厚労省審議会の委員に年間1845万円の報酬?常勤の特別職と混同(修正あり)【ファクトチェック】
厚生労働省の社会保障審議会の委員の報酬が年間で1845万円だという情報が拡散しましたが、誤りです。この審議会の委員は非常勤で会議開催ごとに謝金が支払われ、その額は1日最大1万9700円です。
検証対象
2025年1月20日、厚労省の社会保障審議会年金部会の委員一覧表と国家公務員特別職の給与一覧とともに「本当に日本政府はクソだな なんで社会保障を審議する委員が年に1845万ももらえるんだ?都合の良い事をいってもらう為だろ?」という情報が拡散した。
この投稿は、59万以上のインプレッションのほか、1500以上のリポストがあり「こいつらの報酬だけで4億円かかってるってこと? こんなのが無数にあるんだからいくら税金あってもたりないよな」「一般市民でこんなに年収もらえる人、どんなに真面目に働いても極々僅かですわ…」といったコメントがついていたが、22日夜この投稿は削除された。
この投稿に対して、委員一覧の中で赤い線が引かれていた委員の1人たかまつなな氏は、Xに誤りだとして、削除と訂正を求める投稿をした。
検証過程
日本ファクトチェックセンター(JFC)が拡散した画像を調べたところ、年金部会委員名簿は厚労省のウェブサイトで、主な特別職の職員の給与は内閣官房がウェブサイトでそれぞれ公開している。
社会保障審議会年金部会の委員給与について、JFCは厚労省年金局総務課に取材した。拡散した投稿は「誤りだ」と否定した上で、年金部会の委員は国家公務員特別職ではなくいわゆる非常勤の「臨時委員」で、会議ごとに支払われるもので、支払い基準は決まっている、その基準を公開しているので参照して欲しいと回答があった。
この基準によれば、臨時委員のうち部会長以外の委員で1万9700円もしくは時間単価9800円(会議が2時間を超える場合は、日給を適用)が支払われる。2024年に開催された厚労省社会保障審議会の年金部会は14回だ。
各委員は事前に資料を読んだり、事後に議事録を確認したりする作業を求められることもあるが、その対価は上記の謝金に含まれている。
「特別職の職員の給与に関する法律」で、特別職の常勤の委員としてあげられている「審議会」は「運輸審議会」と「地方財政審議会」だ。JFCが国土交通省の運輸審議会審理室に取材したところ、6人の委員のうち会長と会長代理の2人が特別職だという。
判定
厚生労働省の社会保障審議会の委員の報酬が年間で1845万円だという情報が拡散しましたが、誤り。この委員は非常勤で会議開催ごとに最大で1万9700円が支払われる。
検証:宮本聖二
編集:古田大輔
修正
厚労省社会保障審議会年金部会の委員の1人のたかまつなな氏が、拡散した投稿に対して削除と謝罪を求めるとしていましたが、削除と訂正を求めるの誤りでした。修正しました。(2025年1月24日)
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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