1~2年後には今の諭吉の銀行券を使えなくさせる?【ファクトチェック】

1~2年後には今の諭吉の銀行券を使えなくさせる?【ファクトチェック】

2024年7月3日に出る新しい紙幣について、「1〜2年後には今の諭吉の銀行券を使えなくさせる」という言説が拡散しましたが誤りです。今までの紙幣も引き続き使うことができます。

検証対象

2024年2月13日、「今年の7月に、新しい日本銀行券が発行されるのをご存じですか? この目的は、国民の保有する現金や資産、タンス預金のあぶり出しのため」「1〜2年後には、今の諭吉の銀行券を使えなくさせる」という言説がX(旧twitter)で拡散した。

2024年2月15日現在、2700回以上リポストされ、表示回数は211万回を超える。投稿について「そうなんだ」というコメントの一方で「法律上はまだ1円札も使えます」と指摘する声もある。

検証過程

日本銀行券(紙幣)の3券種(一万円、五千円、千円)は、2024年7月3日に新しい紙幣が登場する(新しい日本銀行券特設サイト)。

2023年6月、財務省は新しい日本銀行券の発行時期について発表した。現在の紙幣については「現行の日本銀行券は、新しい日本銀行券が発行されたあとも、引き続き通用します」と書いている。

また「『現行の日本銀行券が使えなくなる』などを騙った詐欺行為(振り込め詐欺など)にご注意ください」と注意喚起もしている。

既に発行が停止された紙幣のうち、どの紙幣が使えるかについては国立印刷局日本銀行のサイトからも確認することができる。サイトによれば、明治時代に発行された1円札や、1958年に発行された聖徳太子のデザインの1万円札も使えることがわかる。日本銀行は「一度発行された銀行券は、法令に基づく特別な措置がとられない限り、通用力を失うことはありません」としている。

判定

2024年7月に新紙幣が発行されるのに伴って「1〜2年後には今の諭吉の銀行券を使えなくさせる」という言説が拡散したが、誤り。新しい紙幣が発行された後も、現在使われている紙幣は使うことができる。

あとがき

財務省のHPによると、現在発行している紙幣は2004年に発行開始。これまでも、おおむね20年ごとに紙幣の偽造防止技術やデザインを新しくしています。理由は「より偽造しにくく、誰にとっても使いやすい紙幣となるようにするため」と説明しています。

検証:木山竣策
編集:野上英文、藤森かもめ、宮本聖二

判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。検証記事を広げるため、XFacebookYouTubeInstagramでのフォロー・拡散をよろしくお願いします。毎週、ファクトチェック情報をまとめて届けるニュースレター登録(無料)は、上のボタンからどうぞ。

また、QRコード(またはこのリンク)からLINEでJFCをフォローし、気になる情報について質問すると、AIが関連性の高い過去のJFC記事をお届けします。詳しくはこちらの記事を

もっと見る

政治家の発言を歪める偽情報/ヴァンス副大統領が日本を批判?/ゼレンスキー大統領の偽画像【今週のファクトチェック】

政治家の発言を歪める偽情報/ヴァンス副大統領が日本を批判?/ゼレンスキー大統領の偽画像【今週のファクトチェック】

国内外の政治家の発言を歪める誤情報を検証しました。石破首相、ゼレンスキー大統領など、対象は様々です。権力者が事実に基づいて発言しているかを検証するのもファクトチェックの重要な役割ですが、権力者の発言を捏造したり、改変したり、ミスリードしたりしている投稿を検証することも重要です。 ✉️日本ファクトチェックセンター(JFC)がこの1週間に出した記事を中心に、その他のメディアも含めて、ファクトチェックや偽情報関連の情報をまとめました。同じ内容をニュースレターでも配信しています。登録はこちら。 今週のファクトチェック マイナンバーカードでの本人確認が禁止される?まとめサイトによるもの 「マイナンバーカードでの本人確認を禁止」との投稿が拡散しましたが、誤りです。拡散した投稿はまとめサイトのもので、見出しは掲示板サイトのスレッドタイトルを引用しているだけです。警察庁はマイナンバーカードの画像を送信して本人を確認する方法を2027年4月に廃止する方針です。 マイナンバーカードでの本人確認が禁止される?まとめサイトによるもの【ファクトチェック】「マイナンバーカードでの

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
毎年16億円の税金が「救う会」へ流れている? 政府「公金の支出はない」【ファクトチェック】

毎年16億円の税金が「救う会」へ流れている? 政府「公金の支出はない」【ファクトチェック】

毎年16億円の税金が「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)」に支出されていると主張する投稿が拡散しましたが、誤りです。救う会全国協議会や加盟組織が公表する決算報告には公金による収入があったことを示す記述はありません。政府の拉致問題対策本部も公金支出を否定しています。 検証対象 2025年2月26日、「拉致問題は茶番劇です 血税から毎年 16億円 搾取」と主張する投稿が拡散した。 投稿は2000件以上のリポストと170万件以上のインプレッションを獲得している。「毎年16億円って何に消費されてるの?被害者家族で集まって食事会ですかね?」「一種の拉致被害ビジネスになっておるのなら、ソレはソレで解決しないほうが、イイよなあ」などのコメントがつく一方で、「どこからの情報ですか?」「陰謀論」などの指摘もある。 検証過程 「救う会」とは 拡散した投稿で名指しされた「救う会」とは「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」のことだ。 1997年3月、拉致被害者の家族によって「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(家族会)」が結成され

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
ドイツが「アメリカからの独立」のため核武装を表明? まとめサイトによるもの【ファクトチェック】

ドイツが「アメリカからの独立」のため核武装を表明? まとめサイトによるもの【ファクトチェック】

ドイツが「アメリカからの独立」のため核武装を表明したとの主張が拡散しましたが、誤りです。拡散した投稿はまとめサイトのもので、見出しは掲示板サイトのスレッドタイトルを引用しているだけです。次期首相就任が有力視されているフリードリヒ・メルツCDU党首が米国への軍事的依存からの脱却を目指す考えを示したのは事実ですが、ドイツの核武装を表明したわけではありません。 検証対象 2025年3月3日、「【速報】ドイツが「アメリカからの独立」のため核武装を表明」との投稿が拡散した。 投稿は3月5日時点で3000件以上のリポストと約90万件のインプレッションを獲得している。「同じ敗戦国として、敗戦から学び、培った国家の在り方の違いを感じる」「日本もそうしろ。核保有は憲法改正不要だし」などのコメントが付く一方で、元記事と内容が違うとの指摘もある。 検証過程 まとめサイトと添付記事の内容が不一致 検証対象のリンクは、まとめサイト「Tweeter Breaking News —ツイッ速!」の記事だ。タイトルは掲示板サイト5ちゃんねるのスレッド「【速報】ドイツが『アメリカから

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
河野太郎前デジタル相がメール税を検討? まとめサイトによるもの【ファクトチェック】

河野太郎前デジタル相がメール税を検討? まとめサイトによるもの【ファクトチェック】

河野太郎前デジタル大臣がメール税を検討しているという情報が拡散しましたが、誤りです。拡散した投稿はまとめサイトのXアカウントで、見出しは一般ユーザーのX投稿を引用しているだけです。 検証対象 2025年2月26日、「河野太郎氏、『メール税』を検討か…」という情報が拡散した。 2025年3月5日現在、この投稿は3100件以上リポストされ、表示回数は130万回を超える。この投稿に「どこまでも金取りたいの」「議員税も導入しよう」というコメントの一方で、「検討をしたという事実はありません」と指摘するコミュニティノートもついている。 検証過程 検証対象のリンクは、まとめサイト「Share News Japan」の記事だ。タイトルは一般ユーザーのXの投稿で、投稿には河野氏が「メール税」について語る動画が添付されている。 この動画のオリジナルを探すと、2025年1月5日配信のニコニコ生放送「河野太郎のLIVE配信 たろうとかたろう」が見つかった。河野氏がユーザーからの質問に答える形式のライブ配信番組だ。2025年3月5日現在、アーカイブをニコニコ生放送とYouTu

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)