調和のとれた情報生態系のために 社会全体での取り組みを

調和のとれた情報生態系のために 社会全体での取り組みを

偽・誤情報対策はファクトチェックやメディア情報リテラシー教育に限りません。社会全体での取り組みに向けたJFCからの提言です。

ファクトチェックの限界

嘘は一瞬でつけますが、検証には時間がかかります。しかも、大量に拡散する偽・誤情報に対して、ファクトチェックを実施する組織や個人は限られています。

偽・誤情報の方が衝撃的な見出しや内容でソーシャルメディアで拡散しやすいという特徴もあります。偽情報を無尽蔵に作れるAIの開発も進み、かつ、偽情報でお金を儲ける「故意犯」も存在します。

一方で、ファクトチェックはソーシャルメディアでの短期的な拡散力は偽・誤情報に劣っても、SEOを工夫することでGoogleなどの検索結果では上位に表示され、中長期的に効果を発揮するという強みもあります。しかし、ファクトチェックだけでは対策として不十分なことは明らかです。

社会全体の取り組みへの貢献

JFCはファクトチェックだけでなく、メディアリテラシー教育にも取り組んでいます。さらには、技術開発や研究の面でもコラボレーションを進めています。

偽・誤情報は必要とされる情報が不足する「情報の空白」に入り込んできます。だからこそ、信頼性の高い情報発信がメディアや公的機関や専門機関などから広がることも重要な対策となります。法的な枠組みを含むルール設定も必要とされています。

これらすべてを各分野に携わる機関が協力しながら包括的で重層的な対策を広げていく。「政府や自治体などの公的機関」、「企業など民間セクター」、「NPOや研究機関など市民社会」による社会全体での取り組みが不可欠です。

そして、実際に拡散する偽・誤情報の検証に取り組むJFCの知見を、それらの活動に役立ててもらいたいと考えています。