立花孝志氏を襲撃した容疑者が中国語を話していた? 日本語で会話【ファクトチェック】

政治団体「NHKから国民を守る党」の立花孝志氏を襲って重傷を負わせた男が事件直後に中国語で話していたという情報が拡散しましたが、誤りです。音声が聞きにくかったり、中国語のキャプションつきだったりする動画も拡散していますが、実際には日本語で話しています。
検証対象
2025年3月16日以降、立花氏を襲撃した容疑で逮捕された容疑者の男が事件直後に中国語で受け答えしているとの主張が拡散した(例1、例2)。
拡散した投稿には動画が添付されている。事件直後の容疑者に話しかける言葉に容疑者が「だって…」と反応する。それに対して男性が「だって何だよ、言ってみろ」と問いかけると、容疑者は何かを話している。
投稿によっては中国語のキャプションを付けているものもある。これらの投稿は数千件・数万件のリポストを獲得するなど大きく拡散した。「中国人の侵略はもう始まっている」「中国人の抗争動画ではナタを使ってた」などのコメントが付く一方で、加工された動画との指摘もある。
検証過程
立花孝志氏に対する襲撃事件
2025年3月14日、千葉県知事選に立候補していた立花氏が、東京・霞が関の経済産業省の庁舎前で、支援者と写真撮影中にナタで切り付けられ、頭や耳、首を切られる重傷を負った。
殺人未遂などの容疑で逮捕された30歳の男は警察の調べに対し「ほかの議員を自殺に追い込んだ人間だからやった」などと供述している(以上、読売新聞、毎日新聞)。
襲撃直後の容疑者を撮影した動画
立花氏が襲撃された現場には、立花氏の街頭演説を聞こうと多くの支援者やインターネット配信者などが集まっていて、襲撃直後の現場の映像が多数拡散した。事件直後の容疑者を映した動画も、Xを中心にネット上に多数投稿されている(投稿1、投稿2、投稿3、配信アーカイブ)。
日本ファクトチェックセンター(JFC)はこれらの動画で、容疑者が中国語を話しているかどうかを確認した。拡散した動画と同じ場面の前後では、容疑者が周りの人達から住所などを聞かれている。その後、次のようなやり取りがある。
男性の声:今ここにいるのが、立花さんの左耳を切り付けた輩です。名前も言いません、住所も言いません。
容疑者:いやだって…
男性の声:だって何だよ。言ってみろよ。
容疑者:それはおまわりさんに言うべきことだから…
拡散した動画は、やり取りの後半が聞こえづらくなっているが、ほかの人が撮影した複数の動画では、容疑者がはっきりと日本語で話している様子がわかる。
判定
立花氏を切り付けて逮捕された容疑者が、事件直後に中国語を話していたとの主張は誤り。投稿に犯人が中国語を話したといった説明がついているが、容疑者は日本語で受け答えしていた。
検証:リサーチチーム
編集:古田大輔、宮本聖二、藤森かもめ
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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