公式を装うSNSアカウントの増加/AI生成ニュースサイトの国際調査【注目のファクトチェック】
2024年2月19-25日のファクトチェック週報です。ロシアのウクライナへの侵攻が始まって24日で2年、ウクライナへの支援をめぐる誤情報が拡散しています。著名人や企業のなりすましアカウントがSNSで増えており、見分け方を記事で解説しています。生成AIで作るニュースサイトが世界的に広がっているという調査も紹介します。
JFCのファクトチェック記事
槇原敬之さんの偽アカウントが出現
歌手の槇原敬之さんの偽アカウントが出現しています。公式アカウントは「公式アカウントは、HPに掲載しているもののみです。また、新規開設する際は、必ずHP等で告知いたします」と注意喚起をしています。
「(画像)イグハラ:存在自体がハラスメント」をテレビが解説というのは誤り
テレビ局のニュース番組で「イグハラ(存在自体がハラスメント)」を紹介したとされる画像が拡散しましたが、誤りです。この画像は元々別のアカウントがネタ画像として投稿したもので、現実のニュース番組ではありません。
「(画像)看護師さんが完全防護服で岸田首相が形だけマスク コロナは茶番」は誤り
新型コロナウイルスに関連し、「看護師さんが完全防護服でやってる横で(岸田文雄首相が)形だけマスクをつけて佇んでる コロナは茶番」という言説が画像とともに拡散しましたが誤りです。画像は岸田首相が治験の実演を視察する様子です。
岸田首相に関する偽の画像や動画が相次ぎ拡散
岸田文雄首相が映る画像や動画を使った偽情報がSNSなどで数多く広がっています。加工や発言の切り抜きによる悪用で、注意が必要です。
「日本だけがウクライナに巨額の支援」は誤り
ウクライナへの支援について「日本だけが巨額」という言説が拡散しましたが、誤りです。ドイツのシンクタンク「キール世界経済研究所」の統計によると、日本の累計支援額は世界で7番目で、日本(75億ユーロ)はアメリカ(677億ユーロ)の1割程度です。
「【緊急】新NISA、規制か 財務大臣『円安の元凶と見ている』」は誤り
新しい少額投資非課税制度(NISA)に関して「【緊急】新NISA、規制か。財務大臣『円安の元凶と見てる』」という言説が拡散しましたが誤りです。引用元の記事に「新NISA、規制か」という情報はありません。また、円安について、鈴木俊一財務大臣は「変動の概要を一概に申し上げることはできない」と発言しています。
「しぶさわくん」や東京都交通局などSNSに偽アカウントが続々
「(画像)堀江貴文氏:ワクチンの危険性が発覚しました」は誤り
その他の関連記事
LINEヤフー 能登半島地震の偽情報など含む投稿 1800件以上削除
偽情報の流通対策に関する総務省の検討会で、LINEヤフーが能登半島地震に関する投稿削除の状況などを公表しました。NHKが報じています。日本ファクトチェックセンターによる検証を参考にした事例もあるとのことで、ステークホルダー間での情報共有の枠組みが必要ではないかと指摘しています。
サイバーセキュリティPT、偽・誤情報対策へ検討加速
わが国も偽情報の攻撃対象に
国レベルでの対策の関心も高まっています。自民党デジタル社会推進本部のサイバーセキュリティに関するプロジェクトチーム(座長・牧島かれん衆院議員)は偽・誤情報問題を重要課題の1つに位置付け、ヒアリングなどを実施しています。法規制は表現の自由とも密接に関わるため、注目されます。
Tracking AI-enabled Misinformation: 713 ‘Unreliable AI-Generated News’ Websites (and Counting), Plus the Top False Narratives Generated by Artificial Intelligence Tools
人の手を入れずに生成AIで作られた信頼性の低いニュースサイトが各国で生まれています。ニュースサイトの信頼性評価などに取り組むNewsGuardの調査です。生成AIの発展とともに懸念されていた事態が実際に発生しています。
軍事侵攻2年 ロシア支持サイトなどの記事 拡散割合増える
2月24日でロシアのウクライナへの侵攻から2年。SNSで拡散されたウクライナに関する日本語での投稿を分析したところ、去年5月ごろからロシアを支持する内容のまとめサイトなどの記事が拡散する割合が増えており、中には偽情報もあるとNHKが報じました。
Alexei Navalny widow Yulia Navalnaya targeted by disinformation
2月16日、ロシアの反体制派指導者のアレクセイ・ナワリヌイ氏が収監されていた刑務所内で死亡しました。この獄中死を受けて「意思を引き継いで戦い続ける」と宣言した妻のユリア・ナワルヌヤ氏に関する偽の画像や情報が拡散しているとしてAFPがファクトチェックしています。
岸田首相の偽画像などがSNSで相次ぎ拡散 注意を呼びかけ
岸田首相をめぐる偽の画像やAIなどで加工された動画がSNSで拡散していることについてはNHKも報道し、「政治に関するフェイクは、選挙に影響を及ぼし、社会の分断につながるため、民主主義の根幹に関わる大きな危険性をはらんでいる」という専門家の警告を伝えています。
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