旧姓で不動産登記はできる? 自民党総裁選で小泉氏と高市氏が正反対の発言【ファクトチェック】

旧姓で不動産登記はできる? 自民党総裁選で小泉氏と高市氏が正反対の発言【ファクトチェック】

自民党総裁選に立候補した小泉進次郎議員が「旧姓では不動産登記ができない」、高市早苗議員が「今年の4月から旧氏(旧姓)でできる」と発言しました。これはともに不正確です。4月から旧姓併記が可能になりましたが、旧姓だけでの登記は現在もできません。

検証対象

2024年9月6日、総裁選立候補を表明した小泉氏は総裁選立候補会見で「旧姓では不動産登記ができません」と発言した(48:33〜48:36)。

一方、同じく立候補を表明した高市氏は9月9日の立候補会見で「候補予定者の方に不動産登記ができないじゃないかと答えた方がいましたが、不動産登記できます。今年の4月から旧氏でできるようになっております」と発言している(1:20:32〜1:21:00)。

日本ファクトチェックセンター(JFC)は、旧姓で登記できるか確認した。

検証過程

不動産登記における併記

不動産登記は、土地や建物の所在・面積のほか、所有者の住所・氏名などを登記簿に記載し、権利関係などを明確にするもの(法務省)。旧氏(旧姓)併記については、法務省ウェブサイトで確認することができる(所有権の登記名義人への旧氏(旧姓)の併記について 不動産登記関係)。

サイトによると、2024年4月1日施行の不動産登記規則等の一部を改正する省令(令和6年法務省令第7号)により、現在の所有権の登記名義人の氏名に旧氏(旧姓)を併記できるようになった。

しかし、旧姓だけでの登記については明記されていない。

法務省民事局「旧姓だけでの登記はできない」

JFCは、法務省民事局に「不動産登記は旧姓で可能か」を取材した。

民事局は「4月から旧姓を併記して登記できるようになった」と述べ、旧姓だけでの登記は「できない」と回答した。

判定

2024年4月から不動産登記における旧姓の併記は可能になったが、旧姓だけでの登記は出来ない。よって小泉氏の「旧姓ではできない」、高市氏の「旧氏で登記できる」という両方の発言を不正確と判定した。

あとがき

自民党総裁選において、夫婦が望む場合に別性を選べる「選択的夫婦別姓制度」が争点の一つになっています。小泉氏は1年以内の実現を公約に掲げる一方で、高市氏は結婚前の旧姓の「通称使用」を拡大する立場です。

小泉氏の「不動産登記が旧姓でできない」という発言を高市氏が否定する形で「できる」と反論した背景に、この争点があります。

検証:木山竣策
編集:古田大輔、野上英文

判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

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