河野太郎氏 「消費が冷え込むのは若者が金を貯め込むから。増税しても問題ない」と発言? 番組での発言を歪曲【ファクトチェック】

自民党の河野太郎衆院議員が「消費が冷え込むのは若い国民が金を貯め込んでいるから。増税しても問題ない」と発言したという投稿が拡散しましたが、誤りです。ネット番組での発言の一部を切り取って、異なる文脈を加えています。
検証対象
2025年4月6日、河野氏が「消費が冷え込むのは、若い国民が金を貯め込んでいるから、だから増税しても問題ない」と発言したという情報が、ネット番組「ABEMA Prime」の動画と共にXで拡散した。
110万を超える閲覧があり、3500のリポストがついている。そこには、「そもそも若い人たち、貯金ないだろ。貯める金もないのに、何言ってるんだろ」「税金取りすぎだからだよ」などというコメントがついている。一方で、「消費税は裕福な非課税世帯や高齢者からも応能負担で平等に徴税できる」という指摘もある。
検証過程
拡散した動画は、2025年3月25日に放送された46分間のネット番組「ABEMA Prime 迫る氷河期世代の『低年金』問題…年金制度は限界? 河野太郎が語る抜本改革」の一部だ。
ABEMA PrimeのYouTube公式アカウントが、1分37秒に再編集した動画の後半部分(44秒間)を切り出している。内容は変更されていない。
番組では、年金制度の改革案について河野氏をゲストに議論している。拡散した44秒間の動画は、タレントの田村淳氏と河野氏の2人のやり取りだけを見せている。ここで田村氏は消費増税について質問している。以下がやりとりの全文だ。
田村氏「僕は消費税を上げるのを、本当に景気がいい時に消費税をあげるんだったら、何に使うかっていうのを明示した上で、消費税が上がっていくのはいいですけど、景気が冷え込んでいる時に消費税を上げるっていうのは、どうしてもまた消費が冷え込むんじゃないか、この国が弱くなっていくんじゃないかと思うんですが、そこの部分は?」
河野氏「将来がどうなるかわからない。要するに、若い人からしてみると年金もらえるかどうかわからないから、とりあえずなんとなく貯めといた方が安心だよねっていうことで、消費が活性化しない部分ていうのはかなりあると思っていて、老後はこれだけは少なくとも保証されますよということが分かれば、じゃあこれくらいお金使って大丈夫だよねっていうマインドになるんだと思うんですよ」
河野氏は「将来の年金額の保証があれば、若い世代の消費増につながるのではないか」と指摘しているが「景気の冷え込みは若者が貯蓄しているからで、増税しても問題ない」とは話していない。元の番組全体でもそのような発言はない。
判定
河野太郎氏が、「消費が冷え込むのは若い国民が金を貯め込んでいるから、増税しても問題ない」と発言したという主張は、誤り。投稿につけられた動画で、河野氏は「将来の年金額が保証されていれば、若い世代の消費増につながるのではないか」と話しているだけだ。
検証:宮本聖二
編集:古田大輔
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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