政府が人口を4000万人減らして8000万人にする? 半減する人口を8000万人で食い止めようという提言【ファクトチェック】

政府が人口を4000万人減らして8000万人にしようとしているという主張が拡散していますが、誤りです。2100年に約6300万人に半減するという推計に対して8000万人台に食い止めようと提言で、意図的に減らすわけではありません。
検証対象
2025年4月7日、「政府が人口を4000万人減らそうとしている」という主張が拡散した(例1、例2)。投稿には岸田文雄前首相らの画像が添えられ、「提言 人口8000万人で安定化」などのテロップが入っている。
この投稿は5000件以上リポストされ、表示回数は112万回を超える。
別の投稿も4600件以上リポストされ、表示回数は68万回を超えている。
これらの投稿について、「とうとう公に人口削減言い出しましたね」「酷い話ですね…」などの反応の一方で、「この提言は少子高齢化により2100年に6000万人台に人口が落ち込む可能性があるのを8000万台に食い止めるという趣旨の内容」というコミュニティノートによる指摘もある。
検証過程
人口戦略会議による提言書
Googleレンズで検索したところ、拡散された画像はFNNのニュース番組「Live News α」の一場面を切り取ったものであり、2024年1月10日に「FNNプライムオンライン」に投稿された動画でも同様の内容が確認できた。
動画によると、人口戦略会議のメンバーが岸田首相(当時)に提言書を手渡し、少子化の歯止めがかかっていない現状を指摘したうえで、8000万人で人口を安定させる「8000万人国家」を目指すべきだと提言したという。
また、投稿に添付された画像を検索すると、首相官邸のサイトに載った画像も確認できた。2024年1月9日に岸田首相(当時)が人口戦略会議による提言書を官邸で受け取った際の画像であることが記載されている(首相官邸)。
提言書の内容は
実際の提言書「人口ビジョン2100」を確認すると、日本の人口は「このまま推移すると、年間 100万人のペースで減っていき、わずか76年後の2100年には6300万人に半減する」と推計し、以下のように述べている。
「本提言では、今世紀の終わりにあたる 2100年を視野に据えて、私たちが目指すべき目標を提示しています。その第一は、総人口が“急激”かつ“止めどもなく”減少しつづける状態から脱し、2100年までに 8000万人の水準で安定化させることによって、国民が確固たる将来展望が持てるようにすることです」
判定
政府は、人口を4000万人減らして8000万人にするとは表明していない。拡散した投稿の画像は、岸田首相(当時)が提言書を受け取った際のもので、提言は「日本の人口が2100年には約6300万人にまで減少すると予測される中、人口を8000万人規模で安定させるべきだ」という内容だ。よって誤りと判定した。
検証:リサーチチーム
編集:古田大輔、宮本聖二
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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