自民党総裁選、デマの標的になったのは?/能登地方の大雨/新たなワクチン偽情報/中国からの認知戦【今週のファクトチェック】
自民党総裁選挙に関してさまざまな偽・誤情報が拡散、時間経過とともに誰がどのようにその標的になったのか、解説します。10月から始まる新型コロナワクチンの定期接種を前に偽情報が出てきました。中国の豪雨の映像を使って、能登地方の大雨被害だとする言説が拡散しました。
今週のファクトチェック解説
ファクトチェックやメディアリテラシー、偽情報対策について、JFCで解説した記事を紹介します。
自民党総裁選で偽・誤情報の標的になっているのは誰か その理由は【解説】
自民党総裁選をめぐって、偽・誤情報が拡散しています。候補者の誰が、なぜ標的になるのか。偽・誤情報の作成者・拡散者の特徴や動機について、日本ファクトチェックセンター(JFC)がこれまで公開した検証記事やSNS、検索データなどをもとに解説します。
今週のファクトチェック
深圳の日本人学校前に手向けられた献花が撤去された? 学校は屋内で保管、総領事館も発表
中国・深圳で日本人学校の男子児童が刺殺された事件で、「日本人学校に手向けられた献花が撤去された」との言説が拡散しましたが、誤りです。日本人学校は屋内で献花を保管しています。広州の日本総領事館も学校が気候を考慮して献花室に移動させたと発表しています。
兵庫県斎藤知事の公約実現率が98.8%? 着手のみで未達成のものを含む
兵庫県の斎藤元彦知事に関して「公約実現率が98.8%」という言説が拡散しましたが、不正確です。斎藤氏は「一定達成、着手したのは171項目で選挙時の公約の98.8%」と発言しており、実現率ではありません。
能登地方の大雨で濁流に飲まれる車? 中国の豪雨災害の映像
「石川県輪島市役所前が大変なことになっている」という文章とともに、複数の自動車が濁流に飲まれている映像が拡散しましたが、誤りです。動画は、中国河南省で起きた過去の豪雨被害の様子です。
新型コロナワクチン「KOSTAIVE」はフィンランド語で「復讐」? フィンランド語には存在せず由来は別
「新型コロナワクチンの名前『KOSTAIVE(コスタイベ)』はフィンランド語で『復讐』という意味」という言説が拡散しましたが、誤りです。フィンランド語に「kostaive」という単語は存在せず、「新型コロナを押さえ込む」という英語が由来です。
「高市早苗じゃないと日本は終わります」と石丸伸二氏が発言? 別人の発言
自民党総裁選に関連して「高市早苗じゃないと日本は終わります」と東京都知事選で次点だった元安芸高田市長の石丸伸二氏が発言したとする言説は誤りです。石丸氏ではなく、石丸氏を応援していたドトールコーヒー創業者の鳥羽博道氏の発言です。
今週のJFC動画
偽造マイナンバーカードによって4カ月の間に334億円が盗まれたとする言説が拡散しましたが、誤りです。この被害額はマイナンバーとは関係ありません。334億円の被害額は、全国の警察が2024年1-4月に認知したSNS型投資詐欺によるものです。
その他の関連記事
連載:偽情報を追う ネットに漂うフェイクニュース(朝日新聞)
実在する日本の学者の名前を使って沖縄の独立を煽るような偽記事が静かに広がり、その背後には中国の存在があった。朝日新聞による認知戦をめぐる調査報道です。
“ロシアやイランなど生成AI偽情報で情報工作活発化”米政府(NHK)
アメリカ大統領選挙の投票日が近づく中、アメリカ政府は、ロシアやイランなどが、生成AIでつくった偽情報を拡散し、選挙に影響を与えようという情報工作を活発化させているとする分析結果を公表しました。
Facebook上に1万件以上の証券会社の偽広告(日本経済新聞)
大手証券会社を騙る多数の偽アカウントが2023年8月以降この1年間に、累計で1万件以上の広告をFacebook上で配信していたことがわかったと日本経済新聞が報じました。
ニュース業界が直面する不確かな未来(AFP)
ニュースメディアは、これまでのビジネスモデルが成り立たなくなっていることなどから厳しい状況に置かれていますが、その要因の一つに偽情報の蔓延があるとフランスのAFP通信が伝えています。
ハリス副大統領、トランプ政権時について誇張した発言(POLITIFACT)
米大統領選の民主党候補、カマラ・ハリス氏がニュース専門局MSNBCのインタビューで、トランプ政権時に製造業で2万人の雇用が失われたと話しました。POLITIFACTはこの発言はほとんど誤り(Mostly False)だとファクトチェックしました。
偽のニュースサイトがウクライナの西側企業について偽情報を広めている(The Guardian)
イギリスを拠点とする偽のニュースサイトが、ウクライナにある西側企業に関する偽情報を広めており、EU並みに規制を強化するよう求める声が英国議会で上がっているとイギリスの新聞社 The Guardainが報じました。
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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