総選挙めぐる偽・誤情報/選挙直前オススメのサイト【今週のファクトチェック】

総選挙めぐる偽・誤情報/選挙直前オススメのサイト【今週のファクトチェック】

総選挙の投開票日です。日本ファクトチェックセンター(JFC)では選挙に関する偽・誤情報の検証記事を多数公開しています。誤った情報に基づいて投票したり、棄権したりしないように参考にしてください。投票の参考になる便利なサイトを紹介する解説記事も出しました。

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日本ファクトチェックセンター(JFC)がこの1週間に出した記事を中心に、その他のメディアも含めて、ファクトチェックや偽情報関連の情報をまとめました。同じ内容をニュースレターでも配信しています。登録はこちら

今週の解説

選挙で偽情報対策以上に重要なのは? 投票に役立つ正確で信頼性の高いサイト

偽情報・誤情報の対策は、ファクトチェックに限りません。重要なことは、正確で信頼性の高い情報を元に有権者が判断することです。総選挙の投開票日が10月27日に迫る中、誰に投票するかを決めるために役に立つ、信頼性の高い情報を提供するサイトを紹介します。

選挙で偽情報対策以上に重要なのは? 投票に役立つ正確で信頼性の高いサイト【解説】
偽情報・誤情報の対策は、ファクトチェックに限りません。重要なことは、正確で信頼性の高い情報を元に有権者が判断することです。総選挙の投開票日が10月27日に迫る中、誰に投票するかを決めるために役に立つ、信頼性の高い情報を提供するサイトを紹介します。 候補者アンケート一覧で個人と政党の政策チェック 新聞社やテレビ局などは、衆院選の候補者に様々なテーマについてのアンケートをとっています。特にNHKと朝日新聞の候補者アンケートは非常に見やすくまとめられています。 NHK衆院選2024候補者アンケート 衆議院選挙2024 候補者アンケート 衆院選立候補者へ質問と回答 NHK【NHK】NHKが独自で行った衆議院選挙候補者に政治とカネの問題や経済政策など、さまざまなテーマについてアンケートした調査結果です。衆議院議員選挙2024(公示日2024年10月15日/投票日10月27日)の情報はNHK「衆院選2024」特設サイトで。NHK選挙WEB日本放送協会 朝日・東大谷口研究室共同調査 https://digital.asahi.com/senkyo/shui

今週のファクトチェック

民主党政権下では株価が7000円台だった?日経平均株価が8000円を切ったのは自民党政権

民主党政権下では株価が7000円台だった?日経平均株価が8000円を切ったのは自民党政権【ファクトチェック】
「民主党政権下で株価が7000円台だった」との主張が拡散しましたが、誤りです。日経平均株価の終値が、バブル崩壊以降で最安値となる7054円98銭をつけたのは2009年3月10日で、この時は自民党政権です。民主党が政権を握っていた2009年9月16日〜2012年12月26日で株価が8000円を切ったことはありません。 検証対象 2024年10月15日、「民主党政権は失敗のデカさがレベチなんだよ。株価7000円台とか想像できるか?」などと主張する投稿がX(旧Twitter)で拡散した。 投稿は10月22日時点で1500件以上のリポストと80万件以上のインプレッションを獲得している。投稿には「民主党政権を知る世代の人たちはさすがに立憲民主には入れないよね?」「民主党政権時は就活100社200社って人もザラだったからねぇ」などのコメントが付く一方で、「株価7000円台になったのは2009年の3月。民主党政権になったのは9月から」といった指摘もある。 2024年10月21日には「リトマス」がこの言説を検証し、「誤り」と判定している。 検証過程 日経平均株価とは

有田芳生氏が女性器を携帯で撮影? 何度も拡散したコラ画像

2024年10月27日に投開票される衆院選で東京24区から立候補している有田芳生氏(立憲民主党)が女性の下半身を携帯電話で撮影しているような画像が拡散しましたが、偽物です。画像はこれまでに何度も拡散した合成写真で、捏造されたものです。

有田芳生氏が女性器を携帯で撮影? 何度も拡散したコラ画像【ファクトチェック】
2024年10月27日に投開票される衆院選で東京24区から立候補している有田芳生氏(立憲民主党)が女性の下半身を携帯電話で撮影しているような画像が拡散しましたが、偽物です。画像はこれまでに何度も拡散した合成写真で、捏造されたものです。 検証対象 2024年10月21日、「なんでこんなヨシフが優勢なのよ?萩生田さんてワンチャン総理大臣候補者だぞ!?」などという文言とともに、台の上で寝そべっている女性の下半身を有田氏が携帯電話で撮影しているような画像が投稿された。 画像には仰向けになりながらワンピースの裾をたくし上げる女性と、女性の足元側から携帯電話を手にする有田氏が写っている。また、背景に写っているホワイトボードには、「性器(世紀)のまん中3Dスキャン撮影会」「写真・動画撮影すべてOKです」「SNSへの投稿もご自由に 拡散希望」などと書かれている。 投稿には「はぁ気持ち悪い」「こんな奴を政治家にしちゃダメだろ」などのコメントが付く一方で、「コラ画像」との指摘もある。 検証過程 画像に写る女性は漫画家のろくでなし子氏 日本ファクトチェックセンター(J

開票機器大手「ムサシ」の筆頭株主は安倍晋三氏で票を操作? 選挙のたびに拡散する誤情報

総選挙に関連して、「開票機器大手の筆頭株主は安倍晋三氏」「不正が行われやすい」という言説が拡散しましたが、誤りです。筆頭株主が安倍氏だったという事実はなく、また開票作業は不正防止のため、機械だけでなく、人の目でも監視しています。

開票機器大手「ムサシ」の筆頭株主は安倍晋三氏で票を操作? 選挙のたびに拡散する誤情報【ファクトチェック】
総選挙に関連して、「開票機器大手の筆頭株主は安倍晋三氏」「不正が行われやすい」という言説が拡散しましたが、誤りです。筆頭株主が安倍氏だったという事実はなく、また開票作業は不正防止のため、機械だけでなく、人の目でも監視しています。 検証対象 2024年10月24日、森友学園事件で有罪判決を受けた籠池泰典氏が「我が国の選挙制度について、本来、手で開票していましたが、いまではムサシという機械が使われています」「ムサシという機械の筆頭株主も、安倍晋三首相とも聞いております」「自動集票することによって、不正が行われやすい状況」と語る過去の動画が再拡散した。投稿には「#ムサシ」のハッシュタグがつけられていた。 2024年10月24日午後2時現在、この投稿は240件以上リポストされ、表示回数は8000件を超える。投稿について「日本も選挙は茶番」「これは大事な情報」というコメントが付いている。 検証過程 筆頭株主は「上毛実業株式会社」 筆頭株主は、企業の有価証券報告書から確認することができる。日本ファクトチェックセンター(JFC)は、開票システム「ムサシ」を展開す

最高裁の国民審査は○か✖️を記入する制度? 〇を書くと無効票

「最高裁判所裁判官国民審査は本来○か✖️を記入する制度」という言説が拡散しましたが、誤りです。辞めさせたい裁判官に「×」を記載し、なければ何も記載せずに投票する制度です。「×」以外の記号を書くと無効票になります。

最高裁の国民審査は○か✖️を記入する制度? 〇を書くと無効票【ファクトチェック】
「最高裁判所裁判官国民審査は本来○か✖️を記入する制度」という言説が拡散しましたが、誤りです。辞めさせたい裁判官に「×」を記載し、なければ何も記載せずに投票する制度です。「×」以外の記号を書くと無効票になります。 検証対象 2024年10月15日、「最高裁判所裁判官国民審査は本来○か✖️を記入する制度」という言説が拡散した。 2024年10月25日現在、この投稿は9600件以上リポストされ、表示回数は300万回を超える。投稿について「今の制度はいびつ」「制度を変えるべき」というコメントの一方で「〇を書いたら無効票と聞いたのですが」という指摘もある。 検証過程 最高裁判所裁判官国民審査とは 既に任命されている最高裁判所の裁判官が、その職責にふさわしい者かどうかを国民が審査する制度。最高裁判所の裁判官は任命された後に初めて実施される衆議院選挙の投票日に国民審査を受ける。また、この審査の日から10年経過後の総選挙の投票日に次の審査を受ける(総務省「制度のポイントを知ろう!」)。 投票の方法は 総務省のサイトには投票の方法について「裁判官ごとに、辞め

開票率0%で当選確実と報道するゼロ打ちは不正選挙? 取材と統計学に基づく精度の高い予測

開票率0%で当選確実と報道するゼロ打ちは不正選挙? 取材と統計学に基づく精度の高い予測【ファクトチェック】
報道機関選挙のゼロ打ち(開票率0%で「当選確実」と報じること)について「ゼロ打ちすんな、選挙まで不正すんな」「#ゼロ打ちやめろ #不正選挙反対」といった言説が複数拡散しましたが誤りです。これはメディア各社が取材や統計学に基づいて非常に精度の高い予測を報じているものです。 検証対象 2024年10月27日に投開票される衆議院選挙について、報道機関の「ゼロ打ち」を投票が操作される不正選挙の証拠であるとするような言説が複数投稿されている(例1、例2、例3)。 検証過程 選挙において開票率が0%の段階でメディアが「当選確実」と報じることを「ゼロ打ち」「ゼロ票当打ち」などと呼ぶ。選挙報道では一般的な手法だ。 担当記者が選挙前から選挙区でどの候補者が優位に立っているかを各陣営などに取材。世論調査や期日前投票と当日の出口調査(投票所から出てきた人に誰に投票したか聞くこと)などで、その選挙区で誰がどれだけリードしているかを予測する。 逆転不可能なほどに差が開いている場合には、投票が締め切られた段階で、開票がまだ進んでいなくても「ゼロ打ち」をする。ゼロ打ちをするほどの

維新・馬場代表「企業団体献金を受け取らないのは日本維新の会だけ」? 共産党は受け取らず、綱領に明記

衆議院選の演説で、日本維新の会の馬場伸幸代表が「企業団体献金を受け取っていないのは日本維新の会だけ」と発言しましたが、不正確です。日本共産党は綱領に「受け取らない」と明記し、企業・団体献金を受け取っていません。

維新・馬場代表「企業団体献金を受け取らないのは日本維新の会だけ」? 共産党は受け取らず、綱領に明記【ファクトチェック】
衆議院選の演説で、日本維新の会の馬場伸幸代表が「企業団体献金を受け取っていないのは日本維新の会だけ」と発言しましたが、不正確です。日本共産党は綱領に「受け取らない」と明記し、企業・団体献金を受け取っていません。 検証対象 2024年10月11日、日本維新の会の馬場代表が「日本維新の会だけが企業・団体献金を受け取らないようにしています」と演説している動画をYouTubeの「維新の馬場ちゃんねる」で公開した。 「馬場代表頑張って下さい。」というコメントがある一方で「嘘ですね。政治資金パーティーやってるじゃん。政治資金収支報告書にも書いてあるけど」という指摘もある。 検証過程 日本共産党「企業・団体の献金を禁止」 日本共産党は企業・団体献金を受け取っていない。党員の党費や「しんぶん赤旗」の事業収入、寄付が主な収入だ(しんぶん赤旗「日本共産党の政治資金」)。 日本ファクトチェックセンター(JFC)が改めて共産党に話を聞いたところ、結党以来、受け取っておらず、2004年1月には党綱領を改定して「憲法と民主主義の分野で」という項目に「汚職・腐敗・利権の政治を

河野太郎氏が子宮頸がんワクチンは危険だと演説? 発言の切り取り

自民党の河野太郎氏が、街頭演説で「子宮頸がんワクチンは危険だ」と話す動画が拡散しましたが、ミスリードで不正確です。そのような発言はありますが、前後の文脈を無視して切り取ったものです。

河野太郎氏が子宮頸がんワクチンは危険だと演説? 発言の切り取り【ファクトチェック】
自民党の河野太郎氏が、街頭演説で「子宮頸がんワクチンは危険だ」と話す動画が拡散しましたが、ミスリードで不正確です。そのような発言はありますが、前後の文脈を無視して切り取ったものです。 検証対象 2024年10月21日、X(旧Twitter)で、「河野太郎、子宮頸がんワクチンの危険をうっかりバラした」という投稿が、河野氏の演説の動画と共に拡散した。10月25日現在、閲覧数は97万を超え、5600以上のリポストがある。 この投稿に対して、「子宮頸がん…といったつもりが、本当の事、言っちゃいましたね」「ワクチンで命落としたって言ってるよー」などのコメントのほか、「残念ながら日本では子宮頚ガンで命を落としている人がいます。と言おうとしたら、間違えワクチンと言ってしまったのか?」という指摘がある。 検証過程 河野氏の選挙演説の内容は 拡散した動画は8秒間で、河野氏が「今、日本で残念ながら子宮頸がんワクチンで命を落としている人がまだいます」と話す様子が映っている。拡散した投稿のリプライ欄には同じ演説を別の角度から撮影した2分55秒間の動画もある。 2分55秒

今週のJFC動画

偽情報・誤情報の対策は、ファクトチェックに限りません。重要なことは、正確で信頼性の高い情報を元に有権者が判断することです。総選挙の投開票日が10月27日に迫る中、誰に投票するかを決めるために役に立つ、信頼性の高い情報を提供するサイトを紹介します。

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ロシア、ハリス氏のAI偽動画を製作(日経新聞)

米のマイクロソフト社が、ロシアが人工知能(AI)を使い、米大統領選の民主党候補であるハリス副大統領の偽動画を製作したと指摘しました。日経新聞の記事です。

ロシア、ハリス氏のAI偽動画を製作 Microsoftが指摘 - 日本経済新聞
【シリコンバレー=山田遼太郎】米マイクロソフトは24日までに、ロシアが人工知能(AI)を使い、米大統領選の民主党候補であるハリス副大統領の偽動画を製作したと指摘した。選挙戦が最終盤に入るなか、投票日の11月5日の前後数日にわたり警戒を強めるよう有権者や米政府に呼びかけた。ロシア政府と連携する集団や同国拠点の工作員らが、ハリス陣営について複数の偽動画を作ったことを突きとめた。ハリス氏が共和党候補

ファクトチェック:企業・団体献金、共産も受け取らず (朝日新聞)

日本維新の会の馬場伸幸代表が「今、企業・団体献金を受け取っていないのは数ある政党の中でも維新の会だけ」と演説しましたが、朝日新聞が「共産党は企業・団体献金を受け取っていないとしており、党綱領で企業・団体献金を禁止している」というファクトチェック記事を出しました。

(ファクトチェック)企業・団体献金、共産も受け取らず:朝日新聞デジタル
■日本維新の会・馬場伸幸代表 「今、企業・団体献金を受け取っていないのは数ある政党の中でも維新の会だけ。皆さん方、ぜひこのことを覚えて帰っていただきたいと思います」(10月16日、東京都内の街頭演説…

【ファクトチェック】石破首相「(地震対応の)補正予算成立には2カ月はかかる」は不正確 国会党首討論で発言(Wasegg)

早稲田大瀬川ゼミが運営するWaseggが石破首相の国会での発言をファクトチェックしました。地震に対応する補正予算の成立には「2ヶ月はかかる」という発言について、過去の事例から不正確と判定しています。

【ファクトチェック】石破首相「(地震対応の)補正予算成立には2カ月はかかる」は不正確 国会党首討論で発言 | | Wasegg
2024年1月1日に発生した能登半島地震に関して、自民党は補正予算を組まずに予備費を用いて復旧・復興を進めている。この党首討論において、立憲民主党野田代表は、過去の震災では補正予算を1カ月で組むことができた例があるとし、「(国会の)会期を延長して、補正予算を通そうじゃありませんか」「予備費ではその効果が検証できない」と発言していた。この党首討論のABEMAニュース(YouTube)は約3.6万回再生され、 能登半島地震復興に向けた予算措置については、SNS上でも盛んに議論されている。今回の衆議院選において大きな争点の一つであるため、これらの発言を検証することにした。

関連イベント案内

ファクトチェックスキルを競うユース国際大会を開催 申し込みはこちら

日本ファクトチェックセンター(JFC)は11~12月、中学生〜大学生を対象に情報を検証するスキルを競う国際大会「Youth Verification Challenge 2024(YVC、日本語名はユースファクトチェック選手権)」をオンライン開催します。2〜3人でチームを組み、国内大会を勝ち抜くと世界大会でアジア各国のチームと決勝を争います。

ファクトチェックスキルを競うユース国際大会を開催 申し込みはこちら
日本ファクトチェックセンター(JFC)は11~12月、中学生〜大学生を対象に情報を検証するスキルを競う国際大会「Youth Verification Challenge 2024(YVC、日本語名はユースファクトチェック選手権)」をオンライン開催します。2〜3人でチームを組み、国内大会を勝ち抜くと世界大会でアジア各国のチームと決勝を争います。 ユースファクトチェック選手権2024 -「検索力」を競うファクトチェック世界大会ユース・ファクトチェック選手権(Youth Verification Challenge)は次世代を担う若者たちを対象に、どれだけ正確に、早くインターネットを駆使して情報を収集し検証できるかを競う3ステージに分けて行われる大会です。参加者はチームに分かれ、誤った情報を特定し、真実を立証することに焦点を当てた一連のミッションに取り組みます。最終ステージの世界大会では、日本、台湾、インドネシア、タイを含めた4カ国でそれぞれ勝ち残った上位3チームで、決勝大会を行います。 大会の概要 国内では2024年11月23日(土)にキックオフイベントを開催。

判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

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トランプ関税めぐる誤情報/ササニシキ栽培禁止?/情報インテグリティシンポから【今週のファクトチェック】

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トランプ大統領の相互関税延期をめぐって、農林中金が米国債を売却したからだという主張をファクトチェックしました。政治家や政府をめぐって偽・誤情報が拡散し続けています。4月2日に開催した情報インテグリティシンポジウムの基調講演やパネル討論を解説記事にまとめました。 ✉️日本ファクトチェックセンター(JFC)がこの1週間に出した記事を中心に、その他のメディアも含めて、ファクトチェックや偽情報関連の情報をまとめました。同じ内容をニュースレターでも配信しています。登録はこちら。 情報インテグリティシンポ関連記事 4月2日の国際ファクトチェックデーに合わせ、日本ファクトチェックセンター(JFC)が開催した情報インテグリティシンポジウムの内容を記事にしました。 偽・誤情報の影響が拡大する一方で対策は進まず 大規模調査から見える日本の一番の課題は 基調講演1ではJFCが電通総研と共同実施した情報インテグリティ調査の概要を紹介しました。偽・誤情報が社会にもたらす深刻な影響や対策としてのファクトチェックやメディアリテラシーが広がっていないことが明らかになっています。 発

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
偽・誤情報対策に不可欠な「社会全体での取り組み」と「情報的健康」【情報インテグリティ】

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4月2日の国際ファクトチェックデーに合わせ、一般社団法人セーファーインターネット協会(SIA)/日本ファクトチェックセンター(JFC)が開催した情報インテグリティシンポジウム。この記事ではパネル討論2「調和のある情報空間を目指す総合的な対策」の内容をお届けします。 モデレーター:古田大輔(日本ファクトチェックセンター 編集長) パネリスト: ・山本龍彦氏(慶應義塾大学大学院法務研究科教授) ・桒原響子氏(公益財団法人日本国際問題研究所研究員) ・吉田弘毅氏(総務省情報流通振興課企画官) 調和のある情報空間を目指す総合的な対策【パネル討論2】 登壇者の自己紹介 古田:山本さんから一言ずつ自己紹介をよろしくお願いします。 山本:皆さんこんにちは。慶應義塾大学のロースクールで憲法学を教えております山本と申します。今お話にあったように憲法学が専門なんですけれども、主にテクノロジーと人権、テクノロジーと民主主義の関係について考えてまいりました。 その関係で総務省さんのデジタル関連の検討会などにも巻き込まれている状況です。あとで吉田さんからもご紹介がありますが

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
トランプ関税延期は農林中金が米国債を売却したから? 売却は2024年度【ファクトチェック】

トランプ関税延期は農林中金が米国債を売却したから? 売却は2024年度【ファクトチェック】

トランプ大統領が「相互関税」を90日間延期したのは、日本の農林中央金庫による米国債の売却が影響したという情報が拡散しましたが、誤りです。農林中金が米国債を売却したのは関税に関する発表前の2024年度です。 検証対象 2025年4月11日、トランプ大統領が「相互関税」を延期したのは、日本の農林中央金庫が米国債を売り、米国債の価格低下と金利上昇を招いたからだという趣旨の投稿がXが拡散した。 投稿には、米国債の下落や金利上昇、株・ドル・債券のトリプル安を報じるテレビニュースの画像が添付され、「トランプ『相互関税発動!』→農林中金『バーゼル規制に引っかかって米国債強制決済…』→トランプ『え、米国債売られまくってる…!?ヤバい!関税90日延期で。日本め、報復しないとか言いながら、とんでもないことしやがる』→石破『なんか知らんけど助かった』→世界『日本ありがとう!』」などと書かれている。 4月18日現在この投稿は840万を超える閲覧、リポスト4900を超える。「日本が神風を起こし世界を救う」「相手はともあれ、やっぱり日本は神の国」といったコメントのほかに、「関税発動直

By 宮本聖二
中国大使館「大地震の可能性が高い」と日本への渡航や留学中止を呼びかけ? 地震への一般的な注意喚起【ファクトチェック】

中国大使館「大地震の可能性が高い」と日本への渡航や留学中止を呼びかけ? 地震への一般的な注意喚起【ファクトチェック】

駐日中国大使館が、大地震が発生する可能性が高いことを理由に、日本への渡航や留学の中止、帰国を呼びかけたという情報が拡散しましたが、誤りです。大使館は、日本への旅行や留学については慎重に計画し、不動産の購入は慎重に選択することを勧めていますが、渡航中止や帰国を求めてはいません。 検証対象 2025年4月15日、「在日本中国大使館よりお知らせ『日本では大地震が発生する可能性が高いと想定し、中国国民は日本への渡航や留学を中止するよう勧告します。すでに日本にいる中国国民は直ちに帰国してください!』」という投稿が拡散した。 投稿は中国語の投稿を引用している。引用元の投稿をXの機能で翻訳すると拡散した言説と同じ文言になる。 2025年4月17日現在、この投稿は4300件以上リポストされ、表示回数は307万回を超える。投稿について「えっみんな帰るの!」「これでほんとにあったら人工地震」というコメントの一方で「帰国しろとか、留学するなとかは書いてない」という指摘もある。 検証過程 日本ファクトチェックセンター(JFC)は駐日中国大使館のウェブサイトを確認した。 大

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ファクトチェック講座

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日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。 次回の開講は5月28日(日)午後2時~3時半で、お申し込みはこちら。 https://jfcyousei0518.peatix.com/view 受講条件はファクトチェッカー認定試験に合格していること。講師養成講座は1回の受講で修了となります。 受講生には教材を提供 デマや不確かな情報が蔓延する中で、自衛策が求められています。「気をつけて」というだけでは、対策になりません。最初から騙されたい人はいません。誰だって気をつけているのに、誤った情報を信じてしまうところに問題があります。 JFCが国際大学グロコムと協力して実施した「2万人調査」では実に51.5%の人が誤った情報を「正しい」と答えました。一般に思われているよりも、人は騙されやすいという事実は、様々な調査で裏打ちされています。 JFCではこれらの調査をもとに、具体的にどのよう

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
理論から実践まで学べるJFCファクトチェック講座 20本の動画と記事を一挙紹介

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日本ファクトチェックセンター(JFC)は、YouTubeで学ぶ「JFCファクトチェック講座」を公開しました。誰でも無料で視聴可能で、広がる偽・誤情報に対して自分で実践できるファクトチェックやメディアリテラシーの知識を学ぶことができます。 理論編と実践編の中身 理論編では、偽・誤情報の日本での影響を調べた2万人調査の紹介や、間違った情報を信じてしまう背景にある人間のバイアス、大規模に拡散するSNSアルゴリズムなどを解説しています。 実践編では、画像や動画や生成AIなど、偽・誤情報をどのように検証したら良いかをJFCが検証してきた事例から具体的に学びます。 JFCファクトチェッカー認定試験を開始 2024年7月29日から、これらの内容について習熟度を確認するJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。誰でもいつでも受験可能です(2024年度中は受験料1000円、2025年度から2000円)。 合格者には様々な技能をデジタル証明するオープンバッジ・ネットワークを活用して、JFCファクトチェッカーの認定証を発行します。 JFCファクトチェッカー認定試験

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JFCファクトチェッカー認定試験  教材と申し込みはこちら

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日本ファクトチェックセンター(JFC)はJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。YouTubeで公開しているファクトチェック講座から出題し、合格者に認定証を授与します。 拡散する偽・誤情報から身を守るために 偽・誤情報の拡散は増える一方で、皆さんが日常的に使用しているSNSや動画プラットフォームに蔓延しています。偽広告や偽サイトへのリンクなどによる詐欺被害も広がっています。 JFCが国際大学グロコムと実施した2万人を対象とする調査では、実際に拡散した偽・誤情報を51.5%の割合で「正しいと思う」と答え、「誤っている」と気づけたのは14.5%でした。 自分が目にする情報に大量に間違っているものがある。そして、誰もが持つバイアスによって、それが自分の感覚に近ければ「正しい」と受け取る傾向がある。インターネットはその傾向を増幅する。 だからこそ、ファクトチェックやメディアリテラシーに関する知識が誰にとっても必須です。 JFCファクトチェック講座と認定試験 JFCファクトチェック講座(YouTube, 記事)は、2万人調査を元に偽・誤情報の拡散経路や

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