法、AIによる偽情報の生成と対策など、ファクトチェックの技術を具体的に学びます。
視聴したユーザーからは「偽・誤情報に関する知見が得られた」に93.1%の肯定的な回答を得るなど、高い評価を得ています(2024年11月11日現在)。

認定制度と講師養成講座
ファクトチェック講座を視聴したユーザーに提供しているのが「JFCファクトチェック認定試験」。オンラインで受験可能で、合格点を取った方にはJFCファクトチェッカー認定バッジを「オープンバッジ」のシステムで授与しています。

また、JFCファクトチェッカーの認定を受けた方で、学校や職場などでファクトチェックやメディア情報リテラシーの授業やセミナーを開く方々を対象とした講師養成講座も2024年10月から実施しています。
講師養成講座では、JFCファクトチェック講座で実施した内容のうち、特に需要が高い理論編と実践編のそれぞれ前半部分を中心にセミナーの開き方を学びます。オンラインで毎月開催しており、1回90分の授業を受けた方にはJFCトレーナーの認定バッジと常にアップデートされる教材を授与しています。
講師養成講座の受講生からは「授業やセミナーを開くための知見を得られた」と100%の好意的な評価を得ています(2024年11月11日現在)。

認定トレーナーに共有する教材は常にアップデートしており、変化の激しい情報環境や新しい検証ツールなどにも対応しています。
各地でのセミナーや講座の教室での活用
JFCの古田大輔編集長と宮本聖二副編集長は、全国からの要望に応じて各地やオンラインでセミナーを開催しており、2022年10月のJFC発足から2024年11月11日までに79件で合計5000人以上が参加しました。
また、JFCが公開している講座は無料で視聴できるため、小学校から大学まで広く活用されています。
中学生〜大学生を対象とした国際的なファクトチェック選手権の開催
JFCは2024年11~12月に日本、台湾、タイ、インドネシアのファクトチェック団体と協力して、ユースファクトチェック選手権(英語名:Youth Verification Challenge=YVC)を開催しました。国内ではメディアリテラシー教育に取り組む学生スタートアップClassroom Adventureとの共催でした。
プレイベントでファクトチェックの手法を学び、国内大会と世界大会を競う計3日間のオンラインイベントで、12〜24歳(小学生を除く)の60チーム約150人が参加しました。
YVCはもともと、2021年にGoogleが開催、JFC編集長の古田大輔は当時Googleで日本の担当者でした。2023年からGoogleによる開催がストップしていたため、ファクトチェック団体で運営を引き継いで開催しました。Classroom Adventureは2022年の日本大会の優勝チームが作ったスタートアップで、創設メンバーの2人はJFCでインターンとしても活動しています。
YVCは来年以降も参加国を増やして開催する予定です。