東京都知事選、NHKニュースで紹介する候補者の順番が不自然?【ファクトチェック】
東京都知事選に関して「NHKがニュースで報じる候補者の順番が不自然」と、一部の候補を贔屓しているかのような言説が拡散しましたが、誤りです。NHKは候補者を届け出順に紹介しています。
検証対象
2024年6月20日に告示された東京都知事選報道をめぐって、NHKのニュースで放送した候補者の演説の順番が不自然だという言説が拡散した。小池都知事が最初で、元参院議員の蓮舫氏が5番目だったことから「発言の印象を弱めるためではないか」と指摘している。
このXの投稿は、6月22日現在38万を超える閲覧がある。「届出順のはずだ」というコメントが数多くついている一方、「人気順でじゃね?」と言った反応もあった。(※この検証記事の公開後、この投稿はお詫びとともに削除されました。2024年6月23日追記)
検証過程
日本ファクトチェックセンター(JFC)は、20日のNHKニュース7を視聴した。
都知事選のニュースでは、まず立候補者56人全員を顔写真と名前(字幕)で紹介。その後、小池百合子知事の紹介と演説を放送した。名前と三期目を目指すといった7秒間の紹介コメントをつけて、編集した演説を放送した。演説の放送尺は26秒間だった。
その次に放送したのは、広島・安芸高田前市長の石丸伸二氏で、小池知事と同じように名前の紹介と演説。3番目はタレントの清水国明氏、4番目は航空自衛隊元幕僚長の田母神俊雄氏、5番目が元参院議員の蓮舫氏で、全員同じように名前と一言紹介ののち編集した演説を放送した。石丸氏、清水氏、田母神氏の3人の演説は20秒間、蓮舫氏は26秒間だった。
この5人以外の他の候補者の演説を放送することはなかった。
JFCが、ニュースの編集についてNHKに取材したところ「20日のニュース7では、候補者を全員紹介するとともに、演説は届け出順にお伝えしました。候補者の取り扱いについては、公職選挙法の『選挙放送の番組編集の自由』に基づき、NHKが自主的に判断し、決定しています」という回答を得た。
公職選挙法151条の3には「選挙放送の番組編集の自由」が規定されている(公職選挙法)。届出順は、告示日の受付での到着順だが、受付開始前に集まっている場合はくじ引きで決めることになっている(総務省・「立候補」)。
判定
東京都知事選に関連して、NHKが恣意的に小池知事を優先して紹介しているような言説は誤り。NHKは立候補者の演説を届け出順に紹介している。
検証:宮本聖二、リサーチチーム
編集:古田大輔
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