トランプ関税めぐる誤情報/ササニシキ栽培禁止?/情報インテグリティシンポから【今週のファクトチェック】

トランプ関税めぐる誤情報/ササニシキ栽培禁止?/情報インテグリティシンポから【今週のファクトチェック】

トランプ大統領の相互関税延期をめぐって、農林中金が米国債を売却したからだという主張をファクトチェックしました。政治家や政府をめぐって偽・誤情報が拡散し続けています。4月2日に開催した情報インテグリティシンポジウムの基調講演やパネル討論を解説記事にまとめました。

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情報インテグリティシンポ関連記事

4月2日の国際ファクトチェックデーに合わせ、日本ファクトチェックセンター(JFC)が開催した情報インテグリティシンポジウムの内容を記事にしました。

偽・誤情報の影響が拡大する一方で対策は進まず 大規模調査から見える日本の一番の課題は

基調講演1ではJFCが電通総研と共同実施した情報インテグリティ調査の概要を紹介しました。偽・誤情報が社会にもたらす深刻な影響や対策としてのファクトチェックやメディアリテラシーが広がっていないことが明らかになっています。

発表:合原兆二氏(株式会社電通総研)
コメント: 山口真一氏(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 准教授)

偽・誤情報の影響が拡大する一方で対策は進まず 大規模調査から見える日本の一番の課題は【情報インテグリティ】
4月2日の国際ファクトチェックデーに合わせ、日本ファクトチェックセンター(JFC)が開催した情報インテグリティシンポジウム。この記事では基調講演1の内容をお届けします。 基調講演1ではJFCが電通総研と共同実施した情報インテグリティ調査の概要を紹介しました。偽・誤情報が社会にもたらす深刻な影響や対策としてのファクトチェックやメディアリテラシーが広がっていないことが明らかになっています。 発表:合原兆二氏(株式会社電通総研) コメント: 山口真一氏(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 准教授) 情報インテグリティ調査とは 情報インテグリティは「情報の誠実性」などと翻訳されます。提唱する国連は「情報の正確性、一貫性、信頼性」などと定義しています。 合原氏は以下のように調査の狙いを説明しました。 「私たちが日々接しているインターネットやSNS、そしてニュースなどの情報環境において、いかに正しく信頼できる情報が流通しているのか。これは個人の安心安全はもちろん、社会全体の健全性に関わる重要なテーマだと思っております」 「しかし、現実には、偽情報や

「情報の空白」を検証記事で埋める 偽・誤情報対策のハブになる日本ファクトチェックセンターの戦略

基調講演2ではJFC編集長の古田大輔がJFCの活動の紹介をしつつ、ファクトチェックがもつ根本的な課題と強み、実践的なメディア情報リテラシー教育やツール開発への展開などを解説しました。偽・誤情報が拡散する原因である「情報の空白」をどのように克服するかにも言及しています。

発表:古田大輔 JFC編集長

「情報の空白」を検証記事で埋める 偽・誤情報対策のハブになる日本ファクトチェックセンターの戦略【情報インテグリティ】
4月2日の国際ファクトチェックデーに合わせ、日本ファクトチェックセンター(JFC)が開催した情報インテグリティシンポジウム。この記事では基調講演2の内容を文字起こしでお届けします(※読みやすさのために意味合いを変えない範囲で一部修正しています)。 基調講演2ではJFC編集長の古田大輔がJFCの活動の紹介をしつつ、ファクトチェックがもつ根本的な課題と強み、実践的なメディア情報リテラシー教育やツール開発への展開などを解説しました。偽・誤情報が拡散する原因である「情報の空白」をどのように克服するかにも言及しています。 発表:古田大輔 JFC編集長 これまでの経歴 私(古田)からは、日本ファクトチェックセンターの活動を通じて見えてきた「ファクトチェックとメディアリテラシーの現状と展望」について、電通総研との「情報インテグリティ調査」の結果も絡めながらお話しします。 まず、自己紹介です。私はもともと新聞記者をしており、その後、アメリカのメディアBuzzFeed日本版で創刊編集長を務めました。その後独立し、2年間Googleでも働きました。そして、2022年9月から

兵庫県知事選から考える選挙とファクトチェック 「情報の空白」をいかに埋めるか

パネル討論1「選挙と情報インテグリティ」では、2024年の兵庫県知事選で何が起こっていたのか。YouTubeやTikTokの動向などを踏まえて今後の選挙におけるファクトチェックについて議論しました。

モデレーター:古田大輔(日本ファクトチェックセンター 編集長)
パネリスト
・澁谷遊野 氏(東京大学大学院情報学環・学際情報学府准教授)
・永田憲亮 氏(神戸新聞社編集局報道部次長)
・西村 健吾氏(TikTok Japan 公共政策本部 公共政策部長)

兵庫県知事選から考える選挙とファクトチェック 「情報の空白」をいかに埋めるか【情報インテグリティ】
4月2日の国際ファクトチェックデーに合わせ、一般社団法人セーファーインターネット協会(SIA)/日本ファクトチェックセンター(JFC)が開催した情報インテグリティシンポジウム。この記事ではパネル討論1「選挙と情報インテグリティ」の内容をお届けします。 モデレーター:古田大輔(日本ファクトチェックセンター 編集長) パネリスト: ・澁谷遊野 氏(東京大学大学院情報学環・学際情報学府准教授) ・永田憲亮 氏(神戸新聞社編集局報道部次長) ・西村 健吾氏(TikTok Japan 公共政策本部 公共政策部長) 選挙と情報インテグリティ【パネル討論1】 登壇者の自己紹介 古田:モデレーターを務めます古田です。よろしくお願いいたします。まず最初に、登壇者の皆さまにご自身がどのように情報インテグリティの分野に関わっているか、自己紹介をお願いしたいと思います。 澁谷:澁谷と申します。東京大学大学院情報学環で准教授をしております。私は偽情報やデジタル空間の情報データに関しまして、主にデータ解析の観点から研究に取り組んでおります。 2つの観点から取り組んでおりまして

偽・誤情報対策に不可欠な「社会全体での取り組み」と「情報的健康」

パネル討論2「調和のある情報空間を目指す総合的な対策」では、偽・誤情報対策だけでなく、調和のとれた情報生態系=情報インテグリティを実現するための社会全体での取り組み(Whole-of-societyアプローチ)や情報的健康の取り組みなど、官・民・市民社会のあり方を総合的に議論しました。

モデレーター:古田大輔(日本ファクトチェックセンター 編集長)
パネリスト
・山本龍彦氏(慶應義塾大学大学院法務研究科教授)
・桒原響子氏(公益財団法人日本国際問題研究所研究員)
・吉田弘毅氏(総務省情報流通振興課企画官)

偽・誤情報対策に不可欠な「社会全体での取り組み」と「情報的健康」【情報インテグリティ】
4月2日の国際ファクトチェックデーに合わせ、一般社団法人セーファーインターネット協会(SIA)/日本ファクトチェックセンター(JFC)が開催した情報インテグリティシンポジウム。この記事ではパネル討論2「調和のある情報空間を目指す総合的な対策」の内容をお届けします。 モデレーター:古田大輔(日本ファクトチェックセンター 編集長) パネリスト: ・山本龍彦氏(慶應義塾大学大学院法務研究科教授) ・桒原響子氏(公益財団法人日本国際問題研究所研究員) ・吉田弘毅氏(総務省情報流通振興課企画官) 調和のある情報空間を目指す総合的な対策【パネル討論2】 登壇者の自己紹介 古田:山本さんから一言ずつ自己紹介をよろしくお願いします。 山本:皆さんこんにちは。慶應義塾大学のロースクールで憲法学を教えております山本と申します。今お話にあったように憲法学が専門なんですけれども、主にテクノロジーと人権、テクノロジーと民主主義の関係について考えてまいりました。 その関係で総務省さんのデジタル関連の検討会などにも巻き込まれている状況です。あとで吉田さんからもご紹介がありますが

今週のファクトチェック

政府が人口を4000万人減らして8000万人にする? 半減する人口を8000万人で食い止めようという提言

政府が人口を4000万人減らして8000万人にしようとしているという主張が拡散していますが、誤りです。2100年に約6300万人に半減するという推計に対して8000万人台に食い止めようと提言で、意図的に減らすわけではありません。

政府が人口を4000万人減らして8000万人にする? 半減する人口を8000万人で食い止めようという提言【ファクトチェック】
政府が人口を4000万人減らして8000万人にしようとしているという主張が拡散していますが、誤りです。2100年に約6300万人に半減するという推計に対して8000万人台に食い止めようと提言で、意図的に減らすわけではありません。 検証対象 2025年4月7日、「政府が人口を4000万人減らそうとしている」という主張が拡散した(例1、例2)。投稿には岸田文雄前首相らの画像が添えられ、「提言 人口8000万人で安定化」などのテロップが入っている。 この投稿は5000件以上リポストされ、表示回数は112万回を超える。 別の投稿も4600件以上リポストされ、表示回数は68万回を超えている。 これらの投稿について、「とうとう公に人口削減言い出しましたね」「酷い話ですね…」などの反応の一方で、「この提言は少子高齢化により2100年に6000万人台に人口が落ち込む可能性があるのを8000万台に食い止めるという趣旨の内容」というコミュニティノートによる指摘もある。 検証過程 人口戦略会議による提言書 Googleレンズで検索したところ、拡散された画像はFNNの

石破首相「トランプ大統領に連絡できない」? まとめサイトによるもの

アメリカのトランプ政権の関税引き上げ方針をめぐって、石破茂首相が「トランプ大統領に連絡できない」と発言したかのような主張が拡散しましたが、誤りです。拡散した投稿は、まとめサイトによるもので、石破首相はトランプ氏と電話会談をしています。

石破首相「トランプ大統領に連絡できない」? まとめサイトによるもの【ファクトチェック】
アメリカのトランプ政権の関税引き上げ方針をめぐって、石破茂首相が「トランプ大統領に連絡できない」と発言したかのような主張が拡散しましたが、誤りです。拡散した投稿は、まとめサイトによるもので、石破首相はトランプ氏と電話会談をしています。 検証対象 2025年4月5日、「石破茂「トランプ大統領に連絡できません・・・誰と話せばいいかわからない・・・」という投稿が拡散した。 この投稿は4月14日までに860万回以上の閲覧回数と9500件以上のリポストを獲得している。 「何でこんなのに総理大臣やらせているの?」「中国ばかり見ているからこういうことになる」といったコメントがついている。 検証過程 検証対象のリンクは、まとめサイト「ハムスター速報」の記事だ。この記事には、石破首相批判や新聞社のXの投稿が並ぶ。その中に朝日新聞の「首相『誰と話せばトランプ氏に伝わる?』与野党党首に吐露した苦悩」という見出しの投稿がある。 記事は、4月4日に石破首相が与野党6党首と会談し、電話協議を調整していることを明らかにしながら「誰と話せばトランプ氏に伝わるのかわからない」と語っ

河野太郎氏 「消費が冷え込むのは若者が金を貯め込むから。増税しても問題ない」と発言? 番組での発言を歪曲

自民党の河野太郎衆院議員が「消費が冷え込むのは若い国民が金を貯め込んでいるから。増税しても問題ない」と発言したという投稿が拡散しましたが、誤りです。ネット番組での発言の一部を切り取って、異なる文脈を加えています。

河野太郎氏 「消費が冷え込むのは若者が金を貯め込むから。増税しても問題ない」と発言? 番組での発言を歪曲【ファクトチェック】
自民党の河野太郎衆院議員が「消費が冷え込むのは若い国民が金を貯め込んでいるから。増税しても問題ない」と発言したという投稿が拡散しましたが、誤りです。ネット番組での発言の一部を切り取って、異なる文脈を加えています。 検証対象 2025年4月6日、河野氏が「消費が冷え込むのは、若い国民が金を貯め込んでいるから、だから増税しても問題ない」と発言したという情報が、ネット番組「ABEMA Prime」の動画と共にXで拡散した。 110万を超える閲覧があり、3500のリポストがついている。そこには、「そもそも若い人たち、貯金ないだろ。貯める金もないのに、何言ってるんだろ」「税金取りすぎだからだよ」などというコメントがついている。一方で、「消費税は裕福な非課税世帯や高齢者からも応能負担で平等に徴税できる」という指摘もある。 検証過程 拡散した動画は、2025年3月25日に放送された46分間のネット番組「ABEMA Prime 迫る氷河期世代の『低年金』問題…年金制度は限界? 河野太郎が語る抜本改革」の一部だ。 ABEMA PrimeのYouTube公式アカウントが

富山県でササニシキの栽培が禁止? 特定品種の栽培を制限する法令はない

富山で米のササニシキの栽培が禁止されたという情報が拡散しましたが、誤りです。栽培を禁じるような法令はありません。宮城県で育成され東北を中心に栽培されているササニシキは、北陸の富山県ではこれまでもほとんど栽培されていませんでした。

富山県でササニシキの栽培が禁止? 特定品種の栽培を制限する法令はない 【ファクトチェック】
富山で米のササニシキの栽培が禁止されたという情報が拡散しましたが、誤りです。栽培を禁じるような法令はありません。宮城県で育成され東北を中心に栽培されているササニシキは、北陸の富山県ではこれまでもほとんど栽培されていませんでした。 検証対象 2025年4月6日、医師の内海聡氏が「富山でササニシキが禁止されたという情報が出回っている」という主張をXに投稿、拡散した。4月10日には46万を超える閲覧と2500以上のリポストがあったが、その後この投稿は削除された。 「ササニシキの栽培が禁止された」という情報は、Xだけでなくインスタグラムでも拡散していた。4月16日現在、それらの投稿の多くは削除されている。 「ササニシキないと困ります」「ササニシキ禁止。自由や権利人権無視」といったコメントのほか「元々、富山でササニシキはほとんど栽培されていないし東北でも近年は激減したと聞いてるから禁止する意味が分からない」という指摘もある。 検証過程 ササニシキとは ササニシキは1963年に宮城県で誕生し、東北を中心に栽培されてきた(宮城県)。あっさりとした味と食感か

指輪型ライトの接触不良、アルミホイルをボタン電池にはさむと解決? 発火する危険性

ボタン電池を使う指輪型ライトが接触不良になった場合、アルミホイルを電池の間に挟むと点灯するという情報が拡散しましたが、不正確です。アルミホイルを挟むと発火する危険性があるため、製造元が注意を呼びかけています。

指輪型ライトの接触不良、アルミホイルをボタン電池にはさむと解決? 発火する危険性【ファクトチェック】
ボタン電池を使う指輪型ライトが接触不良になった場合、アルミホイルを電池の間に挟むと点灯するという情報が拡散しましたが、不正確です。アルミホイルを挟むと発火する危険性があるため、製造元が注意を呼びかけています。 検証対象 2025年4月4日、ボタン電池を使った指輪型ライトの画像と共に「(ライトが)消えるのは接触不良なので、アルミホイルを良い感じの厚みに折り畳んで、電池2枚の間に挟んでみて!2時間ずっと元気に光るようになるよ!! これくらい適当で大丈夫…」という投稿が拡散した。 添付された画像ではボタン電池と同じサイズに折ったアルミホイルをボタン電池にかぶせている。 2025年4月17日現在、この投稿は1300件以上リポストされ、表示回数は195万回を超える。この投稿について「早速、やってみますね」「困ってたから助かります」というコメントの一方で「間違って火災とか起きる可能性があるのでオススメしません」という指摘もある。 検証過程 「ヒプムビ」とは、キャラクターがラップバトルをする音楽プロジェクト「ヒプノシスマイク」の映画版。観客参加型で、2025年2月

石破首相「トランプ大統領を怒らせてしまった」と発言? まとめサイトによるもの

石破首相が「トランプ大統領を怒らせてしまった」と発言したという情報が拡散しましたが、誤りです。投稿の見出しは、掲示板サイトのスレッドタイトルからの引用です。本人の発言は確認できません。

石破首相「トランプ大統領を怒らせてしまった」と発言? まとめサイトによるもの【ファクトチェック】
石破首相が「トランプ大統領を怒らせてしまった」と発言したという情報が拡散しましたが、誤りです。投稿の見出しは、掲示板サイトのスレッドタイトルからの引用です。本人の発言は確認できません。 検証対象 2025年4月8日、「【悲報】日米電話会談 石破総理『どうやらトランプ大統領を怒らせてしまったようだ・・・』」という投稿が拡散した。 2025年4月17日現在、この投稿は1700件以上リポストされ、表示回数は50万件を超える。投稿について、「トランプには通用しない」「怒らない方がおかしい」と石破首相を批判するコメントがついている。 検証過程 まとめサイトのタイトルは掲示板から 検証対象のリンクは、まとめサイト「2ちゃんねる」の記事だ。 掲示板サイト5ちゃんねるのスレッド「【日米電話会談】 石破総理『どうやらトランプ大統領を怒らせてしまったようだ…』」で、日テレNEWSが2025年4月7日に配信した記事「トランプ大統領『日本は貿易でアメリカをとてもひどく扱ってきた』」を引用元に挙げている。 日テレ記事は、トランプ大統領が石破首相との電話会談の後、SNSに

中国大使館「大地震の可能性が高い」と日本への渡航や留学中止を呼びかけ? 地震への一般的な注意喚起

駐日中国大使館が、大地震が発生する可能性が高いことを理由に、日本への渡航や留学の中止、帰国を呼びかけたという情報が拡散しましたが、誤りです。大使館は、日本への旅行や留学については慎重に計画し、不動産の購入は慎重に選択することを勧めていますが、渡航中止や帰国を求めてはいません。

中国大使館「大地震の可能性が高い」と日本への渡航や留学中止を呼びかけ? 地震への一般的な注意喚起【ファクトチェック】
駐日中国大使館が、大地震が発生する可能性が高いことを理由に、日本への渡航や留学の中止、帰国を呼びかけたという情報が拡散しましたが、誤りです。大使館は、日本への旅行や留学については慎重に計画し、不動産の購入は慎重に選択することを勧めていますが、渡航中止や帰国を求めてはいません。 検証対象 2025年4月15日、「在日本中国大使館よりお知らせ『日本では大地震が発生する可能性が高いと想定し、中国国民は日本への渡航や留学を中止するよう勧告します。すでに日本にいる中国国民は直ちに帰国してください!』」という投稿が拡散した。 投稿は中国語の投稿を引用している。引用元の投稿をXの機能で翻訳すると拡散した言説と同じ文言になる。 2025年4月17日現在、この投稿は4300件以上リポストされ、表示回数は307万回を超える。投稿について「えっみんな帰るの!」「これでほんとにあったら人工地震」というコメントの一方で「帰国しろとか、留学するなとかは書いてない」という指摘もある。 検証過程 日本ファクトチェックセンター(JFC)は駐日中国大使館のウェブサイトを確認した。 大

トランプ関税延期は農林中金が米国債を売却したから? 売却は2024年度

トランプ大統領が「相互関税」を90日間延期したのは、日本の農林中央金庫による米国債の売却が影響したという情報が拡散しましたが、誤りです。農林中金が米国債を売却したのは関税に関する発表前の2024年度です。

トランプ関税延期は農林中金が米国債を売却したから? 売却は2024年度【ファクトチェック】
トランプ大統領が「相互関税」を90日間延期したのは、日本の農林中央金庫による米国債の売却が影響したという情報が拡散しましたが、誤りです。農林中金が米国債を売却したのは関税に関する発表前の2024年度です。 検証対象 2025年4月11日、トランプ大統領が「相互関税」を延期したのは、日本の農林中央金庫が米国債を売り、米国債の価格低下と金利上昇を招いたからだという趣旨の投稿がXが拡散した。 投稿には、米国債の下落や金利上昇、株・ドル・債券のトリプル安を報じるテレビニュースの画像が添付され、「トランプ『相互関税発動!』→農林中金『バーゼル規制に引っかかって米国債強制決済…』→トランプ『え、米国債売られまくってる…!?ヤバい!関税90日延期で。日本め、報復しないとか言いながら、とんでもないことしやがる』→石破『なんか知らんけど助かった』→世界『日本ありがとう!』」などと書かれている。 4月18日現在この投稿は840万を超える閲覧、リポスト4900を超える。「日本が神風を起こし世界を救う」「相手はともあれ、やっぱり日本は神の国」といったコメントのほかに、「関税発動直

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【読売新聞】 大阪・関西万博を巡り、SNSで不正確な情報が拡散し、いたずらに不安をあおるような投稿も相次いでいる。専門家は「主催者側は正確な情報を発信することが重要だ」と指摘している。 ■不具合「ない」 人工島・ 夢洲 ( ゆめし

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「うそ八百含めて文書を作って流す行為は、公務員として失格」――。兵庫県の斎藤元彦知事が強い言葉で非難した自身に関する告発文書について、事実関係などを調べる第三者調査委員会が県に報告書を提出してから、…

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トランプ米大統領が繰り出す高関税が世界を揺るがしている。「相互関税」の詳細を発表した2日の演説では、日本市場の閉鎖性を数字を挙げて批判した。しかし、日本に関する四つの発言が正しいかどうかファクトチェックしたところ、事実誤認や正確さに欠ける部分があった。日本政府の説明不足も誤解を招く一因になっているようだ。

兵庫県の第三者委巡る言説「委員が利害関係者」「違法認定は不当」→専門家「どちらも問題なし」(神戸新聞)

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兵庫県の告発文書問題を調査し、県の対応を公益通報者保護法違反などと指摘した第三者調査委員会について「委員が利害関係者」「『違法』とまで認定するのはガイドラインに反している」などの言説が、交流サイト(SNS)を中心に飛び交っている。しかし、日本弁護士連合会のガイドライン策定に携わった専門家はいずれも否定しており、神戸新聞社の取材では第三者委の調査に問題はなく、二つの言説は「誤り」だった。(特集取材班)

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【4月17日 AFP】米国は16日、外国の偽情報を追跡する主要な政府部門を廃止した。「言論の自由」を守る措置だとしている

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European Broadcasting Union launches fact-checking unit
Public service broadcasters participating in the EBU will work on a new fact-check initiative that will strengthen investigative journalism and help fight online misinformation.

TikTokがコミュニティノート型のファクトチェック機能をリリース(Poynter)

TikTok to launch its own Community Notes-style fact-checking feature: Footnotes - Poynter
The social media platform joins X, Meta and YouTube in big tech’s push toward crowdsourced fact-checking

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偽・誤情報対策に不可欠な「社会全体での取り組み」と「情報的健康」【情報インテグリティ】

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By 古田大輔(Daisuke Furuta)
トランプ関税延期は農林中金が米国債を売却したから? 売却は2024年度【ファクトチェック】

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トランプ大統領が「相互関税」を90日間延期したのは、日本の農林中央金庫による米国債の売却が影響したという情報が拡散しましたが、誤りです。農林中金が米国債を売却したのは関税に関する発表前の2024年度です。 検証対象 2025年4月11日、トランプ大統領が「相互関税」を延期したのは、日本の農林中央金庫が米国債を売り、米国債の価格低下と金利上昇を招いたからだという趣旨の投稿がXが拡散した。 投稿には、米国債の下落や金利上昇、株・ドル・債券のトリプル安を報じるテレビニュースの画像が添付され、「トランプ『相互関税発動!』→農林中金『バーゼル規制に引っかかって米国債強制決済…』→トランプ『え、米国債売られまくってる…!?ヤバい!関税90日延期で。日本め、報復しないとか言いながら、とんでもないことしやがる』→石破『なんか知らんけど助かった』→世界『日本ありがとう!』」などと書かれている。 4月18日現在この投稿は840万を超える閲覧、リポスト4900を超える。「日本が神風を起こし世界を救う」「相手はともあれ、やっぱり日本は神の国」といったコメントのほかに、「関税発動直

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中国大使館「大地震の可能性が高い」と日本への渡航や留学中止を呼びかけ? 地震への一般的な注意喚起【ファクトチェック】

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駐日中国大使館が、大地震が発生する可能性が高いことを理由に、日本への渡航や留学の中止、帰国を呼びかけたという情報が拡散しましたが、誤りです。大使館は、日本への旅行や留学については慎重に計画し、不動産の購入は慎重に選択することを勧めていますが、渡航中止や帰国を求めてはいません。 検証対象 2025年4月15日、「在日本中国大使館よりお知らせ『日本では大地震が発生する可能性が高いと想定し、中国国民は日本への渡航や留学を中止するよう勧告します。すでに日本にいる中国国民は直ちに帰国してください!』」という投稿が拡散した。 投稿は中国語の投稿を引用している。引用元の投稿をXの機能で翻訳すると拡散した言説と同じ文言になる。 2025年4月17日現在、この投稿は4300件以上リポストされ、表示回数は307万回を超える。投稿について「えっみんな帰るの!」「これでほんとにあったら人工地震」というコメントの一方で「帰国しろとか、留学するなとかは書いてない」という指摘もある。 検証過程 日本ファクトチェックセンター(JFC)は駐日中国大使館のウェブサイトを確認した。 大

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
兵庫県知事選から考える選挙とファクトチェック 「情報の空白」をいかに埋めるか【情報インテグリティ】

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By 古田大輔(Daisuke Furuta)

ファクトチェック講座

JFCファクトチェック講師養成講座 申込はこちら

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日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。 次回の開講は5月28日(日)午後2時~3時半で、お申し込みはこちら。 https://jfcyousei0518.peatix.com/view 受講条件はファクトチェッカー認定試験に合格していること。講師養成講座は1回の受講で修了となります。 受講生には教材を提供 デマや不確かな情報が蔓延する中で、自衛策が求められています。「気をつけて」というだけでは、対策になりません。最初から騙されたい人はいません。誰だって気をつけているのに、誤った情報を信じてしまうところに問題があります。 JFCが国際大学グロコムと協力して実施した「2万人調査」では実に51.5%の人が誤った情報を「正しい」と答えました。一般に思われているよりも、人は騙されやすいという事実は、様々な調査で裏打ちされています。 JFCではこれらの調査をもとに、具体的にどのよう

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
理論から実践まで学べるJFCファクトチェック講座 20本の動画と記事を一挙紹介

理論から実践まで学べるJFCファクトチェック講座 20本の動画と記事を一挙紹介

日本ファクトチェックセンター(JFC)は、YouTubeで学ぶ「JFCファクトチェック講座」を公開しました。誰でも無料で視聴可能で、広がる偽・誤情報に対して自分で実践できるファクトチェックやメディアリテラシーの知識を学ぶことができます。 理論編と実践編の中身 理論編では、偽・誤情報の日本での影響を調べた2万人調査の紹介や、間違った情報を信じてしまう背景にある人間のバイアス、大規模に拡散するSNSアルゴリズムなどを解説しています。 実践編では、画像や動画や生成AIなど、偽・誤情報をどのように検証したら良いかをJFCが検証してきた事例から具体的に学びます。 JFCファクトチェッカー認定試験を開始 2024年7月29日から、これらの内容について習熟度を確認するJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。誰でもいつでも受験可能です(2024年度中は受験料1000円、2025年度から2000円)。 合格者には様々な技能をデジタル証明するオープンバッジ・ネットワークを活用して、JFCファクトチェッカーの認定証を発行します。 JFCファクトチェッカー認定試験

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
JFCファクトチェッカー認定試験  教材と申し込みはこちら

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日本ファクトチェックセンター(JFC)はJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。YouTubeで公開しているファクトチェック講座から出題し、合格者に認定証を授与します。 拡散する偽・誤情報から身を守るために 偽・誤情報の拡散は増える一方で、皆さんが日常的に使用しているSNSや動画プラットフォームに蔓延しています。偽広告や偽サイトへのリンクなどによる詐欺被害も広がっています。 JFCが国際大学グロコムと実施した2万人を対象とする調査では、実際に拡散した偽・誤情報を51.5%の割合で「正しいと思う」と答え、「誤っている」と気づけたのは14.5%でした。 自分が目にする情報に大量に間違っているものがある。そして、誰もが持つバイアスによって、それが自分の感覚に近ければ「正しい」と受け取る傾向がある。インターネットはその傾向を増幅する。 だからこそ、ファクトチェックやメディアリテラシーに関する知識が誰にとっても必須です。 JFCファクトチェック講座と認定試験 JFCファクトチェック講座(YouTube, 記事)は、2万人調査を元に偽・誤情報の拡散経路や

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)