兵庫・迎山県議 「私を批判すれば国民にツケが回る」と発言? コメントを歪曲【ファクトチェック】

兵庫県の迎山志保県議が「私を批判すれば国民にツケが回る」などと発言したという情報が拡散しましたが、不正確です。公人に向けた批判に対する迎山県議のコメントを歪曲したものです。
検証対象
迎山県議が「私を批判すれば、やがては国民にツケがまわる」などと言ったかのような情報が繰り返し拡散している(例1、例2)。
2024年11月の投稿は「迎山しほ議員、斎藤知事を辞任させておいて 私を批判するな!批判を続ければ政治は劣化する!国民にツケが回るからな!この態度は流石にヤバくないか?」という内容で、斎藤知事を擁護し、迎山議員を批判する内容だ。
この投稿は2025年2月18日にも「迎山しほ議員『私を批判すれば、やがては国民にツケがまわる』国民にこんな事言う県議初めて見ました」という文言と共に再び拡散している。
これらの投稿には迎山県議の「全てが公人ということでさらされるのが当たり前 批判されるのが当たり前」「政治の世界もどんどんと結果的には劣化をしていく」「国民にツケが回っていく」などのコメントが抜き出された画像が添付されている。
検証過程
画像にある「報道特集」「誹謗中傷とデマ拡散の選挙戦」のキャプションをGoogle検索すると、「『YouTubeの拡散指示が…』“支持者LINEグループ”の登録者に聞く 斎藤元彦氏再選の舞台裏【報道特集】| TBS NEWS DIG」という動画が見つかる。
番組では、2024年の兵庫県知事選をめぐる誹謗中傷の事例として、百条委員会の奥谷賢一委員長に「人間のくず」という電話や、落選した稲村和美氏に「偏見選挙活動ご苦労様でした」という手紙やポスターへの落書きなどがあったことを紹介している。
稲村氏は「外国人参政権を推進している」といった誤った情報が拡散し、「極左」「売国奴」といった根拠のない批判も相次いだ。
稲村氏は選挙結果に異議を唱えるものではないと強調したうえで「こういうことを経たあとに立候補するなんてとてもとてもという風になってしまうとしたら、すごく残念だし、絶対そうなってはならない」と発言している。
迎山県議は誹謗中傷を受けた県議の1人として、誹謗中傷が原因で辞職しその後亡くなった竹内英明元県議と共に紹介されている。
2024年9月、迎山県議は斎藤元彦知事の不信任決議に賛成の主張をした。その結果、「斉藤知事転覆クーデターを起こした犯人の1人」というネット情報をもとにした誹謗中傷を受けた。迎山県議は番組の中で以下のように発言している(3分34秒~)。
「全てが公人ということでさらされるのが当たり前、批判されるのが当たり前というふうなこれがスタンダードになってしまうと、やはりそこは政治の世界もどんどんと結果的には劣化をしていくんじゃないかなって、ひいては国民の首を絞めることになるというか、国民にツケが回っていくんじゃないかなと思っています」
つまり、「誹謗中傷とデマ拡散の選挙戦」という番組テーマの中で、一般論として、兵庫県知事選のような政治家への誹謗中傷が当たり前となれば、結局、「国民の首をしめることになる」と語っている。
判定
迎山県議が発言したのは「公人に向けた批判がスタンダードになってしまうと政治の世界が劣化してしまうのではないか」という一般論としての意見であり、「私を批判するな」という発言はしていない。よって不正確と判定した。
検証:木山竣策
編集:古田大輔
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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