USAIDをめぐる誤情報が大量に拡散/トランプ政権に注目集まる 【今週のファクトチェック】

USAIDをめぐる誤情報が大量に拡散/トランプ政権に注目集まる 【今週のファクトチェック】

USAID(アメリカ国際開発庁)をめぐるトランプ大統領、イーロン・マスク氏の発言をきっかけにさまざまな誤情報が日本でも拡散しました。世界中のメディアが検証しています。その他にもトランプ政権の動きに呼応する形で誤情報が広がっています。

✉️
日本ファクトチェックセンター(JFC)がこの1週間に出した記事を中心に、その他のメディアも含めて、ファクトチェックや偽情報関連の情報をまとめました。同じ内容をニュースレターでも配信しています。登録はこちら

JFCからのニュース

2月22日、立教大学が主催する災害と選挙時の偽・誤情報の問題にフォーカスした公開講演会が開かれます。マスメディアの取り組みや課題、リテラシーについて関係する登壇者が議論します。JFCから古田編集長と宮本副編集長が登壇します。

公開講演会「ソーシャルメディアの社会デザイン~選挙と災害の事例~」 | 立教大学
SNSや動画配信プラットフォーム、ブログ、メッセージングアプリなどのソーシャルメディアの普及は社会や個人にとって新たな可能性を広げる一方で、同時に、様々な問題を引き起こしている。真偽未確認な情報、根拠不明な情報、誹謗中傷の言説が大量に拡散し、偽・誤情報が社会を混乱させる事態が生じている。令和6年元旦に発生した能登半島地震ではSNS上に救助を求める虚偽の情報を投稿し人命救助を妨げた者が偽計業務妨害容疑で逮捕された。また、昨年実施された都知事選、総選挙、米国大統領選、兵庫県知事選では、SNS等のソーシャルメディア上に、偽・誤情報が溢れた。偽・誤情報の拡散は、災害時は救命・救護活動や復旧活動に悪影響を及ぼし、選挙運動では選挙結果を左右し民主主義の基盤を揺るがしかねない。そこで、本シンポジウムでは、災害と選挙にフォーカスして、SNS等のソーシャルメディアの利用ルールの在り方や、プラットフォーム事業者、ファクトチェック団体、マスメディア等による偽・誤情報の事中対策、メディアリテラシーなどについて、話し合う。

JFCファクトチェック講師養成講座

日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。

次回の開講は3月15日(土)午後2時~3時半で、お申し込みはこちら

受講条件はファクトチェッカー認定試験に合格していること。講師養成講座は1回の受講で修了となります。

JFCファクトチェック講師養成講座 申込はこちら
日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。 次回の開講は2月15日(土)午後2時~3時半で、お申し込みはこちら。 https://jfcyousei20250215.peatix.com/view 受講条件はファクトチェッカー認定試験に合格していること。講師養成講座は1回の受講で修了となります。 受講生には教材を提供 デマや不確かな情報が蔓延する中で、自衛策が求められています。「気をつけて」というだけでは、対策になりません。最初から騙されたい人はいません。誰だって気をつけているのに、誤った情報を信じてしまうところに問題があります。 JFCが国際大学グロコムと協力して実施した「2万人調査」では実に51.5%の人が誤った情報を「正しい」と答えました。一般に思われているよりも、人は騙されやすいという事実は、様々な調査で裏打ちされています。 JFCではこれらの調査をもとに、具体的に

日本ファクトチェックセンター 学生インターンを募集

日本ファクトチェックセンター(JFC)は、事実に基づく正確な情報を発信し、誤情報・偽情報の拡散を防ぐファクトチェック(事実の検証)に取り組む非営利組織です。今回、調査・検証のスキルを実践的に学びたい学生向けにインターン(有給)を募集します!

募集は2名で採用決定次第、締め切ります。

日本ファクトチェックセンター 学生インターンを募集
日本ファクトチェックセンター(JFC)は、事実に基づく正確な情報を発信し、誤情報・偽情報の拡散を防ぐファクトチェック(事実の検証)に取り組む非営利組織です。今回、調査・検証のスキルを実践的に学びたい学生向けにインターン(有給)を募集します! JFCでは現在、5人のインターンが日々のファクトチェックのリサーチなどの業務に携わり、調査・検証や発信のスキルをプロのファクトチェッカーや編集者たちから実践的に学んでいます。 2人が今春卒業するため、新たに2名を募集いたします。業務や勤務の概要は以下の通りです。興味のある方は、ぜひご応募ください。 ファクトチェックは偽情報・誤情報が大量に拡散する現代に必須の技術です。JFCで学び、実践しましょう! ◆ インターン概要 業務内容: ・ソーシャルメディアで拡散する情報や著名人の発言などのリサーチ ・検証のための関連情報のリサーチ ・ファクトチェック記事の 執筆補助 ・ソーシャルメディアでの発信補助 勤務形態: ・ 1日4時間、週2〜3回(スケジュールは柔軟に対応) ・リモート勤務(オンライン) ・時給制 募

今週のファクトチェック

自動車の走行距離課税が4月から始まる?導入は決まっていない

自動車の走行距離に対して課税する制度が4月から始まるという投稿がニュース映像と共に拡散しましたが、誤りです。政府の税制調査会で導入の検討について意見が出されていますが、決まっていません。

自動車の走行距離課税が4月から始まる?導入は決まっていない【ファクトチェック】
自動車の走行距離に対して課税する制度が4月から始まるという投稿がニュース映像と共に拡散しましたが、誤りです。政府の税制調査会で導入の検討について意見が出されていますが、決まっていません。 検証対象 2025年2月3日、「走行距離税だって、本気か!?」というコメントと共に、「走行距離課税が4月から始まります😡😡😡」というテロップのある動画を載せた投稿が拡散した。 この投稿は400万件を超える閲覧と7000件以上のリポストを獲得している。 リプライでは「だれかクーデター起こしてもらっていいですか?」というコメントの一方、「これいつの記事よ」などの指摘もある。 検証過程 走行距離課税とは 走行距離課税とは、自動車の走行距離に応じて課税するものだ。低燃費車や電気自動車の普及などで燃料税などからの税収が減少する傾向にある。そこで、走行距離に応じて課税することで、安定的な財源確保を目指すという新たな課税方式だ。すでに導入している国もある(国立国会図書館 調査及び立法考査局 諸外国の自動車関係税 2025年1月20日 150ページ〜)。 動画は20

ホワイトハウスが新型コロナウイルスの起源を武漢の研究所と正式認定? 現時点では言及にとどまる

新型コロナウイルスは中国・武漢にある研究所から出たとホワイトハウスが正式に認めたかのような投稿が拡散しましたが、不正確です。投稿に添付されたホワイトハウス報道官による会見動画を確認すると、新型コロナの起源に触れているものの、正式に認定したとは言えません。

ホワイトハウスが新型コロナウイルスの起源を武漢の研究所と正式認定? 現時点では言及にとどまる【ファクトチェック】
新型コロナウイルスは中国・武漢にある研究所から出たとホワイトハウスが正式に認めたかのような投稿が拡散しましたが、不正確です。投稿に添付されたホワイトハウス報道官による会見動画を確認すると、新型コロナの起源に触れているものの、正式に認定したとは言えません。 検証対象 2025年2月5日、「ホワイトハウス、新型コ〇ナウィ〇スが中国武漢ウィ〇ス研究所からきていると正式認定」という情報がXで拡散した。 2025年2月10日現在、この投稿は1.2万回リポストされ、表示回数は425万回を超える。投稿には、「誰もがそう思ってた」「一層中国に対して慎重にならなければ」などのコメントがついている。 検証過程 ホワイトハウス報道官の会見内容は 検証対象の投稿には、ホワイトハウスのレビット報道官による会見を約30秒に編集した日本語字幕付き動画が添付されている。字幕は以下の通り。 「数年前 私は ここのメディアの一員として働いていた頃 トランプ大統領が新型コロナは武漢のある実験室から来ていることを暗示したが ここに集まった大勢の人々に陰謀論者だと笑われた しかし 彼

韓国の地下鉄に日本語案内はない? 車内外に多数の案内

「韓国の地下鉄に日本語案内はない」との主張が拡散しましたが、誤りです。ソウルの地下鉄車内外に、日本語による案内が多数あります。日本語による車内放送も流れています。

韓国の地下鉄に日本語案内はない? 車内外に多数の案内【ファクトチェック】(修正あり)
「韓国の地下鉄に日本語案内はない」との主張が拡散しましたが、誤りです。ソウルの地下鉄車内外に、日本語による案内が多数あります。日本語による車内放送も流れています。 検証対象 2025年1月27日、「韓国の地下鉄では日本語の案内はありません」などと主張する投稿が拡散した。「私が実際にソウルで撮影した映像です」とする、韓国の鉄道の車内を映した動画も添付されている。 投稿は2月12日時点で4600件以上のリポストと170万件以上のインプレッションを獲得している。 「日本にもハングルの案内無くて結構です」「以前訪韓した時に、知人から電車の中で日本語を話さないように言われました。危険だからって」などのコメントが付く一方で、「韓国めっちゃ日本語表記ある。電車乗ってたら絶対目に入るレベルで」との指摘もある。 検証過程 動画が撮られたのはソウルの地下鉄1号線 動画に映る車内の電光掲示板には「용산」との表記がある他、音声アナウンスも「Yongsan-gu」と聞こえることから、梨泰院(イテウォン)やソウルタワーなど人気観光地に近いソウルの中心街・龍山(ヨンサン)駅付

田母神氏「発がん性物質を含んでいるため米国で発売禁止の除草剤を日本が引き受けている」? 禁止されていない

田母神俊雄・元航空幕僚長が「発がん性物質グリホサートを含んでいるため、ラウンドアップという除草剤は米国で発売が禁止されたのに、日本ではグリホサートの含有基準が大幅に緩和されている」などと主張しましたが、不正確です。ラウンドアップの主成分グリホサートはアメリカで禁止されておらず、日本での緩和は一部にとどまります。

田母神氏「発がん性物質を含んでいるため米国で発売禁止の除草剤を日本が引き受けている」? 禁止されていない【ファクトチェック】
田母神俊雄・元航空幕僚長が「発がん性物質グリホサートを含んでいるため、ラウンドアップという除草剤は米国で発売が禁止されたのに、日本ではグリホサートの含有基準が大幅に緩和されている」などと主張しましたが、不正確です。ラウンドアップの主成分グリホサートはアメリカで禁止されておらず、日本での緩和は一部にとどまります。 検証対象 2025年1月25日、 「発がん性物質グリホサートを含んでいるため米国で発売が禁止されたラウンドアップという除草剤を日本が引き受けている」などと主張する田母神氏の投稿がXで拡散した。 田母神氏は、東京大学大学院農学生命科学研究科特任教授・鈴木宣弘氏がネットで発信した内容だと前置きしたうえで、グリホサートの危険性について述べている。鈴木氏は、食料安全保障や農業政策に関する研究で知られる農業経済学者で、輸入小麦製品からの残留グリホサートに懸念を示し、国産品への切り替えを提唱している。しかし、彼の主張は誤りだとする指摘もある。 投稿は2月6日現在、3600回以上リポストされ、56.9万を超える表示がある。投稿に対して「アメリカの植民地ですね」「

太宰府天満宮が「日本遺産」取り消し、環境保護を優先したから? まとめ記事によるもの

福岡県の太宰府天満宮が、訪日外国人を排除して環境保護を優先したため、日本遺産から取り消されたという情報が拡散しましたが、誤りです。太宰府天満宮を含む地域が2025年2月に日本遺産から外されたのは事実ですが、天満宮単体ではなく、理由もインバウンド観光客の排除ではありません。

太宰府天満宮が「日本遺産」取り消し、環境保護を優先したから? まとめ記事によるもの【ファクトチェック】
福岡県の太宰府天満宮が、訪日外国人を排除して環境保護を優先したため、日本遺産から取り消されたという情報が拡散しましたが、誤りです。太宰府天満宮を含む地域が2025年2月に日本遺産から外されたのは事実ですが、天満宮単体ではなく、理由もインバウンド観光客の排除ではありません。 検証対象 2025年2月5日、「太宰府天満宮が『日本遺産』取り消し、インバウンド観光客を排除し環境保護を優先したから」という情報が拡散した。 2025年2月6日現在、この投稿は9800件以上リポストされ、表示回数は450万回を超える。投稿について「太宰府天満宮に拍手」「外人が来ないなら清々する」というコメントの一方で「捏造です」というコミュニティノートでの指摘もある。 検証過程 日本遺産と太宰府天満宮 日本遺産とは、個々の遺産ではなく、地域の有形・無形の遺産を一体的に指定してPRするもので、文化庁が認定する(日本遺産ポータルサイト)。 現在、文化庁の日本遺産には104件が登録されている(日本遺産ポータルサイト「すべてのストーリー」)。 太宰府天満宮を含む太宰府市をはじめとする

トランプ氏、イベルメクチン店頭販売の大統領令に署名? そのような大統領令はない

トランプ大統領がイベルメクチンを店頭販売できるようにする大統領令に署名したという情報が拡散しましたが、誤りです。2025年2月13日現在、そのような大統領令への署名はありません。

トランプ氏、イベルメクチン店頭販売の大統領令に署名? そのような大統領令はない【ファクトチェック】
トランプ大統領がイベルメクチンを店頭販売できるようにする大統領令に署名したという情報が拡散しましたが、誤りです。2025年2月13日現在、そのような大統領令への署名はありません。 検証対象 2025年2月10日、「トランプ大統領がイベルメクチンを店頭販売できるようにする大統領令に署名した」という情報が拡散した。 2025年2月13日現在、この投稿は2400件以上リポストされ、表示回数は34万回を超える。投稿について「羡ましすぎます」「嬉しい情報」というコメントの一方で「ソースはどちらですか?」という指摘もある。 検証過程 イベルメクチンとは イベルメクチンとは、寄生虫などが原因で引き起こされる感染症の特効薬。新型コロナウイルスに対する有効性が議論されてきたが、製薬会社「興和」は2022年9月、「有効性が見られなかった」と公表し、治療薬としての承認申請を断念した(NHK)。 イベルメクチンをめぐる誤情報は多数拡散され、日本ファクトチェックセンター(JFC)でも過去に検証し誤りと判定している。 安倍元首相、160万回分のコロナワクチンを返送し国民に

日米首脳会談で石破首相がトランプ大統領に握手を無視された? 画像は切り抜き

2025年2月7日(日本時間8日)に米ワシントンで開かれた日米首脳会談で、ドナルド・トランプ大統領が、石破茂首相が求めた握手を無視したという投稿が拡散しましたが、誤りです。拡散した画像は握手の直前を切り取ったものです。

日米首脳会談で石破首相がトランプ大統領に握手を無視された? 画像は切り抜き【ファクトチェック】
2025年2月7日(日本時間8日)に米ワシントンで開かれた日米首脳会談で、ドナルド・トランプ大統領が、石破茂首相が求めた握手を無視したという投稿が拡散しましたが、誤りです。拡散した画像は握手の直前を切り取ったものです。 検証対象 2025年2月8日、「日米首脳会談 握手を無視される…」というコメントとともに、2枚の画像つき投稿が拡散した。 投稿には石破首相が手を出している画像と、手を下げている画像が添付されている。 2025年2月14日現在、この投稿は5100件以上リポストされ、表示回数は513万回を超える。投稿について「予想通り」「嫌われてる」というコメントの一方で、「デマは辞めましょう」という指摘もある。 検証過程 石破首相とトランプ大統領による日米首脳会談の様子は、NHKの記事「【詳しく】日米首脳会談 石破首相『対米投資額1兆ドル規模に』」に添付された「【動画 27分29秒】日米首脳会談」で確認することができる。 首脳会談の後半(27分06秒ごろ)、石破首相は握手しようと手を出すが、トランプ大統領はカメラに目を向けているため、気づかない。拡散

USAID閉鎖を日本のマスメディアは報道していない?各社が報じている

USAID(アメリカ国際開発庁)の閉鎖について日本のマスメディアが報道していないという情報が拡散しましたが、誤りです。各社が報じています。

USAID閉鎖を日本のマスメディアは報道していない?各社が報じている【ファクトチェック】
USAID(アメリカ国際開発庁)の閉鎖について日本のマスメディアが報道していないという情報が拡散しましたが、誤りです。各社が報じています。 検証対象 2025年2月11日、まとめサイトのTwitter速報が「USAID(米国際開発援助庁)閉鎖、まじでどこも報道してない 日本のマスコミここまで狂ってるのか。。。」と投稿した。閲覧は79万を超え、7700のリポストがついている。 「これこそマスゴミたる所以ですね」「オールドメディアは完全に黒です」「相当な額がマスゴミ群へ」などのコメントが数多くついている。一方で、「さっき、ミヤネ屋でやってましたよ」という指摘もある。 検証過程 USAIDの「閉鎖」とは USAIDはアメリカ政府の海外支援を管轄する「US Agency for International Development(アメリカ国際開発庁)」のことだ。2月7日、トランプ政権が5000人を超える職員を290人にまで大幅に削減する方針だとアメリカの複数のメディアが報じた(NBCニュース)。 日本での報道は 日本ファクトチェックセンターが、USA

今週のJFC動画

「在日特権」という見出しで「働かず年600万円貰って遊んで暮らす優雅な生活」「税金は納めません」などと書かれたチラシの画像が拡散しました。その多くは誤りで、同様の情報は長年にわたって拡散し続けています。

そのほかの関連記事

USAIDめぐりトランプ大統領 マスク氏の投稿で “誤情報“ 拡散(NHK)

アメリカ政府で海外援助を管轄するUSAIDについて、資金提供を通じて、アメリカや日本などのメディアが操作されているといった誤った情報がSNSで広がっています。国内外のメディアにUSAIDから資金提供があったという情報をNHKが検証しました。

USAIDめぐりトランプ大統領 マスク氏の投稿で “誤情報“ 拡散 | NHK
【NHK】“数十億ドルがUSAIDなどから盗まれ、フェイクニュースメディアに渡っている“アメリカ政府で海外援助を管轄するUSAID…

USAIDめぐるトランプ氏の主張拡散 名指しされたメディアは否定(朝日新聞)

トランプ大統領がSNSへの投稿で、米国の対外援助の多くを担うUSAIDなどから数十億ドルが盗まれ、民主党に有利な話を報じるためにメディアに流れていると根拠を示さず主張。これが世界に拡散し、名指しされたメディアが「不正確」などとして相次いで否定しました。その余波は、日本にも及び、SNS上では、朝日新聞を含む日本メディアがUSAIDに関与しているとの書き込みもあり、朝日新聞もそのような事実はないと報じました。

USAIDめぐるトランプ氏の主張拡散 名指しされたメディアは否定:朝日新聞
トランプ米大統領が発した米国際開発局(USAID)をめぐるSNSへの投稿により、混乱が広がっている。米国の対外援助の多くを担うUSAIDなどから数十億ドルが盗まれ、民主党に有利な話を報じるためにメデ…

USAIDによる資金提供をめぐる偽・誤情報(AP通信)

トランプ政権がUSAID(国際開発庁)の解体に動く中、ソーシャルメディアではその改革を支持する偽・誤情報が拡散、中にはメディアに資金提供されてきたという主張もあります。AP通信がこうした情報を検証しました。

Claims about USAID funding are spreading online. Many are not based on facts
False and misleading social media posts are circulating online as the Trump administration moves to dismantle the U.S. Agency for International Development.

新聞はファクトチェックが使命 「報じない理由」説明必要な時代 江川紹子さんインタビュー(神戸新聞)

兵庫県知事選で争点の一つとなった告発文書問題で、SNS上で告発者の元西播磨県民局長のプライバシー情報が取り沙汰されながら新聞やメディアが扱わなかったことをどう考えるか。ジャーナリストの江川紹子さんに神戸新聞が聞きました。

新聞はファクトチェックが使命 「報じない理由」説明必要な時代 江川紹子さんインタビュー
兵庫県知事選で争点の一つとなった告発文書問題で、交流サイト(SNS)上で告発者の元西播磨県民局長のプライバシー情報が取り沙汰されながら新聞やメディアが扱わなかったことをどう考えるか。ジャーナリストの江川紹子さんに聞いた。(前川茂之)

選挙で流れる偽・誤情報 英専門家が語る「欧州が成功した対応策」(朝日新聞)

ウクライナ戦争や米大統領選などを巡り、偽・誤情報が飛び交っています。ソーシャルメディアやAI(人工知能)の発達もあり、様々な分野への影響が懸念されています。何が起きているのか。日本が取るべき対応は。英キングス・カレッジ・ロンドンのオーファー・フリッドマン上級講師に朝日新聞がインタビューしました。

選挙で流れる偽・誤情報 英専門家が語る「欧州が成功した対応策」:朝日新聞
ウクライナ戦争や米大統領選などを巡り、偽・誤情報が飛び交っています。ソーシャルメディアやAI(人工知能)の発達もあり、様々な分野への影響が懸念されています。何が起きているのか。日本が取るべき対応は。…

ブラジルとEU、SNS規制で連携 偽情報対策に共通の関心(日経新聞)

ブラジルとEUがSNS規制で連携する動きがあります。トランプ政権下でテック企業が自主規制を弱めるなか、偽情報対策に積極的な欧州とブラジルを姿勢について、日経が報じています。

ブラジルとEU、SNS規制で連携 偽情報対策に共通の関心 - 日本経済新聞
【サンパウロ=水口二季】ブラジルと欧州連合(EU)がSNSの規制で連携を探る。フランスとは偽情報やヘイト行為などの取り締まりに向けて協力する。トランプ米政権下でテック企業が自主規制を弱めるなか、欧州

バンス氏「欧州民主主義」否定 SNS規制でマスク氏擁護(日経新聞)

バンス米副大統領は14日、ミュンヘン安全保障会議で登壇し、欧州でのSNS規制を「検閲」「民主主義の破壊」などと批判しました。SNS規制を緩める方向にあるトランプ政権と欧州との違いが明確となっています。

バンス氏「欧州民主主義」否定 SNS規制でマスク氏擁護 - 日本経済新聞
【ミュンヘン=飛田臨太郎、辻隆史】訪欧中のバンス米副大統領は14日、世界各国の首脳や外相、国防相らを前に演説し、欧州各国の民主主義のあり方を攻撃した。SNS規制などを巡り「検閲」「民主主義の破壊」などと厳しい言葉で批判した。ウクライナを侵略するロシアの脅威を前に米欧の深刻な対立の芽が露呈した。【関連記事】・・最大の脅威は「欧州内側」ドイツで外交・安全保障問題を話し合うミュンヘン安全保障会議で


判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

毎週、ファクトチェック情報をまとめて届けるニュースレター登録(無料)は、上のボタンから。また、QRコード(またはこのリンク)からLINEでJFCをフォローし、気になる情報を質問すると、AIが関連性の高いJFC記事をお届けします。詳しくはこちら

もっと見る

「ファクトチェックしたことない」半数、フィルターバブルなどの知識も普及せず 情報インテグリティ調査から見える課題と対策

「ファクトチェックしたことない」半数、フィルターバブルなどの知識も普及せず 情報インテグリティ調査から見える課題と対策

偽・誤情報の影響やその対策などの状況を総合的に把握するため、日本ファクトチェックセンター(JFC)は電通総研と共同で「情報インテグリティ調査」を実施しました。予備調査2万人、本調査5000人を対象に、JFCが実際に検証した15の偽・誤情報を使った影響調査の他、望ましい対策などを聞きました。 偽・誤情報の影響として「ストレスや不安を感じる」(48.3%)や、「ニュースに関する関心が低下した」(44.4%)などの回答が目立っています。 一方で「ファクトチェックをおこなったことがない」(47%)、「検証方法を学んだことはない」(64.3%)など、個人でも実践できる対策は普及しておらず、デジタル時代の情報環境を理解するための基礎的な用語の理解もほとんど広がっていないことが明らかになりました。 詳細版は月内に発表予定で、ここでは概要を紹介します。 偽・誤情報の影響「ストレス感じる」「ニュースに対する関心が低下した」 調査によると、「インターネット上の誤った情報・ニュースの存在があなたのニュースに対する態度や行動にどのような影響を与えていますか」という質問に対して「

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
ファクトチェック記事の増加と多様化 メディアリテラシー教育やAIツール開発など検証の実践的な知見を活用【JFC活動報告】

ファクトチェック記事の増加と多様化 メディアリテラシー教育やAIツール開発など検証の実践的な知見を活用【JFC活動報告】

日本ファクトチェックセンター(JFC)は2022年10月の設立からの活動をまとめた報告書を公開しました。詳しくはJFCサイトの「JFCとは」で章ごとにまとめていますので、そちらを御覧ください。 JFCとは日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェック(事実の検証)の実践とメディア情報リテラシーの普及に取り組む非営利組織です。民主主義の基盤であるデジタル公共空間の健全性を維持・向上させることを目的として活動します。 JFC活動報告「情報インテグリティのために」 JFCの設立経緯と組織構造:独立性を保つために JFCの設立経緯、体制、ファクトチェック組織としての独立性を保つための取り組みなどを説明しています。 JFCの設立経緯と組織構造日本ファクトチェックセンター(JFC)は、民主主義の基盤となるインターネットの言論空間の健全性を向上させることを目的とし、ファクトチェックとメディアリテラシー普及に取り組む非営利組織です。 拡散する不確かな情報について、証拠に基づいて真偽を確かめる「ファクトチェック(事実の検証)」、現代の情報環境への理解と対応力を高める「メディアリ

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
仏政府「第三次世界大戦が来る」と国民に食料備蓄指示? まとめサイトによるもの【ファクトチェック】

仏政府「第三次世界大戦が来る」と国民に食料備蓄指示? まとめサイトによるもの【ファクトチェック】

フランス政府が「第三次世界大戦が来る」として国民に食料備蓄を指示したとする投稿が拡散しましたが、誤りです。拡散した投稿はまとめサイトのXアカウントで、見出しは掲示板サイトのスレッドタイトルを引用しているのみです。 検証対象 2025年3月25日、「フランス政府、国民に食糧備蓄を指示『今年第三次世界大戦が来る』」という投稿が拡散した。この投稿は2025年3月31日までに296万回以上の閲覧回数と4500件以上のリポストを獲得している。 検証過程 検証対象のリンクは、まとめサイト「ツイッター速報〜BreakingNews」の記事だ。タイトルは掲示板サイト5ちゃんねるのスレッド「フランス政府、国民に食糧備蓄を指示『今年第三次世界大戦が来る』」で、The People’s Voice(TPV)が2025年3月20日に配信した記事「France Orders Citizens to Stockpile Food: “World War 3 Is Coming This Year”」を引用元にしている。 TPVは「大手メディアの扱わないニュースを扱うことで読者に真

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
運営委員会報告書及び監査委員会報告書を公開

運営委員会報告書及び監査委員会報告書を公開

運営委員会報告書及び監査委員会報告書を公開しましたのでお知らせいたします。JFCでは運営委員会を設置し、編集部がファクトチェックガイドラインに則って検証を実施しているかなど評価しています。運営委員会の内容は、運営委員会報告書として掲載されます。 また運営委員会と編集部全体のガバナンスが適正か確認する監査委員会を設置し、運営委員会報告書を閲覧するなどして監査を行っています。監査委員会の内容は監査委員会報告書として掲載されます。  なおこれらの適切な運用を図るためにルールを制定しており、「日本ファクトチェックセンター設置規程」(規程全文はこちら)及び「日本ファクトチェックセンター監査委員会運営規程」(規程全文はこちら)を公開しています。 これからもJFCは透明性確保のため、情報公開に努めて参ります。 運営委員会報告書2024年12月12日(報告書全文はこちら) 第1 運営委員の任命並びに委員長及び副委員長等の任命プロセス 第2 編集部メンバーの採用等編集に関わる人員 第3 外部機関との連携 第4 プラットフォーマー連携 第5 ファクトチェック記事の公開状況 第6 財務報告 第7 国

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)

ファクトチェック講座

JFCファクトチェック講師養成講座 申込はこちら

JFCファクトチェック講師養成講座 申込はこちら

日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。 次回の開講は4月19日(土)午後2時~3時半で、お申し込みはこちら。 https://jfcyousei0419.peatix.com/ 受講条件はファクトチェッカー認定試験に合格していること。講師養成講座は1回の受講で修了となります。 受講生には教材を提供 デマや不確かな情報が蔓延する中で、自衛策が求められています。「気をつけて」というだけでは、対策になりません。最初から騙されたい人はいません。誰だって気をつけているのに、誤った情報を信じてしまうところに問題があります。 JFCが国際大学グロコムと協力して実施した「2万人調査」では実に51.5%の人が誤った情報を「正しい」と答えました。一般に思われているよりも、人は騙されやすいという事実は、様々な調査で裏打ちされています。 JFCではこれらの調査をもとに、具体的にどのような知識と

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
理論から実践まで学べるJFCファクトチェック講座 20本の動画と記事を一挙紹介

理論から実践まで学べるJFCファクトチェック講座 20本の動画と記事を一挙紹介

日本ファクトチェックセンター(JFC)は、YouTubeで学ぶ「JFCファクトチェック講座」を公開しました。誰でも無料で視聴可能で、広がる偽・誤情報に対して自分で実践できるファクトチェックやメディアリテラシーの知識を学ぶことができます。 理論編と実践編の中身 理論編では、偽・誤情報の日本での影響を調べた2万人調査の紹介や、間違った情報を信じてしまう背景にある人間のバイアス、大規模に拡散するSNSアルゴリズムなどを解説しています。 実践編では、画像や動画や生成AIなど、偽・誤情報をどのように検証したら良いかをJFCが検証してきた事例から具体的に学びます。 JFCファクトチェッカー認定試験を開始 2024年7月29日から、これらの内容について習熟度を確認するJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。誰でもいつでも受験可能です(2024年度中は受験料1000円、2025年度から2000円)。 合格者には様々な技能をデジタル証明するオープンバッジ・ネットワークを活用して、JFCファクトチェッカーの認定証を発行します。 JFCファクトチェッカー認定試験

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
JFCファクトチェッカー認定試験  教材と申し込みはこちら

JFCファクトチェッカー認定試験  教材と申し込みはこちら

日本ファクトチェックセンター(JFC)はJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。YouTubeで公開しているファクトチェック講座から出題し、合格者に認定証を授与します。 拡散する偽・誤情報から身を守るために 偽・誤情報の拡散は増える一方で、皆さんが日常的に使用しているSNSや動画プラットフォームに蔓延しています。偽広告や偽サイトへのリンクなどによる詐欺被害も広がっています。 JFCが国際大学グロコムと実施した2万人を対象とする調査では、実際に拡散した偽・誤情報を51.5%の割合で「正しいと思う」と答え、「誤っている」と気づけたのは14.5%でした。 自分が目にする情報に大量に間違っているものがある。そして、誰もが持つバイアスによって、それが自分の感覚に近ければ「正しい」と受け取る傾向がある。インターネットはその傾向を増幅する。 だからこそ、ファクトチェックやメディアリテラシーに関する知識が誰にとっても必須です。 JFCファクトチェック講座と認定試験 JFCファクトチェック講座(YouTube, 記事)は、2万人調査を元に偽・誤情報の拡散経路や

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)