全国ワースト級の兵庫県財政は斎藤知事で改革が進んだ? 厳しい財政状況が続く【ファクトチェック】

「全国ワーストレベルだった兵庫県財政 斎藤元彦さんの登場で改革が進んだ」という情報が拡散しましたが、不正確です。県の貯金にあたる財政基金は斎藤知事の就任後に増えましたが、兵庫県はその理由が企業業績によるものと分析しています。また、財政基金額は全国的に見ても低いままで、借金にあたる県債は斎藤知事就任後も大きく変わらず10年ほど横ばいで推移しています。2026年度以降は収支不足に陥る可能性も指摘されています。
検証対象
2025年3月31日、「全国ワーストレベルだった兵庫県財政 斎藤元彦さんの登場で改革が進んだ」という投稿が拡散した。
2025年4月10日現在、この投稿は2400件以上リポストされ、表示回数は68万回を超える。投稿について「兵庫県民は素晴らしいよ!!」「全国で起こして欲しい」というコメントの一方で「来年度には収支不足に陥ります」という指摘もある。
検証過程
兵庫県はワーストレベル?
総務省は年1回、地方公共団体の財政力を示す「財政力指数」を公開している。兵庫県の財政規模に対する負債の割合を示す「将来負担比率」は2023年度、全国で一番高い321.5%。斎藤元彦知事が就任したのは2021年8月だ。
兵庫県は1995年に発生した阪神・淡路大震災の復興関連事業費が負担となり、指標ができた2007年から2023年度まで全国ワースト1位が続いているという(朝日新聞)。
斎藤知事のもとでの財政状況は
斎藤知事は2024年11月に再選し、現在に至るまで知事を務めている。2024年の選挙時には「県の貯金(財政基金)は30年ぶりに100億円を超えることができました」と自身のサイトで公表し、財政基金200億円規模という目標を掲げている。
兵庫県は年2回、公式サイトで財政状況を公開している。最新版の「財政状況の公表(2024年11月29日)」によると、県の貯金に当たる財政基金残高は斎藤知事就任後の2021年から増加し、2023年には127億円を確保した。
ただし、県財政課は要因について「企業業績が好調で県税収入が増えた影響が大きい」と分析している。県税収入の黒字分をそれまでの財政基金に積み立てた結果、127億円になったという(神戸新聞)。
県債は約10年横ばい
県の借金にあたる県債残高は2023年度に3兆762億円。斎藤知事就任後の2021年からほぼ横ばいで推移している。
2026年度から収支不足の可能性も
県が2025年2月に公開した2025年度当初予算(案)によると、2026年度から収支不足の可能性があり厳しい財政状況が見込まれるという。
判定
斎藤知事の就任後に財政基金残高は127億円に増加したが、これは県税収入の増加によるものと県は分析している。また、県の借金にあたる県債はここ10年ほど横ばいで推移し、財政状況は2026年度以降収支不足の可能性があるほど厳しい状況だ。「全国ワーストレベルだった兵庫県財政 斎藤元彦さんの登場で改革が進んだ」という投稿は、財政の改善が進んでいる印象を与えるが大きな改善は見られず、不正確と判定する。
検証:木山竣策
編集:古田大輔
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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