麻疹、紅麹、政治をめぐる誤情報/日本は騙されやすいという調査結果など【注目のファクトチェック】
2024年3月25-31日のファクトチェック週報です。大事件が発生すると偽・誤情報も拡散します。小林製薬の紅麹問題ではベニコウジの着色料全てが問題という言説が拡散、熊本県知事選では選挙につきものの「不正投票」情報が流れました。読売新聞の国際比較では日本の偽情報への脆さが示されています。
偽情報対策シンポを4月16日開催 YouTubeで配信
JFCは国際大学グローバルコミュニケーションセンター(GLOCOM)と協力し、日本における偽情報の現状と対策について調べる2万人規模の調査を実施しました。そこで得られた知見を紹介し、関係者で議論するシンポジウムを都内で4月16日に開催いたします。
GLOCOMの山口真一准教授による調査の解説や、メディア、ファクトチェック団体、研究者、公的機関、プラットフォームの枠を超えて、国内外の専門家、実務家が議論する模様をJFCのYouTubeでアカウントで配信します。ぜひ、こちらからご登録ください。
JFCのファクトチェック記事
麻疹流行に「ワクチンは危険、自分で罹って免疫獲得」などの言説は誤り
麻疹(はしか)が流行しています。予防にはワクチンが有効ですが、ソーシャルメディア上ではワクチンの有効性を否定し、麻疹の危険性を低く見て「自分で罹って免疫獲得すれば良い」などという投稿が多数拡散していますが、いずれも誤りです。専門家が麻疹の危険性とワクチンの有効性について解説します。
日本年金機構を騙り電話で偽のマイナポータルに誘導する手口
日本年金機構を騙り「年金の二重払いがある」「返金の書類を送ったが返信がない」と電話をかけ、偽のマイナポータルサイトへの登録を促す事案が相次いでいます。デジタル庁が注意を呼びかけています。
「(画像)モスクワのテロ攻撃容疑者が特定され、全員がウクライナ国民」は誤り
「モスクワでのテロ攻撃の容疑者が特定され、全員がウクライナ国民」だとする言説が、複数の顔写真の画像とともに拡散しましたが誤りです。顔写真はいずれもテロ事件以前にネット上に公開された画像を集めたものです。現地メディアは、起訴された4人はタジキスタン人だと報道しています。
「熊本知事選で不正開票」は誤り
「熊本知事選の開票で不正があった」などという言説が開票速報の動画とともに拡散しましたが、誤りです。報道各社が事前の取材と開票所の出口調査などに基づいて、投票を締め切った直後に当選確実を報じたもので、一般的な選挙報道の手法です。不正ではありません。
「小林製薬の紅麹がありとあらゆる食品に赤色着色料として使われていた」は誤り
小林製薬の紅麹原料による健康被害をめぐり、「小林製薬の紅麹があらゆる食品に赤色着色料として使われている」という言説が拡散していますが、誤りです。着色料は食品添加物のベニコウジ(紅麹)色素で、問題となった紅麹とは別物です。
(画像)「黒人の侍とその家族」とする写真が拡散 AI時代のミーム
「大手メディアは伝えない日本の黒人侍」という文言とともに侍姿の黒人と家族のような画像が拡散しましたが、誤りです。写真はAIによるもので本物ではありません。
「難民申請中は強制送還出来ないよう入管法を改正したのは民主党政権」は誤り
「難民申請中の強制送還が出来ないよう、入管法を改正したのは民主党政権」との言説が拡散しましたが、誤りです。難民認定申請者の強制送還を一時的に停止する「仮滞在許可」が法制度化されたのは、2004年です。当時は自公連立の小泉純一郎政権でした。
今井絵理子議員が「(議員になって良かったのは)遊んでいてお金が入ること」と発言は誤り
自民党の今井絵理子参議院議員が、議員になって良かったことについて「遊んでいてお金が入ることかな」と発言したという言説がX(旧Twitter)で拡散しましたが、誤りです。今井氏のインスタグラムへのユーザーの書き込みです。
今週のファクトチェック動画:堀江貴文氏のフェイク画像が拡散
その他の関連記事
誤った情報、5割超の人が「正しい」 2万人調査結果を公開へ 4月16日にシンポ
日本ファクトチェックセンター(JFC)は国際大学グローバルコミュニケーションセンター(GLOCOM)と、日本で拡散する偽情報について2万人超を対象とした大規模調査を実施しました。誤った情報をそれぞれ約半数が「正しい」と捉えており、その影響は深刻です。調査の詳細を発表し、政治・メディア・プラットフォームなど業界を超えて対策を議論するシンポジウムを4月16日に開催します。
日本は米・韓より「偽情報にだまされやすい」、事実確認をしない人も多く…読売3000人調査
デジタル空間の情報との向き合い方を調べるため、読売新聞が日米韓3か国を対象にアンケート調査を実施した結果、米韓に比べ、日本は情報の事実確認をしない人が多く、ネットの仕組みに関する知識も乏しいことがわかりました。
総務省の検討会でGoogleなど各プラットフォームが偽情報対策を説明
総務省「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会」にGoogle、Meta、TikTok、Microsoft、Xが出席し、偽情報対策やAI開発の現状などを説明しました。資料はこちらのページで公開されています。
偽情報やフェイクニュース 正しく見極める方法や課題を議論
生成AIの開発や利用が急速に広がるのに伴って、偽情報やフェイクニュースに悪用される懸念が高まる中、情報を正しく見極めるための方法や課題を議論するシンポジウムが都内で開かれました。
モスクワの銃撃テロ:ロシア政府やメディアによるウクライナの関与を主張する言説を検証
モスクワのコンサートホールのテロ攻撃ををめぐって、ウクライナの関与を主張するロシアの当局の声明やメディア報道、ソーシャルネットワークへの投稿をBBCが分析しました。
米・ボルチモアの橋崩落事故で陰謀論多数
ボルチモアのフランシス・スコット・キー橋にコンテナ船が衝突して崩落した事故をめぐって工作員の襲撃によるものなどさまざまな陰謀論が出ているとAFPが伝えています。
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