新NISA、規制か 財務大臣「円安の元凶と見ている」?【ファクトチェック】
新しい少額投資非課税制度(NISA)に関して「【緊急】新NISA、規制か。財務大臣『円安の元凶と見てる』」という言説が拡散しましたが誤りです。引用元の記事に「新NISA、規制か」という情報はありません。また、円安について、鈴木俊一財務大臣は「変動の概要を一概に申し上げることはできない」と発言しています。
検証対象
2024年2月21日、「【緊急】新NISA、規制か。財務大臣『海外への資本逃避が見られる。円安の元凶と見てる』 」という投稿が拡散した。
2024年2月21日現在、このポストは2700件以上リポストされ、表示回数は61万件を超える。投稿について「やっぱり…」というコメントの一方で「ソースがない」と指摘する声もある。
検証過程
新NISAとは
通常、株式や投資信託などに投資した場合に売却利益や配当に約20%の税金がかかる。NISAは「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額の範囲内で非課税になる制度だ。(金融庁「NISAとは?」)
2024年以降は新NISAとして、「非課税保有期間の無期限化」「口座開設期間の恒久化」など拡充する。(金融庁「新しいNISA」)
「新NISA、規制か」
Xの投稿に添付されているURLは「Tweeter Breaking News ーツイッ速!」の記事。5ちゃんねるを経由して、金融系ニュース・メディアのXアカウント「FinancialJuice」の投稿を引用している。
引用元の投稿には「日本の鈴木財務大臣が新しいNISAプログラムが資本逃避と円安を引き起こしているとの懸念を認めた」とある。「新NISA、規制か」は5ちゃんねるのスレッド名であり、ソースとなるX投稿に新NISA規制に関する記載はない。
「海外への資本逃避が見られる。円安の元凶と見てる」
日本ファクトチェックセンター(JFC)は、財務省サイトでFinancialJuiceの投稿の元になったと見られる2月20日記者会見での新NISAに関する発言を確認した。新NISAで外国株や債券などが投資先になることが日本の資本流出と円安を招いているのではないかという質問に、以下のように答えている。
「NISAが始まりました。それで投資が海外の債券等に向いて、いわゆるキャピタルフライトが起きるのではないかと、それが今の為替相場に影響しているんじゃないかという、そういうご指摘があるということは私も聞いております」
「為替相場といいますものは、これは国内外の経済・財政状況、あるいは国際収支、金融政策の動向、そして投資家の予測やセンチメント、こういった様々な要因によって決定されるものでありますので、変動の概要を一概に申し上げることはできないことであると、そのように考えております」
つまり、NISAが為替相場に影響しているという指摘があることは認めているが「円安の元凶」とは発言していない。FinancialJuiceの「日本の鈴木財務大臣は新NISAが資本逃避と円安を引き起こしているとの懸念を認めた」という投稿も「そういう懸念があるという指摘があることは認めた」というのが正確だ。
また、鈴木財務大臣は日経新聞が2月18日に公開したインタビュー記事「2000兆円覚醒、金融の使命」では「NISAの総合口座数を5年で倍増するのが目標で手応えは十分にある」と期待を語っている。
判定
「新NISA、規制か」は5ちゃんねるの投稿を見出しにしたもので、引用元のX投稿には記載されていない。また、X投稿の元となったと見られる記者会見での発言でも、鈴木財務大臣は円安の元凶はNISAとは発言していない。よって誤りと判定した。
検証:木山竣策
編集:古田大輔
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