自民党総裁選挙、米大統領選挙/イワシやクジラの漂着は地震の影響?/ファクトチェック機関が減っている?【今週のファクトチェック】

自民党総裁選挙、米大統領選挙/イワシやクジラの漂着は地震の影響?/ファクトチェック機関が減っている?【今週のファクトチェック】

選挙では偽・誤情報が拡散しがちです。注目が集まり、対立構図を作りやすい状況だからです。自民党総裁選も例外ではありません。日経新聞が報じた「ファクトチェック機関が減っている」という状況の舞台裏も解説しました。

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今週のファクトチェック解説

ファクトチェックやメディアリテラシー、偽情報対策について、JFCで解説した記事を紹介します。

ファクトチェック機関が減っている理由と「狭義の検証」に止まらない大手メディアの役割【解説】

「世界中のファクトチェック機関が資金難や外部圧力で岐路に立たされている」(2024年9月11日)という記事を日本経済新聞が報じました。ファクトチェック機関が減っているというデータを紹介しています。ファクトチェックはこのまま停滞・衰退していくのか。その背景と対策を解説します。

ファクトチェック機関が減っている理由と「狭義の検証」に止まらない大手メディアの役割【解説】
「世界中のファクトチェック機関が資金難や外部圧力で岐路に立たされている」(2024年9月11日)という記事を日本経済新聞が報じました。ファクトチェック機関が減っているというデータを紹介しています。ファクトチェックはこのまま停滞・衰退していくのか。その背景と対策を解説します。 減っているのは新規参入 日経新聞の記事「ファクトチェック機関、運営岐路に 資金難や外部圧力で」が紹介したのは、米デューク大学のReporters’ Labが公開しているデータだ。2024年5月30日発表のデータによると、2022年に世界で活動しているファクトチェック機関の数は111カ国457だったが、2024年には439に減ったという。 ファクトチェック機関の多くは、この10年で誕生した。新しく生まれた組織もあれば、大手メディアの特設チームとして活動を始めたものもある。できたばかりで基盤が弱く、資金集めにも苦労するため、消えていく組織は以前から少なくなかった。 それでも、新しく生まれる組織が多いことがファクトチェック業界の急成長を支えていた。Reporters’s Labの集計では20

今週のファクトチェック

小泉進次郎氏「年金受給は80歳から」? 開始年齢の選択肢を広げる発言

自民党総裁選に立候補している小泉進次郎氏が「年金受給年齢は80歳からでいい」と発言したかのような言説が拡散しましたが、不正確です。現在の制度では、原則65歳受給開始で、60歳から75歳までの繰り上げ・繰り下げが選択できますが、小泉氏の発言は80歳まで選択肢を増やすものです。

小泉進次郎氏「年金受給は80歳から」? 開始年齢の選択肢を広げる発言【ファクトチェック】
自民党総裁選に立候補している小泉進次郎氏が「年金受給年齢は80歳からでいい」と発言したかのような言説が拡散しましたが、不正確です。現在の制度では、原則65歳受給開始で、60歳から75歳までの繰り上げ・繰り下げが選択できますが、小泉氏の発言は80歳まで選択肢を増やすものです。 検証対象 2024年9月の自民党総裁選に合わせて小泉進次郎氏が「65歳以上は『高齢者』なんてナンセンス』」「年金の受給開始年齢は『80歳でもいいのでは』」などと発言したという言説が拡散した(例1、例2、例3)。多いものは800万超の閲覧がある。 「いいわけねーだろ 親父は73で死んだわ」「国民の半数は一生年金を払って1円も認められないまま死んでいくんですね」と言った批判も広がっており、その多くは小泉氏が年金受給開始年齢を80歳まで遅らせるような発言をしたと受け止めている。 一方で、「進次郎は『年金80歳から』なんて言っていない」「あくまで個人の選択肢を広げるかどうか、という提案」などと拡散した投稿を否定する投稿や引用リポストもある。 この言説をめぐっては、InFactが検証して「不正

トランプ前大統領「ハイチ移民がペットを食べている」? 当局の否定相次ぐ

2024年9月10日の米大統領選テレビ討論会で、共和党候補ドナルド・トランプ前大統領が「オハイオ州に流入してきた連中が(州内のスプリングフィールド市で)犬や猫などのペットを食べている」と発言しました。トランプ氏の発言は誤りです。市の担当者は「移民コミュニティがペットを傷つけた情報はない」と否定。市警も「ペットが盗まれたり食べられたりしたという報告はない」としています。

トランプ前大統領「ハイチ移民がペットを食べている」? 当局の否定相次ぐ【ファクトチェック】
2024年9月10日の米大統領選テレビ討論会で、共和党候補ドナルド・トランプ前大統領が「オハイオ州に流入してきた連中が(州内のスプリングフィールド市で)犬や猫などのペットを食べている」と発言しました。トランプ氏の発言は誤りです。市の担当者は「移民コミュニティがペットを傷つけた情報はない」と否定。市警も「ペットが盗まれたり食べられたりしたという報告はない」としています。 検証対象 2024年9月10日の大統領選テレビ討論会で、共和党候補のトランプ氏は次のように発言した(発言部分は動画1や動画2)。 「スプリングフィールドにやってくる連中(ハイチ系の移民)は犬や猫を食べている。そこに住む人たちのペットを食べている」 その情報を即座に否定した討論会の司会者に対し、「テレビに映った人々が『私の犬が盗まれて食料にされた』と話していた」とも発言した。 トランプ氏の発言は波紋を広げ、オハイオ州の市庁舎に爆破予告が届くという事態にまで発展した。日本ファクトチェックセンター(JFC)は、トランプ氏の発言を検証した。 この発言は米メディアを中心にABC、BBC、CNN、米

イワシやクジラの漂着は地震の影響?関連づける根拠やデータはない

イワシが大量に海岸に漂着しているニュースとともに「地震の影響」といった言説が拡散していますが、根拠不明です。イワシやクジラ、イルカの海岸の漂着と地震を結びつけるデータはありません。

イワシやクジラの漂着は地震の影響?関連づける根拠やデータはない【ファクトチェック】
イワシが大量に海岸に漂着しているニュースとともに「地震の影響」といった言説が拡散していますが、根拠不明です。イワシやクジラ、イルカの海岸の漂着と地震を結びつけるデータはありません。 検証対象 北海道函館市の海岸に大量のイワシの群れが漂着した過去のニュース映像とともに「地震とかにお気をつけて下さい」「人工地震発生装置」「地震の前に打ち上げられる」などという投稿がXで拡散した(例1、例2、例3)。 検証過程 投稿に添付されていたのは、2023年12月7日に北海道函館市の海岸に大量のイワシの群れが漂着したことを伝えたANNニュースだ。 日本ファクトチェックセンター(JFC)は、大きな地震と魚やイルカ、クジラの海岸への漂着と関連性があるのかを調べた。 イワシの漂着と地震との関連 JFCは、この投稿にも使われている2023年12月のイワシ漂着に関して、福島第一原発事故の処理水放出を関連づけて拡散した言説を検証したことがある。 その際にJFCが取材した道立総合研究機構 函館水産試験場調査研究部の鈴木祐太郎主査はイワシが大量に漂着する事例は「北海道や青森県で

小泉進次郎氏「無理して大学行くな。例えば田舎の旅館の従業員とかになればいい」と発言? まとめサイトによる歪曲

自民党総裁選に立候補している小泉進次郎氏が「無理して大学行くな。例えば田舎の旅館の従業員とかになればいい」と発言したかのような言説が拡散しましたが、不正確です。2024年9月16日の討論会での小泉氏の「大学に行くのが全てじゃない」という発言を歪曲しています。

小泉進次郎氏「無理して大学行くな。例えば田舎の旅館の従業員とかになればいい」と発言? まとめサイトによる歪曲【ファクトチェック】
自民党総裁選に立候補している小泉進次郎氏が「無理して大学行くな。例えば田舎の旅館の従業員とかになればいい」と発言したかのような言説が拡散しましたが、不正確です。2024年9月16日の討論会での小泉氏の「大学に行くのが全てじゃない」という発言を歪曲しています。 検証対象 2024年9月18日、自民党総裁選に立候補している小泉氏が「無理して大学行くな。求められているところはいっぱいある。例えば田舎の旅館の従業員とかになればいい」と発言して炎上したとする言説が拡散した。投稿には、まとめサイト「NewsSharing」のリンクがある。 9月19日現在、この投稿は1.7万件以上リポストされ、表示回数は854万件を超える。投稿について「悪気なく本気で思ってそう」「国民を馬鹿にしすぎ」というコメントの一方で「全文読むとだいぶ印象が違います」という指摘もある。 検証過程 まとめサイトの記事は、2024年9月16日にスポニチがYahoo!ニュースで公開した記事を参照元にしている。 このスポニチの記事は、自民党総裁選の立候補者9人による9月16日の金沢市での討論会を報じ

新小学一年生のなりたい職業1位は殺し屋とホロライブ? 画像は改変されている

新小学一年生のなりたい職業について、男子1位が「殺し屋」、女子1位が「ホロライブ」というランキング画像が拡散しましたが、誤りです。拡散したのはいわゆるコラージュ画像で、本来の男子1位は「警察官」、女子は「ケーキ屋・パン屋」でした。

新小学一年生のなりたい職業1位は殺し屋とホロライブ? 画像は改変されている【ファクトチェック】
新小学一年生のなりたい職業について、男子1位が「殺し屋」、女子1位が「ホロライブ」というランキング画像が拡散しましたが、誤りです。拡散したのはいわゆるコラージュ画像で、本来の男子1位は「警察官」、女子は「ケーキ屋・パン屋」でした。 検証対象 2024年9月17日、「終わりだろ」という文言とともに新小学一年生のなりたい職業について、男子の1位が「殺し屋」で2位が「プーチン」、女子の1位が「ホロライブ」で2位が「トランプの妻」という画像が拡散した。 2024年9月19日現在、この投稿は1万回以上リポストされ、表示回数は780万回を超える。投稿について「今の小1はヤバい」「がちのやつ?」というコメントの一方で「冗談だとは分かっている」という指摘もある。 検証過程 画像はどこが作成したのかを調べるため「新小1 なりたい職業は?」でGoolge検索したところ、テレビ東京のYouTubeチャンネル「テレ東BIZ」の動画「コロナの影響も? 新小学1年生 就きたい職業ランキング クラレ調査(2021年4月2日)

外国人留学生には学費免除と10数万円の生活費が税金から支払われる? 対象は留学生の約3%

「外国人留学生には学費免除と10数万円の生活費が税金から支払われる」という言説が繰り返し拡散していますが、ミスリードで不正確です。留学生全体が対象のように読めますが、実際の対象者は留学生の約3.2%です。

外国人留学生には学費免除と10数万円の生活費が税金から支払われる? 対象は留学生の約3%【ファクトチェック】
「外国人留学生には学費免除と10数万円の生活費が税金から支払われる」という言説が繰り返し拡散していますが、ミスリードで不正確です。留学生全体が対象のように読めますが、実際の対象者は留学生の約3.2%です。 検証対象 2024年9月17日、「奨学金返済できない日本人の学生もいるのに、中韓からの留学生には月15万円支給。自民党、親韓じゃん 。。。」という投稿が拡散した。9月20日現在、120万回以上の閲覧回数と9400件以上のリポストを獲得している。 外国人留学生に関しては過去に「学費免除の他、生活費として別に13万程度が税金から支給」「外国人留学生には返還不要の奨学金14万3000円」などの言説も拡散している(例1、例2)。 日本ファクトチェックセンター(JFC)は、外国人留学生は学費免除で、15万円程度の生活費が支払われているかどうかを検証する。 検証過程 「国費外国人留学生制度」とは 文部科学省のサイトによると、日本には「国費外国人留学生制度」という、1954年に始まった政府による留学生支援制度がある。 海外から優秀な留学生を受け入れることに

外国人でも実在しなくても自民党員になれる? 国籍や紹介者などの条件がある

自民党総裁選は、党所属の国会議員、党員・党友しか投票できません。この党員について、「外国人でも、実在しなくても、誰でもなれる」などという言説が拡散しましたが、不正確です。党員になるには、議員の紹介など、様々な条件を満たす必要があります。また、投票できるのは、日本国籍を持つ20歳以上で、党費や会費を2年間納めた人です。

外国人でも実在しなくても自民党員になれる? 国籍や紹介者などの条件がある【ファクトチェック】
自民党総裁選は、党所属の国会議員、党員・党友しか投票できません。この党員について、「外国人でも、実在しなくても、誰でもなれる」などという言説が拡散しましたが、不正確です。党員になるには、議員の紹介など、様々な条件を満たす必要があります。また、投票できるのは、日本国籍を持つ20歳以上で、党費や会費を2年間納めた人です。 検証対象 「自民党員には外国人でも4000円納めれば簡単になれる」「党員の国籍は調べていない」「実在しなくても(死者でも)投票用紙が届く」などの言説が拡散している(例1、例2)。 こうした投稿に「一般の日本人が投票できない総理大臣選挙を、中国人が多数投票しているとすれば、とんでもない問題」「自民党は既に外国勢力の影響下にあると考えるべきだろう」などのコメントがついている。 検証過程 自民党員の資格とは 自民党ウェブサイトの「入党」というページには、党員資格として3つの条件が書かれている。 ・我が党の綱領、主義、政策等に賛同される方 ・満18歳以上で日本国籍を有する方 ・他の党の党籍を持たない方 この条件を満たした上で 「入党申込書

中国 日本人学校の男児死亡事件後に中国空母が日本の接続水域に侵入? 時系列が逆

中国で日本人学校の男児が襲撃され死亡した事件をめぐり、男児の殺害後に日本の接続水域に中国空母が侵入したという言説が拡散しましたが誤りです。空母が侵入したのは事件の前です。

中国 日本人学校の男児死亡事件後に中国空母が日本の接続水域に侵入? 時系列が逆【ファクトチェック】
中国で日本人学校の男児が襲撃され死亡した事件をめぐり、男児の殺害後に日本の接続水域に中国空母が侵入したという言説が拡散しましたが誤りです。空母が侵入したのは事件の前です。 検証対象 2024年9月19日、「中国国内で日本人の子どもが殺害された後にコレである。中国空母 日本の接続水域に初侵入」という言説が拡散した。「中国空母 日本の接続水域に初侵入」という読売新聞がYahoo! ニュースに入稿した記事が添付されている。 2024年9月20日現在、この投稿は8000件以上リポストされ、表示回数は104万回を超える。 投稿について「宣戦布告か」「馬鹿にするにも程がある」というコメントの一方で「別の案件です」という指摘もある。 検証過程 拡散した投稿が言及している日本人の子供が殺された事件とは、中国南部・広東省深圳市で18日午前8時(日本時間9時)ごろ、深圳日本人学校に通う日本人男児(10)が刃物で刺され、19日未明に死亡が確認された事件だ(NHK)。 一方で、中国海軍の空母「遼寧」が日本の接続水域に侵入したのは18日未明。与那国島と西表島の間を数時間かけ

今週のJFC動画

自民党総裁選挙に立候補している小泉進次郎氏が「年金受給年齢は80歳からでいい」と発言したかのような言説が拡散しましたが、不正確です。現在の制度では、原則65歳受給開始で、60歳までの繰り上げ、75歳までの繰り下げが選択できますが、小泉氏は80歳まで繰り下げる選択を増やすよう発言したものです。

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マイクロソフトの情報脅威についてのレポートが、ロシアに連なる機関がハリス副大統領を標的に影響工作に全力を上げていると伝えています。

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A new Microsoft threat intelligence report details how Russia-linked actors are now going full throttle in their covert influence efforts against Vice President Kamala Harris

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Protect yourself from disinformation
The European Commission, together with its partners, has made available some tips and resources to help you avoid falling for disinformation and unintentionally spreading it.



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アメリカ・イスラエルによる攻撃で始まったイラン戦争では、これまで以上に大量の偽・誤情報が氾濫しています。中でもショート動画は生成AIの発達と普及で現実と見分けがつかない「ディープフェイク(AI製の偽画像・動画)」が無数に拡散し、検証が追いつかない状況です。 日本ファクトチェックセンター(JFC)は個別の検証をしていますが、それだけでは偽・誤情報の拡散を止められません。一人ひとりが、予備知識を持ち、耐性をつけることが大切です。偽・誤情報の典型的な手口と、簡単に実践できる確認のポイントについて解説します。 情報開示:世界中で拡散する膨大な偽・誤情報の分類と分析には、AI「Claude」を活用しました。記事にする際には、実際の検証事例を集め、その内容は全て人間のファクトチェッカーが確認しています。 手口① 生成AIによるディープフェイク画像・動画 生成AIツールを使い、現実ではない画像や動画=ディープフェイクを作る手口です。かつては「指が6本ある」「背景が歪んでいる」といった画像の不自然さで見分けがつきましたが、今や専門家でも、目視での判別が難しいレベルに達して

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日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。 次回の開講は4月25日(土)午前10時~11時30分で、お申し込みはこちら。 https://jfcyousei0425.peatix.com 受講条件はファクトチェッカー認定試験に合格していること。講師養成講座は1回の受講で修了となります。 受講生には教材を提供 デマや不確かな情報が蔓延する中で、自衛策が求められています。「気をつけて」というだけでは、対策になりません。最初から騙されたい人はいません。誰だって気をつけているのに、誤った情報を信じてしまうところに問題があります。 JFCが国際大学グロコムと協力して実施した「2万人調査」では実に51.5%の人が誤った情報を「正しい」と答えました。一般に思われているよりも、人は騙されやすいという事実は、様々な調査で裏打ちされています。 JFCではこれらの調査をもとに、具体的にどのような

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日本ファクトチェックセンター(JFC)は、YouTubeで学ぶ「JFCファクトチェック講座」を公開しました。誰でも無料で視聴可能で、広がる偽・誤情報に対して自分で実践できるファクトチェックやメディアリテラシーの知識を学ぶことができます。 理論編と実践編の中身 理論編では、偽・誤情報の日本での影響を調べた2万人調査の紹介や、間違った情報を信じてしまう背景にある人間のバイアス、大規模に拡散するSNSアルゴリズムなどを解説しています。 実践編では、画像や動画や生成AIなど、偽・誤情報をどのように検証したら良いかをJFCが検証してきた事例から具体的に学びます。 JFCファクトチェッカー認定試験を開始 2024年7月29日から、これらの内容について習熟度を確認するJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。誰でもいつでも受験可能です(2024年度中は受験料1000円、2025年度から2000円)。 合格者には様々な技能をデジタル証明するオープンバッジ・ネットワークを活用して、JFCファクトチェッカーの認定証を発行します。 JFCファクトチェッカー認定試験

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JFCファクトチェッカー認定試験

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日本ファクトチェックセンター(JFC)はJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。YouTubeで公開しているファクトチェック講座から出題し、合格者に認定証を授与します。 拡散する偽・誤情報から身を守るために 偽・誤情報の拡散は増える一方で、皆さんが日常的に使用しているSNSや動画プラットフォームに蔓延しています。偽広告や偽サイトへのリンクなどによる詐欺被害も広がっています。 JFCが国際大学グロコムと実施した2万人を対象とする調査では、実際に拡散した偽・誤情報を51.5%の割合で「正しいと思う」と答え、「誤っている」と気づけたのは14.5%でした。 自分が目にする情報に大量に間違っているものがある。そして、誰もが持つバイアスによって、それが自分の感覚に近ければ「正しい」と受け取る傾向がある。インターネットはその傾向を増幅する。 だからこそ、ファクトチェックやメディアリテラシーに関する知識が誰にとっても必須です。 JFCファクトチェック講座と認定試験 JFCファクトチェック講座(YouTube, 記事)は、2万人調査を元に偽・誤情報の拡散経路や

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