難民申請中は強制送還出来ないよう入管法を改正したのは民主党政権?【ファクトチェック】
「難民申請中の強制送還が出来ないよう、入管法を改正したのは民主党政権」との言説が拡散しましたが、誤りです。難民認定申請者の強制送還を一時的に停止する「仮滞在許可」が法制度化されたのは、2004年です。当時は自公連立の小泉純一郎政権でした。
検証対象
2024年2月22日、「難民申請中の強制送還が出来ないよう、入管法を改正したのは民主党政権」とする投稿が拡散した。投稿には、「バズりついでに、なぜ政府は今までクルド人を強制送還出来なかったか?を調べて見ると、イラン人を返せた入管法を改正して、難民申請中は強制送還出来ない法律を作った与党が有りました」「はい『悪夢の民主党政権=今の立憲民主党』です」と書かれている。
この投稿は2024年3月29日時点で、300万回以上の表示回数と1万件以上のリポストを獲得している。
検証過程
言説にある「難民申請中は強制送還出来ない法律」とは、入管法を指すとみられる。
2004年の入管法改正ではじめて、難民認定申請をした不法滞在中の外国人の強制送還を一時的に停止する「仮滞在許可制度」が新設された(入管庁)。改正があった2004年は、2003年11月19日から2005年9月21日にかけての自公連立の第二次小泉内閣で、民主党は当時野党で、政権をとったのは2009年だ(首相官邸)。
仮滞在許可制度を創設した目的について、当時の法務大臣は「難民認定申請中の者及び難民と認定された者の法的地位の安定化を早期に図るため」だと説明している(参議院本会議議事録)。
判定
難民認定申請者の強制送還を停止する「仮滞在許可」を制度化したのは、民主党政権ではなく自公連立の小泉純一郎政権。「難民申請中の強制送還が出来ないよう、入管法を改正したのは民主党政権」は誤り。
検証:本橋瑞紀、高橋篤史
編集:藤森かもめ、古田大輔
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