地震をめぐる偽・誤情報/パリ五輪女子ボクシング/英国暴動など【今週のファクトチェック】

地震をめぐる偽・誤情報/パリ五輪女子ボクシング/英国暴動など【今週のファクトチェック】

8月8日に日向灘を震源とする最大震度6弱を観測する地震が発生。地震直後から、人工地震によるものだ、前日に地震雲が発生したという言説から関係のない被害の画像などが拡散しました。パリオリンピックでは、優勝した女子ボクシング選手をめぐる誤った情報をもとにさまざまな言説が出ました。英国では女児3人が刺殺される事件で拡散した偽情報が、暴動を煽ることにつながりました。

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JFCのファクトチェック記事

英国のイスラム系住民が路上で武器? 女児3人刺殺事件で拡散

英国で女児3人が刺殺される事件が発生し、犯人は移民だと憎悪を煽る偽誤情報が大量に拡散しました。日本でも「英国に住むイスラム系住民が路上で武器を見せる」という文言とともにナイフを持った群衆の動画が拡散し、イスラム系の暴力性を指摘する投稿が相次ぎましたが、ミスリードで不正確です。これは結婚祝いで装飾用のナイフを手に踊る様子です。

英国のイスラム系住民が路上で武器? 女児3人刺殺事件で拡散【ファクトチェック】
英国で女児3人が刺殺される事件が発生し、犯人は移民だと憎悪を煽る偽誤情報が大量に拡散しました。日本でも「英国に住むイスラム系住民が路上で武器を見せる」という文言とともにナイフを持った群衆の動画が拡散し、イスラム系の暴力性を指摘する投稿が相次ぎましたが、ミスリードで不正確です。これは結婚祝いで装飾用のナイフを手に踊る様子です。 検証対象 2024年8月3日、「日本のメディアが報道しないニュース 英国に住むイスラム系住民が路上で武器を見せる」というキャプションとともに、男性たちがナイフをかざして太鼓の音楽に合わせて踊る様子が映った動画が拡散した。 「確実にテロ等準備罪ですけどねえ」「狂った民族ですね」などのコメントがついている。同じ動画は英語で多数拡散している。 検証過程 7月29日、イングランド西部のサウスポートのダンススタジオで、3人の少女が17歳の少年に刺殺される事件が起きた(NHK)。事件後、犯人はボートでイギリスに渡ってきたイスラム系移民だといった偽情報がSNSで拡散し大規模な暴動が起き、モスクなどが襲撃されている(NHK)。 動画をGoogl

中国の三峡ダムが決壊? 水量調整の放流

中国の三峡ダムが決壊したという言説が拡散しましたが誤りです。拡散した動画は大雨による水量調整の放流で、決壊を示す情報はありません。

中国の三峡ダムが決壊? 水量調整の放流【ファクトチェック】
中国の三峡ダムが決壊したという言説が拡散しましたが誤りです。拡散した動画は大雨による水量調整の放流で、決壊を示す情報はありません。 検証対象 2024年7月18日、「中国の三峡の11ヶ所のダムが全部決壊したようです、1975年以来の大洪水が発生してる」という言説が拡散した。 投稿は2024年8月2日時点で2500件以上リポストされ、表示回数は420万回を超える。投稿について「やはりそうなりましたか」「かなり被害が出そう」というコメントの一方で「決壊の報告はありません」という指摘もある。 「三峡ダムが決壊」という情報はSNSで複数拡散され、動画つきの言説も拡散している。動画にはダムから水が勢いよく放出される様子や、水につかった車や濁流が街を流れる様子が映っている。 日本語の字幕には「容赦ない豪雨により、複数の州で広範囲にわたる洪水が発生」「7月12日現在、34の河川が警戒水域を超えた」と書かれている。 検証過程 三峡ダムとは 中国の三峡ダムは世界三大河川の一つ長江上流にある。洪水対策を主な目的として建設された。総貯水容量は393億立法m(黒部ダム

「日本人は川口市から出ていけ」と掲げる外国人の画像? 細部に生成AIや合成などの特徴

「日本人は川口市から出ていけ」と書いた看板を掲げる外国人の画像が拡散しましたが、誤りです。画像には生成AIを用いた特徴があり、実際には無い合成された画像です。

「日本人は川口市から出ていけ」と掲げる外国人の画像? 細部に生成AIや合成などの特徴【ファクトチェック】
「日本人は川口市から出ていけ」と書いた看板を掲げる外国人の画像が拡散しましたが、誤りです。画像には生成AIを用いた特徴があり、実際には無い合成された画像です。 検証対象 2024年8月7日、「なにこれ お前らが出ていけや」というコメント付きの画像が拡散した。画像では、外国人風の男性が「日本人は川口市から出ていけ」とプラカードを掲げ、背景には「おかしのまちおか 川口店」「松屋」などの看板が見える。 投稿は2024年8月8日時点で600件超リポストされ、表示回数は6万件を超える。投稿について「遂にこの事態」「全員捕まえてください」というコメントがある一方で、「手の込んだ合成画像」という指摘もある。 検証過程 指にAI生成画像の特徴 画像を確認すると、中央に写る男性の右手が小指から人差し指までで5本あるように見える。「日本人は川口市から出ていけ!」と書かれたボードを持った人の指も小指が非常に長い。 指などの細部の描写が苦手なのは生成AIによる画像の特徴だ。 看板の画像は「貼り付け」 次に看板を見てみる。生成AIで画像を作ると、看板の文字の描写が崩

パリ五輪女子ボクシングをめぐる大量の誤情報 判明している事実は何か

2024年パリ五輪女子ボクシングの選手に関して「元男性」「染色体が男性」などの誤情報や不確かな情報が大量に拡散しています。選手の出場資格について、議論になった経緯や判明している事実をまとめました。

パリ五輪女子ボクシングをめぐる大量の誤情報 判明している事実は何か【ファクトチェックまとめ】
2024年パリ五輪女子ボクシングの選手に関して「元男性」「染色体が男性」などの誤情報や不確かな情報が大量に拡散しています。選手の出場資格について、議論になった経緯や判明している事実をまとめました。 議論のきっかけは 性別が議論になっているのは、パリ五輪女子ボクシングに出場しているアルジェリア代表のイマネ・ヘリフ選手と台湾代表の林郁婷(リンユーティン)選手。 8月1日、女子66キロ級2回戦でヘリフ選手と戦ったイタリア代表選手が開始46秒で棄権。圧倒的な力の差を見せたヘリフ選手が2023年3月の世界選手権で国際ボクシング協会(IBA)から女子選手としての資格を認められず、失格となっていたことに注目が集まった。 同時に女子57キロ級に出場し、ヘリフ選手と同様に世界選手権では失格だった林選手に関しても資格をめぐる議論が巻き起こった。 誤情報や不確かな情報の拡散 特にヘリフ選手をめぐっては衝撃的な勝利もあって、SNSでの議論が世界中で加熱。誤った情報や根拠のない情報、不確かな情報が大量に拡散した。 日本では8月1日、ひろゆき(西村博之)氏がX(旧Twitte

気象庁が人工地震の存在を暴露? 北朝鮮の核実験時の動画が再拡散

2024年8月8日に宮崎県で最大震度6弱の地震が発生し、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が初めて発表されました。これに関して「気象庁が人工地震の存在を暴露」との言説が拡散しましたが、誤りです。添付された動画は、気象庁が2016年1月、北朝鮮の核実験に伴う地震について会見した動画で、今回の地震とは関係ありません。

気象庁が人工地震の存在を暴露? 北朝鮮の核実験時の動画が再拡散【ファクトチェック】
2024年8月8日に宮崎県で最大震度6弱の地震が発生し、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が初めて発表されました。これに関して「気象庁が人工地震の存在を暴露」との言説が拡散しましたが、誤りです。添付された動画は、気象庁が2016年1月、北朝鮮の核実験に伴う地震について会見した動画で、今回の地震とは関係ありません。 検証対象 2024年8月8日午後4時43分、宮崎県沖を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生し、最大震度6弱を観測した(気象庁)。この地震で気象庁は2017年の運用開始以来初めて「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表した。 地震発生後、X(旧Twitter)で「気象庁が人工地震の存在を暴露」という言説が多数投稿され、拡散した(例1、例2、例3、例4)。「気象庁発表より また人工地震でしたね?」と今回の地震と関連づけるコメントもある。 検証過程 記者会見は2016年1月6日のもの 日本ファクトチェックセンター(JFC)が、拡散した動画の元動画を検索すると、共同通信公式YouTubeが2016年1月6日に配信した動画「『

日向灘を震源とする地震前日に地震雲? 雲は地震とは関係のない気象現象

2024年8月8日に発生した日向灘を震源とする地震に関連し、地震発生前日に投稿された「これは地震雲かもね」という投稿が拡散しましたが誤りです。雲と地震は関係ありません。

日向灘を震源とする地震前日に地震雲? 雲は地震とは関係のない気象現象【ファクトチェック】
2024年8月8日に発生した日向灘を震源とする地震に関連し、地震発生前日に投稿された「これは地震雲かもね」という投稿が拡散しましたが誤りです。雲と地震は関係ありません。 検証対象 2024年8月8日、日向灘を震源とする地震の発生を受け、「大分県付近の人、暫く地震に気をつけよう これは地震雲かもね」という8月7日に投稿された画像つき投稿が拡散した。画像には数本の細い雲が写っている。 この投稿は2024年8月8日時点で表示回数2500万件を超える。「地震雲だ」「予言」というコメントが付き拡散する一方で、「飛行機雲」という指摘もある。 検証過程 気象研究所主任研究官の荒木氏「飛行機雲です」 気象庁気象研究所主任研究官の荒木健太郎氏は、拡散した投稿を「飛行機雲です」と引用リポストで指摘している。 荒木氏は、気象庁気象研究室の「台風・災害気象研究部」というウェブサイトでも地震雲について「雲は地震の前兆にはなりません」「世間一般で地震雲として騒がれている雲は、実は日常的によくある雲で、全て気象学で説明できる雲です」と解説している。 気象庁「全く別の現象」

日向灘を震源とする地震被害の様子?同じ画像が地震8日前にも拡散

2024年8月8日に発生した日向灘を震源とする地震に関連して、地震被害を写したとみられる画像が拡散しましたが、誤りです。拡散した画像は、地震発生の8日前にも投稿されていました。

日向灘を震源とする地震被害の様子?同じ画像が地震8日前にも拡散【ファクトチェック】
2024年8月8日に発生した日向灘を震源とする地震に関連して、地震被害を写したとみられる画像が拡散しましたが、誤りです。拡散した画像は、地震発生の8日前にも投稿されていました。 検証対象 2024年8月8日午後4時42分ごろ、日向灘を震源とする地震があり、宮崎県日南市では最大震度6弱を観測した。 この地震に関連して、「とにかく今は被害が心配されます」などのコメントと共に、両脇のビルが大きく崩れ、道路をふさいだ画像が拡散した。この投稿は翌9日にアカウントごと削除されたが、別の投稿でスクリーンショットを確認することができる。 検証過程 日本ファクトチェックセンター(JFC)が拡散した画像をGoogleで画像検索したところ、完全一致する画像があった。拡散した画像の投稿者が、今回の地震発生の8日前にも投稿していたものだ。 この画像については、NHKが「生成AIで作られたとみられる被害状況の偽画像」と報じている。 街並みや、瓦礫の材質や量と周辺の建物の壊れ方を比べると不自然さがある。 判定 2024年8月8日の日向灘を震源とする地震を受けて拡散した画像

今週のJFC動画

「日本人は川口市から出ていけ」と看板を掲げる外国人の画像が拡散しましたが、誤りです。画像には生成AIを用いた特徴があり、合成で実際にはない背景になっています。

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日本ファクトチェックセンター(JFC)は2022年10月の設立からの活動をまとめた報告書を公開しました。詳しくはJFCサイトの「JFCとは」で章ごとにまとめていますので、そちらを御覧ください。 JFCとは日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェック(事実の検証)の実践とメディア情報リテラシーの普及に取り組む非営利組織です。民主主義の基盤であるデジタル公共空間の健全性を維持・向上させることを目的として活動します。 JFC活動報告「情報インテグリティのために」 JFCの設立経緯と組織構造:独立性を保つために JFCの設立経緯、体制、ファクトチェック組織としての独立性を保つための取り組みなどを説明しています。 JFCの設立経緯と組織構造日本ファクトチェックセンター(JFC)は、民主主義の基盤となるインターネットの言論空間の健全性を向上させることを目的とし、ファクトチェックとメディアリテラシー普及に取り組む非営利組織です。 拡散する不確かな情報について、証拠に基づいて真偽を確かめる「ファクトチェック(事実の検証)」、現代の情報環境への理解と対応力を高める「メディアリ

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日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。 次回の開講は4月19日(土)午後2時~3時半で、お申し込みはこちら。 https://jfcyousei0419.peatix.com/ 受講条件はファクトチェッカー認定試験に合格していること。講師養成講座は1回の受講で修了となります。 受講生には教材を提供 デマや不確かな情報が蔓延する中で、自衛策が求められています。「気をつけて」というだけでは、対策になりません。最初から騙されたい人はいません。誰だって気をつけているのに、誤った情報を信じてしまうところに問題があります。 JFCが国際大学グロコムと協力して実施した「2万人調査」では実に51.5%の人が誤った情報を「正しい」と答えました。一般に思われているよりも、人は騙されやすいという事実は、様々な調査で裏打ちされています。 JFCではこれらの調査をもとに、具体的にどのような知識と

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理論から実践まで学べるJFCファクトチェック講座 20本の動画と記事を一挙紹介

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日本ファクトチェックセンター(JFC)は、YouTubeで学ぶ「JFCファクトチェック講座」を公開しました。誰でも無料で視聴可能で、広がる偽・誤情報に対して自分で実践できるファクトチェックやメディアリテラシーの知識を学ぶことができます。 理論編と実践編の中身 理論編では、偽・誤情報の日本での影響を調べた2万人調査の紹介や、間違った情報を信じてしまう背景にある人間のバイアス、大規模に拡散するSNSアルゴリズムなどを解説しています。 実践編では、画像や動画や生成AIなど、偽・誤情報をどのように検証したら良いかをJFCが検証してきた事例から具体的に学びます。 JFCファクトチェッカー認定試験を開始 2024年7月29日から、これらの内容について習熟度を確認するJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。誰でもいつでも受験可能です(2024年度中は受験料1000円、2025年度から2000円)。 合格者には様々な技能をデジタル証明するオープンバッジ・ネットワークを活用して、JFCファクトチェッカーの認定証を発行します。 JFCファクトチェッカー認定試験

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JFCファクトチェッカー認定試験  教材と申し込みはこちら

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日本ファクトチェックセンター(JFC)はJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。YouTubeで公開しているファクトチェック講座から出題し、合格者に認定証を授与します。 拡散する偽・誤情報から身を守るために 偽・誤情報の拡散は増える一方で、皆さんが日常的に使用しているSNSや動画プラットフォームに蔓延しています。偽広告や偽サイトへのリンクなどによる詐欺被害も広がっています。 JFCが国際大学グロコムと実施した2万人を対象とする調査では、実際に拡散した偽・誤情報を51.5%の割合で「正しいと思う」と答え、「誤っている」と気づけたのは14.5%でした。 自分が目にする情報に大量に間違っているものがある。そして、誰もが持つバイアスによって、それが自分の感覚に近ければ「正しい」と受け取る傾向がある。インターネットはその傾向を増幅する。 だからこそ、ファクトチェックやメディアリテラシーに関する知識が誰にとっても必須です。 JFCファクトチェック講座と認定試験 JFCファクトチェック講座(YouTube, 記事)は、2万人調査を元に偽・誤情報の拡散経路や

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