自民総裁選、候補者の発言/女性へのAED使用/米大統領選テレビ討論会/検証対象の解説など【今週のファクトチェック】

自民総裁選、候補者の発言/女性へのAED使用/米大統領選テレビ討論会/検証対象の解説など【今週のファクトチェック】

自民総裁選の立候補者に不正確な発言がありました。女性へのAED使用を躊躇わせる言説が繰り返し拡散しています。アメリカ大統領選のテレビ討論会のファクトチェックや検証対象に関する解説も紹介します。

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今週のファクトチェック解説

ファクトチェックやメディアリテラシー、偽情報対策について、JFCで解説した記事を紹介します。

ファクトチェックが対象とする「客観的に検証可能な事実」とは何か【解説】

ファクトチェックは真偽検証や事実検証と訳されます。その意味は「オピニオンではなくて、客観的に事実を確認できる内容について検証する」ということ。では実際にどのような情報について検証をしているのか。ファクトチェッカーの間で意見が分かれることもある、「対象の捉え方」について解説します。

ファクトチェックが対象とする「客観的に検証可能な事実」とは何か【解説】
ファクトチェックは真偽検証や事実検証と訳されます。その意味は「オピニオンではなくて、客観的に事実を確認できる内容について検証する」ということ。では実際にどのような情報について検証をしているのか。ファクトチェッカーの間で意見が分かれることもある、「対象の捉え方」について解説します。 「岸田首相は最悪」「安倍政権はワースト1位」? 「岸田文雄氏は最悪の首相」という言説があったとする(そういう投稿はたくさんある)。これはファクトチェックの対象にはならない。「最悪だ」というのは主観的な意見で、客観的に検証できないからだ。ある人にとって岸田首相が最悪だったとしても、支持する人もいる。 一方で、安倍政権に対して「自殺者数ワースト1位」「失業率増加ワースト1位」などという言説は検証できる。統計データで他の政権と客観的に比較できるからだ。日本ファクトチェックセンター(JFC)で実際に検証した事例で、判定はともに誤りだった。 安倍政権は歴代総理ワースト1位?【ファクトチェック】「自民党政治と安倍政権の実績」というタイトルで安倍政権を批判する画像が、再び拡散しました。過去何度

今週のファクトチェック

安倍元首相の被災地訪問はスタジオ撮影?加工された画像が繰り返し拡散

安倍晋三元首相が在任当時に被災地を訪問する様子はスタジオで撮影されたものだとする画像が拡散しましたが、加工されたもので誤りです。この画像は国内外で繰り返し拡散しています。

安倍元首相の被災地訪問はスタジオ撮影?加工された画像が繰り返し拡散【ファクトチェック】
安倍晋三元首相が在任当時に被災地を訪問する様子はスタジオで撮影されたものだとする画像が拡散しましたが、加工されたもので誤りです。この画像は国内外で繰り返し拡散しています。 検証対象 2024年9月7日、「初めてこの写真見た時の衝撃は 今も記憶に残ってます メディア TV📺 国の 嘘つき❗️」との投稿がX(旧Twitter)で拡散した。 投稿には画像が添付されている。画像の上部には防災服を着た安倍元首相が避難所とみられる場所で女性の手を握っている様子が映っているが、下部は複数の人がいるスタジオに組まれたセットの中で安倍元首相と女性の姿を撮影している写真だ。 2つの画像の間には「安倍晋三首相は17日午前、台風19号による河川氾濫などで甚大な被害が出た福島県を訪れた。一帯が冠水した郡山市の工業団地で被害状況を視察。避難所となっている同市内の小学校では被災者らから要望を聞いた」などと書かれた記事の一部も映っている。 この画像は、何度も繰り返し拡散している(例1、例2、例3、例4)。 投稿には「コラ画像」「悪質なフェイク」といった多くの批判が寄せられてい

柳井正氏が拘束された? 投資を促す偽広告

ユニクロの柳井正氏が何らかのスキャンダルで拘束されたかのような画像がYouTubeで広がっていますが、誤りです。画像は事実ではなく、リンク先はネットニュースを装い、読者を投資サイトへ誘導する偽広告です。

柳井正氏が拘束された? 投資を促す偽広告【ファクトチェック】
ユニクロの柳井正氏が何らかのスキャンダルで拘束されたかのような画像がYouTubeで広がっていますが、誤りです。画像は事実ではなく、リンク先はネットニュースを装い、読者を投資サイトへ誘導する偽広告です。 検証対象 ユニクロを運営するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が銃を持った当局者に両腕から拘束して連行される画像とともに「日本全国に衝撃を与えたスキャンダル」「これが彼のキャリアの終わりなのか」と書かれたYouTube広告が拡散した。 このYouTube広告をクリックすると、「日本銀行が生放送での発言で柳井正さんを提訴」という記事が出てくる。広告のサムネイルとともに、柳井氏がなんらかのスキャンダルで逮捕・起訴されたように印象づける内容だ。 検証過程 リンク先は偽ニュースサイト この記事が掲載されているページには、NTTドコモが運営する「gooニュース」のロゴがあり、記事提供元として「読売新聞オンライン」のロゴもある。 しかし、内容を確認すると、二人の話し言葉が翻訳調で固く、不自然な会話になっている。話題も「Bit Aiのプラットフォームで1

マイナンバーカードが偽造されまくり4ヶ月で334億円盗まれた? SNS型投資詐欺の被害額

偽造マイナンバーカードによって4カ月の間に334億円が盗まれたとする言説が拡散しましたが、誤りです。この被害額はマイナンバーとは関係ありません。334億円の被害額は、全国の警察が2024年1-4月に認知したSNS型投資詐欺によるものです。

マイナンバーカードが偽造されまくり4ヶ月で334億円盗まれた? SNS型投資詐欺の被害額【ファクトチェック】
偽造マイナンバーカードによって4カ月の間に334億円が盗まれたとする言説が拡散しましたが、誤りです。この被害額はマイナンバーとは関係ありません。334億円の被害額は、全国の警察が2024年1-4月に認知したSNS型投資詐欺によるものです。 検証対象 2024年9月7日、「【過去記事】マイナンバーカード『偽造されまくり4ヶ月で334億円盗まれましたw』」という投稿がX(旧Twitter)で拡散した。2024年9月10日現在、73万回以上の表示回数と6600件以上のリポストを獲得している。 検証過程 拡散したのはネット掲示板のスレッド 拡散した言説のリンク先は「Tweeter Breaking News―ツイッ速!」というインターネット掲示板まとめサイトだ。日本ファクトチェックセンター(JFC)は過去にもこのサイトを検証している(検証1、検証2、検証3)。 リンク先にはさらに、専門家が個人で記事を投稿するYahoo!ニュース エキスパートの記事へのリンク(※検証記事が公開後に内容が修正されています)があり、その記事の一部が以下のように引用されていた。

ファクトチェックが対象とする「客観的に検証可能な事実」とは何か

ファクトチェックは真偽検証や事実検証と訳されます。その意味は「オピニオンではなくて、客観的に事実を確認できる内容について検証する」ということ。では実際にどのような情報について検証をしているのか。ファクトチェッカーの間で意見が分かれることもある、「対象の捉え方」について解説します。

ファクトチェックが対象とする「客観的に検証可能な事実」とは何か【解説】
ファクトチェックは真偽検証や事実検証と訳されます。その意味は「オピニオンではなくて、客観的に事実を確認できる内容について検証する」ということ。では実際にどのような情報について検証をしているのか。ファクトチェッカーの間で意見が分かれることもある、「対象の捉え方」について解説します。 「岸田首相は最悪」「安倍政権はワースト1位」? 「岸田文雄氏は最悪の首相」という言説があったとする(そういう投稿はたくさんある)。これはファクトチェックの対象にはならない。「最悪だ」というのは主観的な意見で、客観的に検証できないからだ。ある人にとって岸田首相が最悪だったとしても、支持する人もいる。 一方で、安倍政権に対して「自殺者数ワースト1位」「失業率増加ワースト1位」などという言説は検証できる。統計データで他の政権と客観的に比較できるからだ。日本ファクトチェックセンター(JFC)で実際に検証した事例で、判定はともに誤りだった。 安倍政権は歴代総理ワースト1位?【ファクトチェック】「自民党政治と安倍政権の実績」というタイトルで安倍政権を批判する画像が、再び拡散しました。過去何度

旧姓で不動産登記はできる? 自民党総裁選で小泉氏と高市氏が正反対の発言

自民党総裁選に立候補した小泉進次郎議員が「旧姓では不動産登記ができない」、高市早苗議員が「今年の4月から旧氏(旧姓)でできる」と発言しました。これはともに不正確です。4月から旧姓併記が可能になりましたが、旧姓だけでの登記は現在もできません。

旧姓で不動産登記はできる? 自民党総裁選で小泉氏と高市氏が正反対の発言【ファクトチェック】
自民党総裁選に立候補した小泉進次郎議員が「旧姓では不動産登記ができない」、高市早苗議員が「今年の4月から旧氏(旧姓)でできる」と発言しました。これはともに不正確です。4月から旧姓併記が可能になりましたが、旧姓だけでの登記は現在もできません。 検証対象 2024年9月6日、総裁選立候補を表明した小泉氏は総裁選立候補会見で「旧姓では不動産登記ができません」と発言した(48:33〜48:36)。 一方、同じく立候補を表明した高市氏は9月9日の立候補会見で「候補予定者の方に不動産登記ができないじゃないかと答えた方がいましたが、不動産登記できます。今年の4月から旧氏でできるようになっております」と発言している(1:20:32〜1:21:00)。 日本ファクトチェックセンター(JFC)は、旧姓で登記できるか確認した。 検証過程 不動産登記における併記 不動産登記は、土地や建物の所在・面積のほか、所有者の住所・氏名などを登記簿に記載し、権利関係などを明確にするもの(法務省)。旧氏(旧姓)併記については、法務省ウェブサイトで確認することができる(所有権の登記名義

米大統領選でトランプ氏が大きくリード? 過去報道の切り取り

アメリカ大統領選をめぐり、9月11日のテレビ討論後に「トランプ氏が大きくリード」という言説が拡散しましたが、誤りです。根拠としていたのは過去の世論調査の一部で、全体を見ると接戦という内容でした。

米大統領選でトランプ氏が大きくリード? 過去報道の切り取り【ファクトチェック】
アメリカ大統領選をめぐり、9月11日のテレビ討論後に「トランプ氏が大きくリード」という言説が拡散しましたが、誤りです。根拠としていたのは過去の世論調査の一部で、全体を見ると接戦という内容でした。 検証対象 アメリカ大統領選をめぐって、テレビ討論会のあと「トランプ大統領は大きくリードしています。CNNがパニックになり始めています」という投稿が34秒間のニュース動画とともに拡散した。 動画は、CNNのニュース映像で、ジョージア州でハリス氏27%・トランプ氏71%、アリゾナ州でハリス氏31%・トランプ氏65%など、トランプ氏が圧倒的に優勢な数字が並んでいる。 この投稿は、9月12日現在、120万の閲覧数と2400件のリポストがあり、「もうハリスは完全に化けの皮が剥がれたからな」「嘘、フェイクニュースのCNN」といったコメントのほか、「これ白人の支持率ですよね」という指摘もある。 検証過程 添付された動画の内容からCNNにドメイン指定し、期間も設定して検索(参照:JFC講座 実践編2)すると、CNNが公開している記事が見つかる。 9月4日に公開されたCNN

知事選で東京都が読売新聞に不正に2億円支払う? 選挙広告の費用

都知事選をめぐって、東京都が読売新聞に不正に2億円を支払ったと指摘する言説が拡散しましたが、誤りです。立候補者を紹介する選挙広告のための新聞社への支払いです。

知事選で東京都が読売新聞に不正に2億円支払う? 選挙広告の費用【ファクトチェック】
都知事選をめぐって、東京都が読売新聞に不正に2億円を支払ったと指摘する言説が拡散しましたが、誤りです。立候補者を紹介する選挙広告のための新聞社への支払いです。 検証対象 2024年9月9日、X(旧Twitter)に「東京都知事選の不正が明らかに。国民の税金で東京都が読売新聞に2億円払っていた事が判明。立花氏が開示請求。百合子終わったなー」という投稿があり、拡散した。 投稿に添付された動画は、元国会議員の立花孝志氏が同日に投稿したもので「東京都知事選挙で、東京都知事が読売新聞に支払った約2億円は高すぎる」と書いている。 これらの投稿に「小池百合子完全にこれアウトだろ」「都に2億円百合子が返さなければいけないな、そして辞職」といったコメントから「選挙広告なので何も問題ない」という指摘もある。 検証過程 拡散した動画は請求書と書かれた文書に金額が並ぶ。「小池百合子さんが当選した理由とも言えるでしょう、読売新聞が小池百合子さんに請求した金額、なんと1億9684万2690円」という声も収録されている。 立候補者の新聞広告費を東京都が負担 公職選挙法149

ブラジャーをつけたままのAED使用は金具で火傷?「可能性は極めて低い」

女性へのAED使用について「服を脱がさないとブラジャーの金具で火傷する」という言説が拡散しましたが、不正確です。AEDの専門家は「火傷をする可能性がなくはないが可能性は極めて低いし、重篤な火傷にはならない。救命を優先してほしい」と呼びかけています。

ブラジャーをつけたままのAED使用は金具で火傷?「可能性は極めて低い」【ファクトチェック】
女性へのAED使用について「服を脱がさないとブラジャーの金具で火傷する」という言説が拡散しましたが、不正確です。AEDの専門家は「火傷をする可能性がなくはないが可能性は極めて低いし、重篤な火傷にはならない。救命を優先してほしい」と呼びかけています。 検証対象 2024年9月8日、女性へのAED使用について「服を脱がさないとブラジャーの金具で火傷or正常に貼れているかわからず専門職者が行ったとしても危険しかない」と主張する言説が拡散した。 この投稿は9月10日時点で2700件以上リポストされ、表示回数は600万回を超える。投稿について「AED講習で教えてもらってなかったな」「金属などは外さなければいけないはず」というコメントの一方で「完全なるデマ」という指摘もある。 検証過程 AEDとは、心臓がけいれんを起こして血液を流すポンプ機能を失った状態(心室細動)になった時、電気ショックを与えて正常なリズムに戻すための医療機器(AEDライフ)。2004年から一般市民も使えるようになり、様々な場所に設置されている。 日本AED財団「必ずしも外す必要はありません

Ball lightning(球電) という電気エネルギーが浮遊? 実際はCGを用いた映像

球状の光体が線路上を浮遊する動画が拡散しましたが、CGを用いた動画で、現実の映像ではありません。ただし、今回の動画とは別に「球電」という自然現象があります。雷雨中やその後に発生する球状の電気エネルギーで、空中を短時間浮遊する現象です。

Ball lightning(球電) という電気エネルギーが浮遊? 実際はCGを用いた映像【ファクトチェック】
球状の光体が線路上を浮遊する動画が拡散しましたが、CGを用いた動画で、現実の映像ではありません。ただし、今回の動画とは別に「球電」という自然現象があります。雷雨中やその後に発生する球状の電気エネルギーで、空中を短時間浮遊する現象です。 検証対象 2024年9月7日、球状の光体が線路上を浮遊する動画とともに「これは “Ball lightning” という、雷などの強い電気エネルギーが球状に固って帯電したまま大気中を浮遊する物理現象だそうです。もしこれを見ちゃったら🔥幽霊とか人魂を見っちゃったと思うでしょうね⁉️😭」という投稿がX(旧Twitter)上で拡散した。 2024年9月13日現在、この投稿は470万回以上の表示回数と4500件以上のリポストを獲得している。 この動画をめぐっては2020年以降、AFP、SnopesやIndia Todayがファクトチェックしており、いずれも球体が浮遊している実際の動画ではなくCG技術を使った動画だと判定している。 検証過程 拡散した動画は5年前に投稿されたもの 日本ファクトチェックセンター(JFC)は、

今週のJFC動画

ユニクロの柳井正氏が拘束されたかのような画像がYouTubeで広がっていますが、誤りです。リンク先はネットニュースを装い、見た人を投資サイトへ誘導する偽サイトでした。

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横行する広告詐欺サイト 世界の被害年13兆円(日経新聞)

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偽情報から起きた暴動、イギリスではSNS企業規制強化の方針(NHK)

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【NHK】イギリスで反移民感情をあおる偽情報をきっかけにした大規模な暴動が各地で起きてから1か月余りがたち、暴動などに関与したとし…

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Fact-checking the ABC presidential debate | CNN Politics
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Tenet Media Shutters After Being Accused of Taking $10 Million in Covert Kremlin Funding(Mother Jones)

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Tenet Media shutters after being accused of taking $10 million in covert Kremlin funding
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Two women ordered to pay Brigitte Macron €8,000 for spreading transphobic rumors
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An AI chatbot helped Americans who believe in conspiracy theories “exit the rabbit hole”(Nieman Lab)

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An AI chatbot helped Americans who believe in conspiracy theories “exit the rabbit hole”
“It still works even for people who strongly distrust AI.”

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理論から実践まで学べるJFCファクチェック講座 20本の動画と記事を一挙紹介
日本ファクトチェックセンター(JFC)は、YouTubeで学ぶ「JFCファクトチェック講座」を公開しました。誰でも無料で視聴可能で、広がる偽・誤情報に対して自分で実践できるファクトチェックやメディアリテラシーの知識を学ぶことができます。 理論編と実践編の中身 理論編では、偽・誤情報の日本での影響を調べた2万人調査の紹介や、間違った情報を信じてしまう背景にある人間のバイアス、大規模に拡散するSNSアルゴリズムなどを解説しています。 実践編では、画像や動画や生成AIなど、偽・誤情報をどのように検証したら良いかをJFCが検証してきた事例から具体的に学びます。 JFCファクトチェッカー認定試験を開始 2024年7月29日から、これらの内容について習熟度を確認するJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。誰でもいつでも受験可能です(2024年度中は受験料1000円、2025年度から2000円)。 合格者には様々な技能をデジタル証明するオープンバッジ・ネットワークを活用して、JFCファクトチェッカーの認定証を発行します。 JFCファクトチェッカー認定試験

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イワシやクジラの漂着は地震の影響?関連づける根拠やデータはない【ファクトチェック】

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イワシが大量に海岸に漂着しているニュースとともに「地震の影響」といった言説が拡散していますが、根拠不明です。イワシやクジラ、イルカの海岸の漂着と地震を結びつけるデータはありません。 検証対象 北海道函館市の海岸に大量のイワシの群れが漂着した過去のニュース映像とともに「地震とかにお気をつけて下さい」「人工地震発生装置」「地震の前に打ち上げられる」などという投稿がXで拡散した(例1、例2、例3)。 検証過程 投稿に添付されていたのは、2023年12月7日に北海道函館市の海岸に大量のイワシの群れが漂着したことを伝えたANNニュースだ。 日本ファクトチェックセンター(JFC)は、大きな地震と魚やイルカ、クジラの海岸への漂着と関連性があるのかを調べた。 イワシの漂着と地震との関連 JFCは、この投稿にも使われている2023年12月のイワシ漂着に関して、福島第一原発事故の処理水放出を関連づけて拡散した言説を検証したことがある。 その際にJFCが取材した道立総合研究機構 函館水産試験場調査研究部の鈴木祐太郎主査はイワシが大量に漂着する事例は「北海道や青森県で

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トランプ前大統領「ハイチ移民がペットを食べている」? 当局の否定相次ぐ【ファクトチェック】

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2024年9月10日の米大統領選テレビ討論会で、共和党候補ドナルド・トランプ前大統領が「オハイオ州に流入してきた連中が(州内のスプリングフィールド市で)犬や猫などのペットを食べている」と発言しました。トランプ氏の発言は誤りです。市の担当者は「移民コミュニティがペットを傷つけた情報はない」と否定。市警も「ペットが盗まれたり食べられたりしたという報告はない」としています。 検証対象 2024年9月10日の大統領選テレビ討論会で、共和党候補のトランプ氏は次のように発言した(発言部分は動画1や動画2)。 「スプリングフィールドにやってくる連中(ハイチ系の移民)は犬や猫を食べている。そこに住む人たちのペットを食べている」 その情報を即座に否定した討論会の司会者に対し、「テレビに映った人々が『私の犬が盗まれて食料にされた』と話していた」とも発言した。 トランプ氏の発言は波紋を広げ、オハイオ州の市庁舎に爆破予告が届くという事態にまで発展した。日本ファクトチェックセンター(JFC)は、トランプ氏の発言を検証した。 この発言は米メディアを中心にABC、BBC、CNN、米

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
小泉進次郎氏「年金受給は80歳から」? 開始年齢の選択肢を広げる発言【ファクトチェック】

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自民党総裁選に立候補している小泉進次郎氏が「年金受給年齢は80歳からでいい」と発言したかのような言説が拡散しましたが、不正確です。現在の制度では、原則65歳受給開始で、60歳から75歳までの繰り上げ・繰り下げが選択できますが、小泉氏の発言は80歳まで選択肢を増やすものです。 検証対象 2024年9月の自民党総裁選に合わせて小泉進次郎氏が「65歳以上は『高齢者』なんてナンセンス』」「年金の受給開始年齢は『80歳でもいいのでは』」などと発言したという言説が拡散した(例1、例2、例3)。多いものは800万超の閲覧がある。 「いいわけねーだろ 親父は73で死んだわ」「国民の半数は一生年金を払って1円も認められないまま死んでいくんですね」と言った批判も広がっており、その多くは小泉氏が年金受給開始年齢を80歳まで遅らせるような発言をしたと受け止めている。 一方で、「進次郎は『年金80歳から』なんて言っていない」「あくまで個人の選択肢を広げるかどうか、という提案」などと拡散した投稿を否定する投稿や引用リポストもある。 この言説をめぐっては、InFactが検証して「不正

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ファクトチェック機関が減っている理由と「狭義の検証」に止まらない大手メディアの役割【解説】

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「世界中のファクトチェック機関が資金難や外部圧力で岐路に立たされている」(2024年9月11日)という記事を日本経済新聞が報じました。ファクトチェック機関が減っているというデータを紹介しています。ファクトチェックはこのまま停滞・衰退していくのか。その背景と対策を解説します。 減っているのは新規参入 日経新聞の記事「ファクトチェック機関、運営岐路に 資金難や外部圧力で」が紹介したのは、米デューク大学のReporters’ Labが公開しているデータだ。2024年5月30日発表のデータによると、2022年に世界で活動しているファクトチェック機関の数は111カ国457だったが、2024年には439に減ったという。 ファクトチェック機関の多くは、この10年で誕生した。新しく生まれた組織もあれば、大手メディアの特設チームとして活動を始めたものもある。できたばかりで基盤が弱く、資金集めにも苦労するため、消えていく組織は以前から少なくなかった。 それでも、新しく生まれる組織が多いことがファクトチェック業界の急成長を支えていた。Reporters’s Labの集計では20

By 古田大輔(Daisuke Furuta)