今も続く兵庫県知事選の誤情報/政治家の偽情報が相次ぎ拡散/生成AIのリスクに対応する法案【今週のファクトチェック】
兵庫県知事選挙からひと月以上が経過しても関連した誤った情報が出続けています。国会議員に関して発言の切り取りや捏造した画像が拡散しました。日本でも高まる生成AIのリスクに対して、政府が法案を作成する方針を出しました。
JFCからのニュース
2024年はこれまで以上に大量の誤情報/偽情報が拡散し、日本ファクトチェックセンター(JFC)は1年間で330件(2023年173件)の検証記事、50件の解説記事や教育講座を公開しました。その中で「10大ファクトチェック」をまとめました。
今週のファクトチェック
天皇陛下や上皇陛下がエプスタイン氏と写った画像?AI生成による捏造
天皇陛下や上皇陛下が、性的な人身売買疑惑で問題となった米国の実業家ジェフリー・エプスタイン氏と共に写った画像が複数拡散しました。これらの画像は全て捏造されたもので、誤りです。X(旧Twitter)に搭載されている生成AI「Grok」によって生成された、実際には存在しないフェイク画像です。
兵庫県知事選で稲村陣営が誹謗中傷を10倍した? 根拠とされた新聞記事は無関係
兵庫県知事選をめぐって、落選した稲村和美氏の陣営の方が誹謗中傷を「10倍していた」という情報が拡散しましたが、誤りです。根拠とされたグラフからはそうしたデータは読み取れず、元となる神戸新聞の記事にもありません。
小西洋之参院議員が国会乱闘中に女性議員の下着を覗いた?繰り返し拡散する捏造画像
立憲民主党の小西洋之参院議員が、国会の乱闘中に女性議員のスカートの中を覗き込んでいるような画像が拡散しましたが、捏造された画像で誤りです。乱闘の元画像は小西議員が初当選する7年前に撮られたもので無関係です。この画像は小西議員と名指しされる前から繰り返し拡散しています。
自民・小野寺政調会長が「国民の手取りが増えてしまう」と発言? 発言の切り取り
自民党の小野寺五典政調会長が「国民の手取りが増えてしまう」と発言した、という情報が拡散しましたが、不正確でミスリードです。NHKの討論番組で「手取りが増えてしまう」と発言したのは事実ですが「年収の壁」の引き上げ議論の中で、所得ごとに手取りの増え方に差があることを指摘する発言の一部が切り取られたものです。
自民党・高市早苗議員が日本銀行に提訴された? 投資に誘導する偽広告
自民党の衆院議員、高市早苗氏が日本銀行に提訴されたという広告が出現していますが、誤りです。投資を促す偽広告で、高市氏以外の著名人の画像が無断利用された事例を日本ファクトチェックセンターで繰り返し検証しています。
トルコ・エルドアン大統領が「クルドを絶滅させる」と発言? まとめサイトによるもの
トルコ・エルドアン大統領が「クルドを絶滅させる」と発言したという情報が拡散しましたが、不正確です。拡散した投稿は、まとめサイトのXアカウントで、見出しは掲示板サイトのスレッドタイトルを引用しているだけです。引用元とされるサイトは、円と外貨の為替レートを表示するもので、エルドアン大統領の発言に関する情報ではありません。
2025年1月から軽自動車の自賠責保険、修理費用が170%値上げ? まとめサイトによるもの
2025年1月から軽自動車の自賠責保険170%、車検費用は120%、修理費用が170%値上げという情報が拡散しましたが、誤りです。情報はまとめサイトの記事を引用したもので、情報のソースはありません。
今週のJFC動画
兵庫県知事選で稲村陣営が誹謗中傷を10倍した?根拠とされた新聞記事は無関係
兵庫県知事選をめぐって、落選した稲村和美氏の陣営の方が誹謗中傷を「10倍していた」という情報が拡散しましたが、誤りです。根拠とされたグラフからはそうしたデータは読み取れず、元となる神戸新聞の記事にもありません。
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「速やかなAI法整備を」政府の有識者会議、とりまとめ公表(朝日新聞)
生成AIに関する法整備の必要性を議論してきた政府の有識者会議「AI制度研究会」は12月26日、中間とりまとめ案を公表。「AIに係る制度整備の速やかな実施を期待する」とし、政府による実態調査や司令塔機能の強化を法律で定めるべきだと明記したと、朝日新聞が報じました。
2024年、アメリカの政治家に関するファクトチェック トップ10(ポインター)
大統領選のあった2024年、バイデン大統領、ハリス副大統領、そしてトランプ氏を中心にその発言などの10大ファクトチェックをポインター研究所が紹介しています。
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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