JFCファクトチェック講座スタート/都知事選後も誤情報が拡散/アイヌは先住民族【今週のファクトチェック】

JFCファクトチェック講座スタート/都知事選後も誤情報が拡散/アイヌは先住民族【今週のファクトチェック】

都知事選終了後も誤情報が拡散。アイヌは先住民族ではないという言説をファクトチェックしました。EC・欧州委員会が​X(旧Twitter)の認証マークはEUデジタルサービス法に違反しているという見解を示しました。日本ファクトチェックセンター(JFC)はファクトチェック講座を開始しました。YouTubeで視聴できます。

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JFCファクトチェック講座

講座はまず、ファクトチェックの前提として、偽・誤情報の拡散の実態、背景にある人間のバイアス、それを強化するデジタルプラットフォームのアルゴリズムなどを理論編(計10本)として解説します。

その後、検証の具体的な技術やツールの使い方などを学ぶ実践編に続き、合計20本のYouTube動画でファクトチェックに関して網羅的に学べます。

動画は毎日午後5時にアップし、翌日の朝に概要をまとめた記事を配信します。最終回を公開する7月27日には、ファクトチェッカー認定試験や講師養成講座を公開します。こちらのニュースレターでも案内いたします。

フェイクニュースは口コミで広がって半数が信じる 【理論編1】

フェイクニュースとバイアス 「私は大丈夫」が危ない 【理論編2】

フェイクニュースとアルゴリズム YouTubeやTikTokが便利で危険な理由 【理論編3】

フェイクニュースとクリティカルシンキング 吟味する思考、日本は最下位【理論編4】

ファクトチェックは「事実」の検証 オピニオンは自由 【理論編5】

フェイクニュースとナラティブ 人を惹きつける「語り口」【理論編6】

グローバル・ファクト参加報告2

偽情報対策の先端事例を表彰

国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)の第11回年次総会「グローバル・ファクト11」では、4部門で世界の優れたファクトチェックや偽情報対策などを表彰する「グローバル・ファクト・アワード」も開催されました。

狭義のファクトチェックを超え、総合的に偽情報対策に取り組む調査報道的な記事、テクノロジーを活用して市民も巻き込む革新的なコラボ、ゲームでプロパガンダの手口を学ぶ教育的なコンテンツや、偽情報に多い性差別的な内容について調べた研究が受賞しました。

AI生成の偽情報検証に市民協力、ソ連のプロパガンダを学ぶゲームなど偽情報対策の先端事例を表彰 グローバル・ファクト11
国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)の第11回年次総会「グローバル・ファクト11」では、4部門で世界の優れたファクトチェックや偽情報対策などを表彰する「グローバル・ファクト・アワード」も開催されました。 狭義のファクトチェックを超え、総合的に偽情報対策に取り組む調査報道的な記事、テクノロジーを活用して市民も巻き込む革新的なコラボ、ゲームでプロパガンダの手口を学ぶ教育的なコンテンツや、偽情報に多い性差別的な内容について調べた研究が受賞しました。 「最高の影響」はパレスチナに関する検証記事 4部門は「Highest Impact(最高の影響)」「Most Innovative Collaboration(最も革新的なコラボレーション)」「Most Creative Format(最も創造的なフォーマット)」「Best Reserch(最高の研究)」。 「最高の影響」部門は、トルコのTeyit。「What do we know about the allegation that Palestinians sold their land?(パレスチナ人が土

JFCのファクトチェック記事

東京都知事選の投票率は40%弱、6割の人が投票していない?

2024年の東京都知事選について、投票率が40%弱という投稿が拡散しましたが誤りです。期日前投票を含めた投票率は60.62%です。

東京都知事選の投票率は40%弱、6割の人が投票していない?【ファクトチェック】
2024年の東京都知事選について、投票率が40%弱という投稿が拡散しましたが誤りです。期日前投票を含めた投票率は60.62%です。 検証対象 2024年7月7日、「 #東京都知事選挙2024」というハッシュタグと共に「投票率40%弱?6割の人が投票してないの?」という言説が拡散した。 2024年7月9日現在、投稿は4700件以上リポストされ、表示回数は299万件を超える。投稿について「やばすぎます」「相変わらず低い」というコメントの一方で「嘘情報」と指摘する投稿もある。 検証過程 2024年7月7日、東京都知事選挙の投開票があり、現職の小池百合子氏が3期目となる当選を果たした。 東京都選挙管理委員会は、今回の都知事選における最終的な投票率を60.62%と発表している。 期日前投票した人は215万1251人で、前回よりも39万人余り増え、選挙人名簿登録者数(6月19日現在)に占める割合は、18.65%だった(東京都選挙管理委員会「期日前投票状況〈最終結果〉)。 当日投票した人数(不在者投票も含む)は472万8251人で7月7日時点の有権者数に占める

東工大総合型選抜、女子枠は筆記試験なし?

東京工業大学の総合型選抜入試で、女子枠は筆記試験をしないという言説が拡散しましたが、不正確(ミスリード)です。一般枠と同じ試験内容にもかかわらず、女子枠の説明のみを切り抜いています。

東工大総合型選抜、女子枠は筆記試験なし?【ファクトチェック】
東京工業大学の総合型選抜入試で、女子枠は筆記試験をしないという言説が拡散しましたが、不正確(ミスリード)です。一般枠と同じ試験内容にもかかわらず、女子枠の説明のみを切り抜いています。 検証対象 2024年6月20日、東工大の総合型選抜で、女子枠は筆記試験をしないという言説が拡散した。この言説は、女子枠の筆記試験のスコアについて説明しているポストを引用。検証対象に添付された画像には、「女子枠」と書かれた表があり、東工大の工学院、物質理工学院、情報理工学院は筆記試験を「実施しない」と書かれている。 このポストは、2024年7月10日時点で、160万回以上の閲覧と、1500回以上のリポストを獲得している。 検証過程 総合型選抜入試とは、書類審査や小論文、面接などによる評価を組み合わせて選抜する方法だ。例えば、東工大の総合型選抜を説明したページでは、「総合型選抜で求める学生像」の一つに「柔軟な発想力と、その発想を他者と共有するための説明力および他者の発想を理解できる能力に秀でた素質が認められる者」とあり、筆記試験だけでは測れない能力を求めると書いてある。 日

北海道の先住民族はアイヌではなく縄文人?

「北海道の先住民族はアイヌではなく、縄文人で大和民族である」と主張する言説が拡散しましたが、誤りです。日本政府も国連もアイヌを北海道の先住民族だと認めています。専門家も「日本が近代国家になる前から北海道の主要な住民」だと指摘しています。

北海道の先住民族はアイヌではなく縄文人?【ファクトチェック】
「北海道の先住民族はアイヌではなく、縄文人で大和民族である」と主張する言説が拡散しましたが、誤りです。日本政府も国連もアイヌを北海道の先住民族だと認めています。専門家も「日本が近代国家になる前から北海道の主要な住民」だと指摘しています。 検証対象 2024年5月28日、「北海道の先住民族は縄文人です!アイヌじゃありません!」という文言と動画のついたポストが拡散した。このポストは7月10日現在、45万回以上の表示回数と750以上のリポストがある。 動画には「北海道はアイヌの物ではない!」という文言があり、作家の竹田恒泰氏が「アイヌは鎌倉時代にできた民族なので北海道の先住民族は縄文人なんです。何なら大和民族なんです」などと語っている。 日本ファクトチェックセンター(JFC)は、「北海道の先住民族はアイヌではなく縄文人だ」という言説について検証した。 検証過程 日本はアイヌが先住民族であると認めている 日本政府は、アイヌが北海道の先住民族であると認めている。内閣官房アイヌ総合政策室のウェブサイトの「アイヌ政策の概要」には、「アイヌの人々は、日本列島北部

石丸伸二氏の選挙演説に集まった群衆の画像?

2024年の東京都知事選で、石丸伸二候補の街頭演説に多数の人が集まる画像が拡散しました。しかし、その中には合成画像で事実ではないものも含まれていました。

石丸伸二氏の選挙演説に集まった群衆の画像?【ファクトチェック】
2024年の東京都知事選で、石丸伸二候補の街頭演説に多数の人が集まる画像が拡散しました。しかし、その中には合成画像で事実ではないものも含まれていました。 検証対象 2024年7月5日、石丸氏の街頭演説の様子が合成画像だとする投稿が拡散した。投稿には「また!合成!」という文言と共に、演説をする石丸氏の後ろ姿と大勢の観衆が渋谷に集まる画像が添付されている。 2024年7月11日時点で約4200件以上リポストされ、表示回数は272万件を超える。 石丸氏の演説画像はSNSで複数投稿されている。陣営の公式アカウントからのものもあれば、そうではない一般のアカウントからの発信もあり、上記の画像など一部については「聴衆が合成では」と指摘する声があがっていた。 ネット上に投稿された全ての画像について検証することは不可能なため、日本ファクトチェックセンター(JFC)はまず、上記の画像について検証した。 検証過程 画像検索すると「Queen」がヒット 検証対象の画像はどこで撮影され、誰が投稿したのか。Google画像検索を使うと、イギリスのロックバンド「Queen」

小池都知事が知事選の直後にイスラエル大使と面談?

東京都知事選の直後に小池百合子都知事が駐日イスラエル大使と面談したという言説がツーショット写真と共に拡散しましたが、誤りです。イスラエル大使が、2年前に小池氏と撮った写真を、当選を祝うメッセージとともにX(旧Twitter)に投稿したものです。

小池都知事が知事選の直後にイスラエル大使と面談?【ファクトチェック】
東京都知事選の直後に小池百合子都知事が駐日イスラエル大使と面談したという言説がツーショット写真と共に拡散しましたが、誤りです。イスラエル大使が、2年前に小池氏と撮った写真を、当選を祝うメッセージとともにX(旧Twitter)に投稿したものです。 検証対象 2024年7月7日投開票の東京都知事選で、小池氏が3期目の当選を果たした。選挙後の9日、ギラッド・コーへン駐日イスラエル大使が小池氏と二人で写った写真と共に当選を祝福するメッセージをXに投稿した。 都知事選に敗れた蓮舫氏は、7月10日、コーヘン大使の投稿を引用して「当選直後にこの外交は私の考えではあり得ません。都民の1人としても、とても残念です」と投稿した。この投稿は、その後削除されたとメディア各社が報じた(日刊スポーツ、JCASTニュース)。 立憲民主党の石垣のりこ参議院議員も7月9日、大使の投稿を引用して「ガザでのジェノサイドを前に、こういうことができる人が知事であることは、日本にとって大きな損失であると考えます」とXで投稿。7月12日現在120万を超える閲覧と1600以上のリポストがある。 検証

今週のJFC動画

「日本政府が10年間でウクライナに58兆円を支払い、それを年金に充てる」という言説が拡散しましたが、誤りです。58兆円は、ウクライナの復興に必要な総額の試算として世界銀行や国連が2023年3月に出したもので、日本が全額を負担するわけではありません。

その他の関連記事

都知事選挙で拡散した様々な画像や動画

都知事選では、候補者を批判したり、揶揄したりするような画像が数多く拡散しました。なかには数年前からたびたび広がっているものもあります。

石丸陣営の”加工”を装うフェイク画像 ねつ造信じて拡散も… | NHK
【NHK】東京都知事選挙はSNS上でも注目を集めた一方で、選挙期間中、候補者を批判するような偽の画像なども複数、拡散されました。な…

さらにSNSで拡散した都知事選候補者の”切り抜き動画”についてNHKサタデーウォッチ9が特集しました。

“切り抜き動画” 再生回数が公式超えも 選挙にどう影響? | NHK
【NHK】今回の東京都知事選挙では、街頭演説の様子を切り取ったり、候補者陣営が配信した動画を切り抜いたりした動画がSNSで広く拡散…

あふれるフェイク 誰でもだまされる 「拡散前にファクトチェックを」

誤情報・偽情報が溢れる現代、自ら検索するなどファクトチェックが大切であると国際大学・グロコムの山口真一准教授は語ります。毎日新聞「15歳のニュース」の記事です。

あふれるフェイク どう対応? 誰でもだまされる 「拡散前にファクトチェックを」 | 毎日新聞
音声・画像を合成したり、AI(人工知能)を使って偽(にせ)音声・画像を作り出す「フェイク画像」。最近では、有名人の画像を加工した「なりすまし広告」で投資や副業を紹介(しょうかい)し「簡単にもうかる」とうたった詐欺被害(さぎひがい)が未成年でも起きている。過去には、災害時に被害(ひがい)の状況(じょ

欧州委員会が、Xの認証マークはEUの法律違反の見解を発表

EUの執行機関EC・欧州委員会は、​X(旧Twitter)の青の認証マークはユーザーに悪影響を与えており、EUのデジタルサービス法(DSA)に違反するという見解を発表しました。

Press corner
Highlights, press releases and speeches

イーロン・マスク氏は法廷で闘うと表明

Xを所有するイーロン・マスク氏は欧州委員会の見解に対して「法廷での公開の闘いを楽しみにしている」とXに投稿しました。

X認証マーク “EUの法律に違反” 暫定的見解 ヨーロッパ委員会 | NHK
【NHK】大手IT企業への規制を強めているEU=ヨーロッパ連合の執行機関、ヨーロッパ委員会は、旧ツイッターのXの青い認証マークにつ…

情報操作・サイバー犯罪と「ドッペルゲンガー」

世界に影響工作を仕掛けるロシア系のネットワーク「ドッペルゲンガー」に関するフランスの新聞社ルモンドの記事です。

Comment un même écosystème nourrit campagnes de désinformation et cybercriminalité
Un nouveau rapport se penche sur l’utilisation par Doppelganger, une vaste campagne de désinformation russe, de services également appréciés des groupes cybercriminels.

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斎藤知事は「全国知事会議」の出席率36%? 2つの会議を混同【ファクトチェック】

斎藤知事は「全国知事会議」の出席率36%? 2つの会議を混同【ファクトチェック】

兵庫県の斎藤元彦知事が、百条委員会の尋問を欠席して政府主催の全国知事会議に出席すると報じられました。この件について「斎藤知事のこれまでの全国知事会議出席率=36%」という主張が拡散しましたが、誤りです。全国の知事が集まる会議には、斎藤知事が今回出席する政府主催の「全国都道府県知事会議」と、全国知事会が主催する「全国知事会議」があり、拡散した表は全国知事会主催の出欠です。斎藤知事1期目の全国都道府県知事会議への出席率は約7割です。 検証対象 2024年11月19日、「斎藤知事のこれまでの全国知事会議出席率=36%」という投稿が拡散した。投稿には「全国知事会議 知事出席状況」という表が添付され、斎藤知事は1期目の2021年8月30日から2024年8月2日までの11回中4回出席(出席率36%)したことになっている。 投稿は2024年11月22日時点で約6000件のリポストと約230万件のインプレッションを獲得している。 「今まで通り休むべき。百条委員会の方が大切だ」「2期目当選して最初の知事会、最優先に決まってるやろ」と賛否のコメントが付く一方で、「今回は政府主

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「(斎藤知事の)パワハラはなかった」と百条委の委員長が発言? 前後の文脈を無視した切り取り動画【ファクトチェック】

「(斎藤知事の)パワハラはなかった」と百条委の委員長が発言? 前後の文脈を無視した切り取り動画【ファクトチェック】

兵庫県知事選で再選した斎藤元彦知事をめぐって、百条委員会(調査特別委員会)の奥谷謙一委員長が「パワハラはなかった」と発言したという動画付きの言説が拡散しましたが、不正確です。拡散した動画は発言の一部を切り取ったもの。奥谷委員長は拡散した動画の発言後、「厳しい叱責を受けたという人はいたか?」と問われて「整理できていないが、『厳しい叱責を受けたことがある』と答えた人は結構おられたと思う」と説明。パワハラに当たるかどうか評価したいと答えています。 検証対象 2024年11月19日、「奥谷委員長が発言してます。パワハラはなかったと」という言説が拡散した。 添付された25秒間の動画では、奥谷委員長が記者から、この日の証人尋問に呼ばれた6人について「パワハラを受けたという人は何人いるのか」という質問を受け、「私の認識では明確に知事の方からパワハラを受けたという方はいらっしゃらなかった」と答えている。 2024年11月20日現在、この投稿は180件以上リポストされ、表示回数は32万回を超える。投稿について「これが正解」「まだ言うかね」というコメントがつく一方で、「そんな

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アメリカでは帰化して三世代おかないと政治家になれない? 大統領や連邦議会議員に親の国籍は関係ない【ファクトチェック】

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「アメリカでは帰化して三代、間におかないと政治家になれない」という言説が拡散しましたが、誤りです。大統領や連邦議会上下院議員になるために、年齢や在住期間の規定はありますが、親の国籍は関係ありません。また、添付画像は日本に関する「帰化した国会議員」のリストですが、実際に帰化した人物はわずかで、ほとんどが誤ったものです。 検証対象 2024年11月3日、X(旧Twitter)で「米国では帰化してから3代間にないと選挙に出られない、つまり政治家になれない」という言説が拡散した。11月19日現在、230万以上の閲覧と1万件を超えるコメントがついている。 コメントには「日本も規制した方がいいですね」「日本も帰化3世までは立候補出ないようにする必要がある」などと同調する意見が続く一方で、「米国で、流石に三世代はないです。」という指摘もある。 検証過程 大統領と連邦議会上下院議員の資格要件を調べると、合衆国憲法に規定がある。 米国大統領の資格要件 合衆国憲法では、大統領は年齢35歳以上であること、生まれながらのアメリカ国民であること、最低14年間アメリカに居住

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