ファクトチェック記事の増加と多様化 メディアリテラシー教育やAIツール開発など検証の実践的な知見を活用【JFC活動報告】

日本ファクトチェックセンター(JFC)は2022年10月の設立からの活動をまとめた報告書を公開しました。詳しくはJFCサイトの「JFCとは」で章ごとにまとめていますので、そちらを御覧ください。

冊子としてPDFでもダウンロードできます。
この記事では概要をお伝えします。
活動報告書の内容 独立性を保つために
2つの委員会によるダブルチェック
報告書ではまず、JFCの設立経緯と組織構造について説明しています。ファクトチェック組織として、公正性や非党派性が重要なことから、運営委員会と監査委員会を設けて編集部の活動をダブルチェックする体制を取っています。

設置規定や報告書を公開
運営委員会や監査委員会のメンバーや設置規定・運営規程は公開されています(日本ファクトチェックセンター設置規定、監査委員会運営規程)。
また、両委員会の報告書もそれぞれ公開し、透明性を確保しています。
運営委員会報告書2024年12月12日(報告書全文はこちら)
第1 運営委員の任命並びに委員長及び副委員長等の任命プロセス
第2 編集部メンバーの採用等編集に関わる人員
第3 外部機関との連携
第4 プラットフォーマー連携
第5 ファクトチェック記事の公開状況
第6 財務報告
第7 国との関係
第8 支援者との関係
監査委員会報告書2025年2月28日(報告書全文はこちら)
第1 監査委員会の構成等
第2 JFC監査委員会運営規程の制定
第3 監査委員会の監査の方法の概要
第4 監査の結果

ファクトチェックとメディア情報リテラシー教育の2本柱
ファクトチェック記事の量の増加と多様化
活動の中心は日々のファクトチェックとメディア情報リテラシー教育です。創設以来、検証記事や解説や動画など、コンテンツ数は順調に増えています。また、検証対象の多様化も進んでおり、2024年以降は政治系の検証が増えています。


実践的なメディア情報リテラシー教育
ファクトチェック講座や講師養成講座の提供
偽・誤情報が氾濫する現代において、ファクトチェックは専門機関だけでなく、多くの人が実践すべきものです。JFCでは無料で学べる「ファクトチェック講座」を公開し、「ファクトチェッカー認定試験」も実施しています。


試験の合格者には世界標準規格のデジタル認証であるバッジを提供し、さらに教育者向けの「講師養成講座」も実施しています。
講座修了者は「JFC認定トレーナー」として、常時アップデートする教材を提供し、全国各地で講座を開催してもらっています。

JFCは日々、ネット上で拡散する偽・誤情報の検証に取り組んでいます。
「流行している偽・誤情報の種類や手口」「なぜ、騙されてしまうのか。その背景や傾向」「検証の手法や最新のツール」などの知見を、実践的なメディア情報リテラシー教育に役立てています。

研究・開発分野でのコラボ:企業や専門機関との協力
調査研究とシンポジウムの開催
日本における最大のファクトチェック組織として得た知見は、調査研究やツールの開発にも活用できます。
2024年に国際大学グローバル・コミュニケーション・センターと協力して実施した調査や2025年4月公開の電通総研との「情報インテグリティ調査」などです。

これらの知見はシンポジウムを開いて業界横断的に共有し、包括的な対策に役立てています。

ツール開発への協力
JFCは国内外の企業と、偽・誤情報を検証するAIツールなどの開発に協力しています。
AIによる偽・誤情報の氾濫に対しては、AIによる対策が不可欠です。ファクトチェッカーが日々実践しているノウハウをAIにどう代替させ、検証を効率化するか。JFCにはない技術力とJFCならではの知見を相互に提供しています。

情報インテグリティ実現のための社会全体での取り組み
嘘は一瞬でつけますが、検証には時間がかかります。しかも、大量に拡散する偽・誤情報に対して、ファクトチェックを実施する組織や個人は限られています。
偽・誤情報だけでなく、誹謗中傷やヘイトスピーチも蔓延する中で調和のとれた情報空間=情報インテグリティを実現するのに、ファクトチェックだけでは不十分です。

求められているのは、社会全体での取り組みです。ファクトチェックは対策の重要な柱で、実践的なメディア情報リテラシー教育や調査研究やツール開発の起点ともなり得ますが、対策の一部として考える必要があります。

持続的な活動と透明性を両立するために
世界中のファクトチェック組織が苦しんでいるのが活動資金の確保です。
国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)の「ファクトチェッカー実態レポート」2024年版によると、世界141団体の89.3%が経済的な継続性に不安を抱えています。


偽・誤情報が無料で氾濫する中で、検証記事を有料化すれば、拡散力で負けてしまいます。ファクトチェック団体には根本的なビジネスモデルが欠けています。
一方で、特定の団体や政治的な機関からの不透明な資金提供があれば、独立性や公正性に疑問を持たれる事になり、信頼性を保てません。
JFCでは資金提供者や収支を公開することで透明性を確保しています。

情報インテグリティシンポジウムを4月2日に開催
JFCは4月2日午後2時から、慶応大学グローバルリサーチインスティテュートと共催で「情報インテグリティシンポジウム」を開きます。
「情報インテグリティ」とは直訳すると「情報の誠実性」です。国連が2024年に発表した「情報の誠実性のための国連グローバル原則」では「表現の自由が十分に確保され、包摂的で安全で安心な開かれた情報環境の中で、差別や憎悪のない正確で信頼できる情報が誰でも手に入れられるエコシステム」と表現しています。
JFCは情報インテグリティのために、ファクトチェックだけでなく、実践的なメディア情報リテラシー教育、調査研究やツール開発への協力などにも取り組んでいます。シンポジウムでは業界横断的に多くの識者を招き、現状と対策を議論します。こちらのYouTubeアカウントでライブ配信しますので、ぜひ御覧ください。
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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