岸田首相は渡米していない、到着の様子は横田基地?【ファクトチェック】
岸田首相の訪米、バイデン大統領との首脳会談をめぐって、岸田首相はアメリカに行っていない、首相の乗った政府専用機が着陸したのはワシントンではなく、横田基地だなどの言説が画像とともに拡散しましたが、誤りです。日米両政府も各国のメディアも、岸田首相の訪米と首脳会談を伝えています。
検証対象
2024年4月9日、岸田首相がアメリカを訪問し、バイデン大統領と会談した。この訪米をめぐって、「岸田首相が到着した場所はワシントンではなく、横田基地でした」「コレ日本で撮影してるんじゃない」などの言説が拡散した。
これらの中には490万の閲覧回数を獲得し、1400のリポストがついた投稿もある。
検証過程
日米両政府とも岸田首相の訪米や首脳会談を画像や動画で伝えている。また、世界各国のメディアもニュースで報道している。
日本政府は首相官邸のウェブサイトで、「総理の一日」として4月9日のアンドルーズ空軍基地での到着とバイデン大統領夫妻による歓迎の様子、アーリントン墓地への訪問などの様子を写真で見ることができる。
バイデン大統領の公式のXアカウントは、首脳会談やレセプション前の首相、大統領夫妻の画像、ホワイトハウスの執務室外の廊下を歩く首相と大統領の動画などを公開している。
日米以外の報道機関もBBCや中東のアルジャジーラなど多数が「訪米した岸田首相とバイデン大統領との会談で、日米が防衛協力連携を深めることを確認した」と報じている。
また、岸田首相は米国連邦議会の上下両院合同会議で演説した。YouTubeで多くのメディアがその模様を公開している。
判定
岸田首相の訪米、バイデン大統領との首脳会談をめぐって、岸田首相はアメリカに行っていない、首相の乗った政府専用機が着陸したのはワシントンではなく横田基地だなどの言説が拡散したが、誤り。
あとがき
今回拡散した投稿は、根拠のない荒唐無稽ないわゆる「陰謀論」のような言説です。
多くの映像や資料で確認できる事実に対しても「これは捏造だ」という言説は昔から何度も拡散しています。例えば、「1969年のアポロ11号による月面着陸はスタジオで撮影された」「911の同時多発テロは本当は飛行機の衝突ではないでっちあげ」などという言説を今も信じる人がいます。
国際大学グローバルコミュニケーションセンターによる調査研究では、「2022年の福島県沖の地震は人工地震によるものだ」を正しいと思うと答えた人が16.1%、「米国政府やメディア、金融業界は小児性愛集団に支配されている」を正しいと答えた人は29.3%にのぼったと報告されています。
このような陰謀論を信じる人にファクトチェックは有効なのかと疑問視する声もありますが、「わからない」と判断を留保している人に対して有効ですし、正しいと思う人の中にも、強固に信じているわけではない人もいます。
日本ファクトチェックセンター(JFC)は明らかに間違っている言説に関しても、資料や根拠を明示するファクトチェックを続けていきます。
検証:宮本聖二
編集:古田大輔
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