新小学一年生のなりたい職業1位は殺し屋とホロライブ? 画像は改変されている【ファクトチェック】

新小学一年生のなりたい職業1位は殺し屋とホロライブ? 画像は改変されている【ファクトチェック】

新小学一年生のなりたい職業について、男子1位が「殺し屋」、女子1位が「ホロライブ」というランキング画像が拡散しましたが、誤りです。拡散したのはいわゆるコラージュ画像で、本来の男子1位は「警察官」、女子は「ケーキ屋・パン屋」でした。

検証対象

2024年9月17日、「終わりだろ」という文言とともに新小学一年生のなりたい職業について、男子の1位が「殺し屋」で2位が「プーチン」、女子の1位が「ホロライブ」で2位が「トランプの妻」という画像が拡散した。

2024年9月19日現在、この投稿は1万回以上リポストされ、表示回数は780万回を超える。投稿について「今の小1はヤバい」「がちのやつ?」というコメントの一方で「冗談だとは分かっている」という指摘もある。

検証過程

画像はどこが作成したのかを調べるため「新小1 なりたい職業は?」でGoolge検索したところ、テレビ東京のYouTubeチャンネル「テレ東BIZ」の動画「コロナの影響も? 新小学1年生 就きたい職業ランキング クラレ調査(2021年4月2日)」が見つかる。

拡散した動画と比べると、男女ともに1~3位の職業以外は、職業もパーセンテージも完全に一致している。

判定

拡散した画像は2021年の「新小学1年生 就きたい職業ランキング」の項目を書き換えたものだ。よって誤りと判定する。

あとがき

明らかなコラージュ画像でも、拡散が広がることで信じてしまう人が増えてしまいます。日本ファクトチェックセンター(JFC)では、画像検索を使った偽画像の見分け方を紹介しています。

偽画像をファクトチェック GoogleレンズやTinEyeの使い方【JFC講座 実践編3】
日本ファクトチェックセンター(JFC)のファクトチェック講座です。 実践編第2回は、検証の最大の武器である「検索」についてでした。第3回は偽・誤情報でよく見かける画像の検証についてです。 (本編は動画でご覧ください。この記事は概要をまとめています) 画像検証で重要なのはオリジナル探し 画像を使った偽・誤情報で多いのは、例えば、過去の画像を現在のものとして使ったり、オリジナルを改変したりする事例です。 そこで重要になるのが、検証したい画像と似ている画像を探す「画像検索」です。簡単なツールを知っているだけで、オリジナル画像を効率的に探すことができます。 JFCとGLOCOMが実施した2万人調査では、画像検索をする人は偽情報に気づきやすく、拡散しにくいことがわかりましたが、実践している人はわずか6.7%。画像検索を知らない人が多いのが現状です。 Google画像検索の使い方 まずは最も手軽に使えて強力なGoogle画像検索を説明します。実際の検証記事をもとに説明します。 反原発デモの空撮、報道されなかった?別のデモの写真【ファクトチェック】「反原発デ

検証:リサーチチーム
編集:古田大輔

判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

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日本ファクトチェックセンター(JFC)は、YouTubeで学ぶ「JFCファクトチェック講座」を公開しました。誰でも無料で視聴可能で、広がる偽・誤情報に対して自分で実践できるファクトチェックやメディアリテラシーの知識を学ぶことができます。 理論編と実践編の中身 理論編では、偽・誤情報の日本での影響を調べた2万人調査の紹介や、間違った情報を信じてしまう背景にある人間のバイアス、大規模に拡散するSNSアルゴリズムなどを解説しています。 実践編では、画像や動画や生成AIなど、偽・誤情報をどのように検証したら良いかをJFCが検証してきた事例から具体的に学びます。 JFCファクトチェッカー認定試験を開始 2024年7月29日から、これらの内容について習熟度を確認するJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。誰でもいつでも受験可能です(2024年度中は受験料1000円、2025年度から2000円)。 合格者には様々な技能をデジタル証明するオープンバッジ・ネットワークを活用して、JFCファクトチェッカーの認定証を発行します。 JFCファクトチェッカー認定試験

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兵庫・迎山県議 「私を批判すれば国民にツケが回る」と発言? コメントを歪曲【ファクトチェック】

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By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
「USAIDが日本メディアを操作」 デマ拡散の背景にある報道不信

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By 古田大輔(Daisuke Furuta)
兵庫・百条委員会が議事録をすべて破棄? 県議会サイトで公開【ファクトチェック】(追記あり)

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放射線育種米に注意? あきたこまちRへの誤解【ファクトチェック】

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新品種のコメ「あきたこまちR」が「放射線育種米なので注意」という主張が拡散していますが、誤りです。コシヒカリの種子に放射線を照射した品種を使うもので、生育中の水稲や収穫後のコメに直接放射線を照射するものではありません。 検証対象 2025年2月19日、「放射線米 ご注意してね!!」というキャプションと共に「2025年から兵庫県と秋田県では『あきたこまち』と『コシヒカリ』が『放射線育種米』に切り替えられることが確定しました。この放射線米が本気で異常」という画像がついた投稿が拡散した。 この投稿には2300を超すリポストと45万以上の閲覧があり、「とうとう来たか…これ一昨年から言われてたよね 酷すぎる」「秋田知事が強引に進めてる それこそが危険なのだ」というコメントのほか「放射線育種なんて昔からある技術だし、おそらく大多数の日本人は食べたことがあると思う」と指摘する人もいる。 「あきたこまちR」が危険だという情報は、これまでに多数拡散している(例1、例2)。 検証過程 あきたこまちRとは 日本ファクトチェックセンター(JFC)は、秋田県水田総合利用課

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