政治家の発言を歪める偽情報/ヴァンス副大統領が日本を批判?/ゼレンスキー大統領の偽画像【今週のファクトチェック】

国内外の政治家の発言を歪める誤情報を検証しました。石破首相、ゼレンスキー大統領など、対象は様々です。権力者が事実に基づいて発言しているかを検証するのもファクトチェックの重要な役割ですが、権力者の発言を捏造したり、改変したり、ミスリードしたりしている投稿を検証することも重要です。
今週のファクトチェック
マイナンバーカードでの本人確認が禁止される?まとめサイトによるもの
「マイナンバーカードでの本人確認を禁止」との投稿が拡散しましたが、誤りです。拡散した投稿はまとめサイトのもので、見出しは掲示板サイトのスレッドタイトルを引用しているだけです。警察庁はマイナンバーカードの画像を送信して本人を確認する方法を2027年4月に廃止する方針です。

アメリカ・ヴァンス副大統領が日本のSNS規制を批判? 欧州に向けた発言
アメリカのJ・D・ヴァンス副大統領が日本のSNS規制を批判したという言説が拡散しましたが、誤りです。ヴァンス氏は2025年2月に欧州のSNS偽情報対策を批判する演説をしていますが、日本に向けた発言ではありません。

スーツを着るゼレンスキー大統領? ロシア侵攻開始前の姿
アメリカのトランプ大統領との面会でスーツを着ていなかったことが批判されたウクライナのゼレンスキー大統領が「他のVIPの前ではスーツ」という情報が拡散しましたが、ミスリードで不正確です。拡散した画像はロシアによる侵攻前のものです。

マスク氏がCNNを30億ドルで買収? 風刺サイトによるもの
第2次トランプ政権で政府効率化省(DOGE)の責任者も務める実業家イーロン・マスク氏が、米メディアCNNを30億ドルで買収したとの情報が拡散しましたが、誤りです。2024年に風刺サイトが発信した情報が再拡散しました。多くのファクトチェックによって誤りであると検証済みです。

衆議院予算委で安住委員長がれいわ・大石議員の質問を途中で切った? 持ち時間を超過
衆議院予算委員会の安住淳委員長(立憲民主党)が、れいわ新選組の共同代表、大石晃子議員の質問を持ち時間の途中なのに遮ったと主張する投稿が拡散しましたが、誤りです。大石議員は安住委員長から質問時間超過の注意を受け、最終的に58秒オーバーしました。

日本は世界一の重税国?OECD諸国の中でも比較的低い
日本は世界一の重税国だという主張が拡散しましたが、誤りです。国民所得で割った租税負担率や社会保障も加えた国民負担率は、OECD加盟国の中でも比較的低い水準にとどまります。

河野太郎前デジタル相がメール税を検討? まとめサイトによるもの
河野太郎前デジタル大臣がメール税を検討しているという情報が拡散しましたが、誤りです。拡散した投稿はまとめサイトのXアカウントで、見出しは一般ユーザーのX投稿を引用しているだけです。

ドイツが「アメリカからの独立」のため核武装を表明? まとめサイトによるもの
ドイツが「アメリカからの独立」のため核武装を表明したとの主張が拡散しましたが、誤りです。拡散した投稿はまとめサイトのもので、見出しは掲示板サイトのスレッドタイトルを引用しているだけです。次期首相就任が有力視されているフリードリヒ・メルツCDU党首が米国への軍事的依存からの脱却を目指す考えを示したのは事実ですが、ドイツの核武装を表明したわけではありません。

毎年16億円の税金が「救う会」へ流れている? 政府「公金の支出はない」
毎年16億円の税金が「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)」に支出されていると主張する投稿が拡散しましたが、誤りです。救う会全国協議会や加盟組織が公表する決算報告には公金による収入があったことを示す記述はありません。政府の拉致問題対策本部も公金支出を否定しています。

今週のJFC動画
岩手県の山火事は兵器が原因?
岩手県大船渡市の山火事をめぐって「兵器によって起こされた」「スマートシティ化のために狙ってやっている」などの主張が拡散していますが、誤りです。アメリカの火災でも同様の情報がありました。災害時にはこうした陰謀論が拡散します。
その他の関連記事
検証 SNSと選挙(毎日放送)
2024年秋の兵庫県知事選挙では失職した斎藤元彦知事が再選しました。この選挙で大きな役割を果たしたのがSNSでした。さらにこの選挙では、自身の当選を目的としない立候補者の存在も大きな影響を及ぼしました。今後の「選挙のあり方」について、毎日放送が専門家に取材しました。

選挙でのSNS偽情報対策を強化へ、石破首相「罰則適用や迅速な削除対応をやっていく」(読売新聞)
石破首相は3月6日の参院予算委員会で、選挙に関するSNSなどでの偽情報の拡散防止策を強化する考えを示しました。そこでは「偽情報が国内・国外の由来かを問わず、公職選挙法の虚偽事項公表罪など罰則の適用や、情報流通プラットフォーム対処法を活用した迅速な削除対応をやっていく」と述べています。

ゼレンスキー大統領に関する偽動画など急増 米大統領と会談後(NHK)
アメリカのトランプ大統領と激しい口論となった会談のあと、SNSではウクライナのゼレンスキー大統領に関する偽の動画や、海外からの支援を流用しぜいたくをしているとする偽情報などの投稿が急増し、3日間だけで日本語での投稿数が1万8000以上に上ることがNHKの分析でわかりました。

「花農家にコメ作らせる」 新法でデマ、米騒動の余波(日経新聞)
食料安全保障に関する新法「食料供給困難事態対策法」を巡り、偽情報がSNSで広がっています。背景にはコメ価格の高騰などがあります。日経が報じました。

偽情報対策「企業に責任」57% ネット発達、良い・悪い拮抗(日経新聞)
日経新聞が2024年11~12月に実施した郵送世論調査で、偽情報対策はSNS運営事業者に責任があるという回答が、これまで最も多かった「閲覧する個人の責任」と並びました。

ソーラーパネル広告に岸田文雄氏 なりすましか 事務所は「本人に間違いない」(産経新聞)
ソーラーパネルのネット広告に岸田文雄前首相の写真が使われていますが、「なりすまし広告」の可能性が高いと産経新聞が報じました。
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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