米大統領選、ハリス陣営が集会画像をAIで生成? パロディアカウントのネタ画像が拡散【ファクトチェック】
2024年のアメリカ大統領選に関連して、カマラ・ハリス陣営がAI画像を使って集会の出席者を偽造したという投稿が拡散していますが、誤りです。画像作成者はネタとして当該画像を作成していると説明しており、ハリス陣営が投稿したという根拠はありません。
検証対象
2024年8月11日、「あなたの知らないアメリカnews【速報】 驚いたことに、カマラ・ハリス陣営が AI を使って集会の出席者数を偽造していたことが発覚したようです。/よく見てください。/青い帽子をかぶった男は文字通り腕が3本ありようです。/#カマラ・ハリス選挙キャンペーンは偽モノ/#カマラ・ハリスの支持者は偽物」という文言とスタジアム会場に集まる人々とみられる画像を載せた投稿が拡散した。
この投稿は8月14日現在、73万回以上の表示回数と2000件以上のリポストを獲得している。
拡散したこの画像をめぐっては、国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)加盟の米Lead Storiesによる記事、アラビア語圏のMisbarやスペイン語圏のNewtralによるファクトチェックがされている。いずれも、画像が生成AIによるものだと指摘したうえで、ハリス陣営とのかかわりのない画像作成者が拡散させたと評価している。
検証過程
拡散した画像には、判読不能な文字、不自然な表情の人や腕が3本ある人など、生成AIによる画像に典型的な特徴がある。日本ファクトチェックセンター(JFC)は、Google画像検索で拡散した画像を調べた。
画像検索の結果、画像は英語圏のアカウントによる2024年8月11日の投稿が見つかった。この投稿は「昨夜のハリス/ウォルツの集会には、かつて見たことのないような電気が走っていた。/右派はこれを嫌っている(The Harris/Walz rally last night had an electricity that I’ve never seen before./The right hates this)」の文言とともに、拡散した画像を添付している。
また、このアカウントはこの画像を投稿した後に「これはAIで生成した写真だ」とも投稿し、自らを「パロディアカウント」と説明している。
「これはAIで生成した写真なんだ。 少しズームインしてみると、顔がうまくできていないのがわかるはずだ。 そう、僕はパロディのアカウントを運営しているんだ。この投稿を楽しんでくれたなら嬉しいよ(That’s a photo that I generated with AI/Zoom in a bit, you’ll see that the faces aren’t even well developed./Yeah, I run a parody account, glad you enjoyed the post!)」
このアカウントとハリス陣営の繋がりを示す根拠はこれまでに見つかっていない。また、ハリス副大統領は、2024年8月10日に実施されたアリゾナ州での集会写真を自らのアカウントで投稿しており、そちらの方がはるかに多くの聴衆が映っている。
判定
「カマラ・ハリス陣営がAI画像を使って集会の出席者を偽造していた」は誤り。画像の作成者はネタとして画像作成していると投稿しており、カマラ・ハリス陣営との繋がりを示す根拠はない。
検証:リサーチチーム
編集:古田大輔、宮本聖二
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