山本太郎氏「外人が日本の土地を買う事には制限をつけるべき」に自民党が「資本主義に反するのでは?」と反論? まとめサイトによるもの【ファクトチェック】

山本太郎氏「外人が日本の土地を買う事には制限をつけるべき」に自民党が「資本主義に反するのでは?」と反論? まとめサイトによるもの【ファクトチェック】

れいわ新選組・山本太郎代表の「外人が日本の土地を買う事には制限をつけるべき」という発言に自民党が「資本主義に反するのでは?」と反論したという言説が拡散しましたが、誤りです。投稿はまとめサイトによるもので、自民党からの発信ではありません。また、山本氏の発言も改変されています。

検証対象

2024年10月8日、山本氏の「外人が日本の土地を買う事には制限をつけるべき」という発言に自民党が「資本主義に反するのでは?」と反論したとする言説が拡散した。

2024年10月11日現在、この投稿は6000件以上リポストされ表示回数は223万件を超える。投稿について「山本太郎のほうが正論」「自民党大丈夫か」というコメントの一方で「5chのタイトル」という指摘もある。

検証過程

投稿はまとめサイト「Tweeter Breaking News-ツイッ速!」による投稿だ。リンク先を確認すると山本氏が発言する動画を切り抜いたXの投稿を引用している。

動画は2023年2月にれいわ新選組の公式YouTubeチャンネルが投稿した「れいわ政治的のど自慢大会2023 埼玉県・川口!」の一部(2:11:40〜2:14:00)を切り抜いたものだ。山本氏は「海外の人たちが日本の土地を買うことに制限をかけるべき」と発言しているが、外人とは発言していない。該当部分の発言は以下の通りだ。

「海外の人たちがですね、資本家とかが日本の土地を買うってことに関してこれは当然制限があるべきですよ、そう思います。これだけ狭い国土だからってことですね」

引用に続いて、掲示板サイト「5ちゃんねる」へのリンクがある。「れいわ山本太郎『外人が日本の土地を買う事には制限をつけるべき』自民党『資本主義に反するのでは?』 」とは、そのスレッドのタイトルだ。

内容を確認すると、スレッドの書き込みに「自民党『我々は民主主義では無い 資本主義だ…』」という文言がある。しかし、自民党がそのような発言をしたというソースは確認することができない。

判定

山本氏の「外国人が日本の土地を買う事には制限をつけるべき」に自民党が「資本主義に反するのでは?」と反論したという言説は誤り。まとめサイトによるもので、自民党の発言ではない。

検証:木山竣策
編集:古田大輔

判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

毎週、ファクトチェック情報をまとめて届けるニュースレター登録(無料)は、上のボタンから。また、QRコード(またはこのリンク)からLINEでJFCをフォローし、気になる情報を質問すると、AIが関連性の高いJFC記事をお届けします。詳しくはこちら

ファクトチェックやメディア情報リテラシーについて学びたい方は、こちらの無料講座をご覧ください。ファクトチェッカー認定試験や講師養成講座も提供しています。

理論から実践まで学べるJFCファクチェック講座 20本の動画と記事を一挙紹介
日本ファクトチェックセンター(JFC)は、YouTubeで学ぶ「JFCファクトチェック講座」を公開しました。誰でも無料で視聴可能で、広がる偽・誤情報に対して自分で実践できるファクトチェックやメディアリテラシーの知識を学ぶことができます。 理論編と実践編の中身 理論編では、偽・誤情報の日本での影響を調べた2万人調査の紹介や、間違った情報を信じてしまう背景にある人間のバイアス、大規模に拡散するSNSアルゴリズムなどを解説しています。 実践編では、画像や動画や生成AIなど、偽・誤情報をどのように検証したら良いかをJFCが検証してきた事例から具体的に学びます。 JFCファクトチェッカー認定試験を開始 2024年7月29日から、これらの内容について習熟度を確認するJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。誰でもいつでも受験可能です(2024年度中は受験料1000円、2025年度から2000円)。 合格者には様々な技能をデジタル証明するオープンバッジ・ネットワークを活用して、JFCファクトチェッカーの認定証を発行します。 JFCファクトチェッカー認定試験
JFCファクトチェック講師養成講座を開講 お申し込みはこちら
日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックや関連するメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を開始します。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。 開講は10月26日で、お申し込みはこちら。1回の受講で修了となり、今後の開講予定はウェブサイトやニュースレターなどで公開します。 受講生には教材を提供 デマや不確かな情報が蔓延する中で、自衛策が求められています。「気をつけて」というだけでは、対策になりません。最初から騙されたい人はいません。誰だって気をつけているのに、誤った情報を信じてしまうところに問題があります。 JFCが国際大学グロコムと協力して実施した「2万人調査」では実に51.5%の人が誤った情報を「正しい」と答えました。一般に思われているよりも、人は騙されやすいという事実は、様々な調査で裏打ちされています。 JFCではこれらの調査をもとに、具体的にどのような知識と行動が偽・誤情報対策として有効かを分析し、誰でも無料で視聴できる「ファクトチェック講座」を2024年7月に公開しまし

もっと見る

イタリア・メローニ首相がSNSからゼレンスキー氏との写真を削除? 2人の写真は公開されている【ファクトチェック】

イタリア・メローニ首相がSNSからゼレンスキー氏との写真を削除? 2人の写真は公開されている【ファクトチェック】

イタリアのメローニ首相がソーシャルメディアから、ウクライナのゼレンスキー大統領と映った写真を全て削除したという投稿が拡散しましたが、誤りです。メローニ氏はゼレンスキー氏と過去に撮った写真を公開しています。また、イタリアの首相府のウェブサイトでもメローニ氏とゼレンスキー氏が共に映った写真を複数公開しています。 検証対象 2025年3月6日、イタリアのメローニ首相が、ゼレンスキー大統領との写真をソーシャルメディアから全て削除したという投稿が拡散した。 この投稿に対して、270万をこえる閲覧と5800のリポストがあり、「メローニさんもゼレの正体知っているんだろうね」「日本の首相になってください」といったコメントのほか、「やっぱりイタリアはロシア寄りか」などの反応もある。 検証過程 拡散した投稿には「メローニ首相、イタリア軍をウクライナに送り込んで死なせるつもりはないと発言した後、ゼレンスキーとのソーシャルメディアの写真をすべて削除した」とある。 日本ファクトチェックセンター(JFC)が、メローニ氏のXのアカウントを確認したところ、3月10日現在、ゼレンスキ

By 宮本聖二
世界大戦を止めるために英国民がトランプ大統領と連帯? 2018年の支持者の集会【ファクトチェック】

世界大戦を止めるために英国民がトランプ大統領と連帯? 2018年の支持者の集会【ファクトチェック】

世界大戦の危機を止めるために、英国民がトランプ大統領と連帯を表明したという投稿が拡散しましたが、誤りです。添付動画は2018年に撮影されたトランプ支持集会で、現在のものでも世界情勢がらみでもありません。 検証対象 2025年3月5日、「イギリスがばかげた戦争に突っ込んで世界大戦を引き起こす危機を止めるために、英国民がトランプと連帯する。誰がこんな未来を想像しただろう?」という投稿がXで拡散した。 投稿は2025年3月10日現在、2000回以上リポストされ、表示回数は29.9万回を超える。投稿には「国境を越えて、思いがひとつに」「凄い」などのほか、全く別の映像では、という指摘もある。 検証過程 動画は2018年のトランプ支持集会 検証対象が引用リポストしているのは3月5日付けの英語の投稿だ。「私たちはあなたを愛しています、大統領!」「ウクライナ支持など放っておけ——イギリス国民は、ドナルド・トランプとアメリカを支持する!!」などと書かれている。 添付動画は32秒で、イギリスの国旗などが掲げられた集会で、ステージ上の男性がマイクで次のように訴えている

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
政治家の発言を歪める偽情報/ヴァンス副大統領が日本を批判?/ゼレンスキー大統領の偽画像【今週のファクトチェック】

政治家の発言を歪める偽情報/ヴァンス副大統領が日本を批判?/ゼレンスキー大統領の偽画像【今週のファクトチェック】

国内外の政治家の発言を歪める誤情報を検証しました。石破首相、ゼレンスキー大統領など、対象は様々です。権力者が事実に基づいて発言しているかを検証するのもファクトチェックの重要な役割ですが、権力者の発言を捏造したり、改変したり、ミスリードしたりしている投稿を検証することも重要です。 ✉️日本ファクトチェックセンター(JFC)がこの1週間に出した記事を中心に、その他のメディアも含めて、ファクトチェックや偽情報関連の情報をまとめました。同じ内容をニュースレターでも配信しています。登録はこちら。 今週のファクトチェック マイナンバーカードでの本人確認が禁止される?まとめサイトによるもの 「マイナンバーカードでの本人確認を禁止」との投稿が拡散しましたが、誤りです。拡散した投稿はまとめサイトのもので、見出しは掲示板サイトのスレッドタイトルを引用しているだけです。警察庁はマイナンバーカードの画像を送信して本人を確認する方法を2027年4月に廃止する方針です。 マイナンバーカードでの本人確認が禁止される?まとめサイトによるもの【ファクトチェック】「マイナンバーカードでの

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
毎年16億円の税金が「救う会」へ流れている? 政府「公金の支出はない」【ファクトチェック】

毎年16億円の税金が「救う会」へ流れている? 政府「公金の支出はない」【ファクトチェック】

毎年16億円の税金が「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)」に支出されていると主張する投稿が拡散しましたが、誤りです。救う会全国協議会や加盟組織が公表する決算報告には公金による収入があったことを示す記述はありません。政府の拉致問題対策本部も公金支出を否定しています。 検証対象 2025年2月26日、「拉致問題は茶番劇です 血税から毎年 16億円 搾取」と主張する投稿が拡散した。 投稿は2000件以上のリポストと170万件以上のインプレッションを獲得している。「毎年16億円って何に消費されてるの?被害者家族で集まって食事会ですかね?」「一種の拉致被害ビジネスになっておるのなら、ソレはソレで解決しないほうが、イイよなあ」などのコメントがつく一方で、「どこからの情報ですか?」「陰謀論」などの指摘もある。 検証過程 「救う会」とは 拡散した投稿で名指しされた「救う会」とは「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」のことだ。 1997年3月、拉致被害者の家族によって「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(家族会)」が結成され

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)