兵庫県百条委、告発7つを全否定? テレビ画像を加工【ファクトチェック】

兵庫県・斎藤元彦知事に関する県議会の百条委員会が、告発された7項目全てを否定したという情報が拡散しましたが、誤りです。根拠とされたテレビ画像は加工されています。
検証対象
2025年3月9日、「7つの告発」という見出しに、「職員へのパワハラ」「不当な解任で理事長急死」など、斉藤知事に対する告発の7項目が書かれ、いずれもバツ印と「否」の文字がついているテレビ番組と思われる画像の投稿が拡散した。「百条委員会ってやる意味あったの?」という文言がついている。
3月14日現在、46万以上の閲覧と280あまりのリポストがついて、「結論ありきでホント酷かった」「ないですよね…微塵も」「時間と税金の無駄遣い委員会」などのコメントがついている。一方、コミュニティノートが付き「加工された画像」だと指摘している。
検証過程
画像はサンデージャポンの一場面
拡散した画像の右上には爆笑問題の太田光さんらが映っており、TBS「サンデージャポン」のように見える。拡散した投稿のリプ欄にはサンデージャポンの該当箇所と思われる動画をつけた投稿もある。
この動画を見ると、拡散した画像と同じ、「7つの告発」の見出しの画面がある。① 職員へのパワハラに「認」。② 不当な解任で理事長急死、③ パーティー券購入依頼、④ 優勝パレードで不当な協賛金集め、⑤ おねだり体質 の4項目に「一部認定」。⑥ 知事選で職員が事前運動、⑦ 選挙への投票依頼の2項目にバツ印と否の文字がついている。拡散した画像のように7項目全てが「否」ではない。
日本ファクトチェックセンター(JFC)はTBSに取材した。「拡散した画像のベースになったのは、3月9日放送のサンデージャポンに間違いありません。◯、△、✖️で制作された箇所が捏造されています」と回答があった。
百条委員会の報告書
2025年3月5日に百条委員会(兵庫県議会文書問題調査特別委員会)の調査報告書が県議会に提出され、賛成多数で了承された(NHK)。
百条委は2024年6月に設置され、18回の委員会、8回の証人尋問、県職員全員が対象のアンケートなどを経て報告書をまとめた。「総括」の冒頭には次のように書いてある(兵庫県議会 文書問題調査特別委員会 調査報告書 34ページ)。
「調査結果のとおり、調査項目のうち、『令和3年の知事選挙における県職員の事前選挙活動等について』、『次回知事選挙に向けた投票依頼について』は文書の真偽に ついて事実確認ができなかった」
つまり、TBSの画像通り⑥「知事選で職員が事前運動」⑦「選挙への投票依頼」については事実認定されなかったので「否」で間違いない。
報告書では続いて「以下の項目については一定の事実が確認された 」と書いている。
「五百旗頭真理事長ご逝去に至る経緯について」
「知事が贈答品を受け取っていることについて」
「知事の政治資金パーティー実施にかかるパーティー券の購入依頼について」
「阪神・オリックス優勝パレードにかかる信用金庫等からのキックバックについて」
「知事のパワーハラスメントについて」
特に「知事のパワーハラスメントについて」は、以下のように指摘している。
「『パワハラを受けた』との証言は無か ったものの、パワハラ防止指針が定めるパワハラの定義である『①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの要素を全て満たすもの』に 該当する可能性があり、パワハラ行為と言っても過言ではない言動があった」
つまり、これもTBSの画像通り、①のパワハラは「認定」、②-⑤は「一部認定」と言える。拡散した投稿画像は、もともとは報告書通りだったTBSの番組画像を加工したことがわかる。
判定
兵庫県の斎藤知事に関する百条委が、告発された7項目全てを否定したという情報は誤り。テレビの番組画像を加工したもの。
あとがき
テレビ番組の画面を切り取ったり、加工したりする誤った情報は度々拡散します。日本ファクトチェックセンター(JFC)では、こうした情報を検証しています。参考にしてください。



検証:宮本聖二
編集:古田大輔
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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