松山空港「蛇口からみかんジュース」が中国人観光客の影響で撤去? 運営会社が否定【ファクトチェック】
愛媛・松山空港の「蛇口からみかんジュース」が中国人観光客が大容量の水筒で大量に持ち帰ったことが原因で撤去された、との情報が拡散しましたが、誤りです。運営会社は「変わらず販売している」と否定しています。
検証対象
2025年1月26日、「[自民党の宝]/愛媛県の名物!松山空港に設置されていた愛媛みかん🍊オレンジジュースの蛇口飲料機は、中国人観光客が大容量の水筒を持参して大量にジュースを持ち帰ったため、撤去されてしまいました」というXの投稿が拡散した。
この投稿は2025年1月30日現在、320万回以上の閲覧回数と9500件以上のリポストを獲得している。また、この投稿はほぼ同じ内容の中国語で書かれた投稿を引用している。この投稿も344万回以上の閲覧回数となっている。
拡散した投稿をめぐって、愛媛新聞が1月27日に「松山空港みかんジュース蛇口『撤去』はデマ」と報じている。
検証過程
「蛇口からみかんジュース」は現在も稼働
松山空港にある『蛇口からみかんジュース』は、専用カップを購入した客が自分で蛇口をひねってジュースを注ぐ商品だ。空港内のショップ「Orange Bar」にある。
日本ファクトチェックセンター(JFC)が、運営する株式会社修斗に問い合わせたところ、『蛇口からみかんジュース』は撤去されることなく2025年1月28日現在も販売しているという。
拡散した投稿には、水筒などに入れて大量に持ち帰る違反行為があると書かれているが、運営会社は「そういったケースを確認したことはない」と否定した。また、「今のところ、この投稿によって営業に影響が出ているということはないため、この件について何か行動するといった予定もない」と回答した。
松山空港「蛇口からみかんジュース」は2008年から
松山空港の「蛇口からみかんジュース」は2008年にはじまった。柑橘類が特産の愛媛県では、1975年頃から蛇口を捻るとみかんジュースが出るという都市伝説があり、それに応えて設置されたという。
国立国会図書館レファレンス協同データベースによると、2008年6月から月に一回のイベントで無料サービスが始まり、2017年7月からは常設で有料のサービスになったという。
経緯は以下の通り(ラジオ関西、えひめ飲料、国立国会図書館レファレンス協同データベース)。
判定
松山空港の「蛇口からみかんジュース」は現在も販売を続けている。したがって、「松山空港のオレンジジュースの蛇口飲料機は、中国人観光客が大量に持ち帰った影響で撤去」は誤り。
検証:リサーチチーム
編集:宮本聖二、藤森かもめ、野上英文、古田大輔
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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