斎藤知事の要請で百条委員会が非公開に? 委員会が独自に決定【ファクトチェック】
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラなどの疑いを調査する百条委員会が、10月に開いた委員会について「斎藤氏の要請で非公開になった」という言説が拡散しましたが、誤りです。県知事選挙への影響を配慮して委員会が独自に非公開とし、選挙後に映像を公開しました。
検証対象
2024年11月26日、「斎藤氏の件 10月24、25日の百条委を秘密会にしたのは斎藤氏の要請。奥谷委員長は斎藤氏が選挙戦で不利にならぬ様、要請を了解」という言説が拡散した。
この投稿には28日現在、3600のリポストと79万以上の閲覧がある。
この投稿に対して「斎藤と片山と立花は奥谷及び百条委員会側に謝罪するべきだろ」と言ったコメントのほか「秘密会にするかどうかは委員会で多数決とってましたよ」という指摘もある。
検証過程
兵庫県議会は6月13日に地方自治法百条に基づいて斎藤知事のパワハラ疑惑などを調査する「文書問題調査特別委員会」を設置し、10月24日、25日は2023年のプロ野球オリックスの優勝パレードへの協賛金に関する疑惑などについて証人を呼ぶ予定だった(「文書問題調査特別委員会議事順序」 10月24日、10月25日)。
非公開は10月11日の委員会で決定
日本ファクトチェックセンター(JFC)では、百条委員会を担当する県議会事務局に取材した。
担当者によると、10月11日の委員会で、24日、25日について以下の2点が決まった。
・本来は証人の役職等によって、公開、非公開を決定すべきところ、知事選挙への影響を考慮し、両日とも全て証人尋問を非公開とする。
・本来、公開対象であった元職を含む県の特別職及び部長級以上の幹部については、所属・氏名、録画映像、議事録を知事選挙後に開示する。
(以上、審議事項10月11日)
10月18日付けで斎藤氏側から申入書届く
その後、百条委側に斎藤氏の代理人弁護士から10月18日付の申入書が届いた。そこには下記のように書かれていた。
1、申し入れの趣旨
次回に(10月24、25日)に行われる証人尋問につきましては非公開で行われるとのことですが、正式に公開されるまでの間に、委員の先生方が個々に報道機関に情報を伝えたり、SNS等で意見を述べられたりすることのないよう予め申し入れいたします。
2、申し入れの理由
兵庫県文書問題調査特別委員会の見解ではなく、個々の委員の意見が外部に発表された場合、ファクトチェックできないため正当な反論ができないためです。
つまり、非公開での実施を前提として委員が個別に発信することがないように求めるもので、非公開を求めたものではない。
11月22日、百条委員会が映像を公開
百条委は10月11日の決定通り、選挙後の11月22日に10月24日と25日の委員会の映像を公開した(10月24日、10月25日)。
判定
斎藤知事のパワハラなどを調査する百条委のうち10月24、25日の委員会が斎藤氏の要請で非公開になったという言説は、誤り。委員会が独自に決めた。非公開の決定後に斎藤氏側からの申し入れはあったが、委員会の内容について委員が個別にメディアに伝えたり、SNSで意見を発信したりすることのないよう要請したもので、非公開にするよう求めたものではない。
検証:宮本聖二
編集:古田大輔
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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