(動画)Zマークを車につけているロシア人をカザフスタン人が歓迎している?【ファクトチェック】
「Zマークを車につけているロシア人を、カザフスタン人が『歓迎』している」という文言とともに、ウクライナ侵攻をめぐってロシア人が責められているように見える動画が拡散しています。しかし実際には、カザフスタンの最大都市アルマトイで、駐車料金をめぐって起きたトラブルの動画です。
検証対象
2022年11月2日、Twitterで「Zマークを車につけているロシア人を『歓迎』しているカザフスタン人」などと記した動画付きのツイートが拡散した。動画は、車内から窓の外の様子を撮影したと見られ、複数の男性が、車の窓や車体を拳や腕でたたいている。撮影者とみられる女性の悲鳴も入っている。ツイートを投稿したナザレンコ・アンドリーさんは「侵略戦争を支持している虐殺加担者に地球上居場所がない」とコメントしている。
リプライやリツイートには、「ここまで嫌われてるとは全く想像できていなかったように見えます」や「なぜつけたのか...Zマークを...」というコメントがある。一方で、「ウクライナ危機とは無関係な映像です。騙されないようにしましょう」と、この動画に関する記事を共有するアカウントも見られた。
検証過程
Google Chromeの拡張機能InVIDのVideo analysisで調べたところ、検証ツイートのリプライ欄に検証対象の動画を紹介するニュースサイトの記事があった。動画には、アルマトイの商業施設の駐車場で、駐車場係員と運転手が料金の支払いをめぐってもめている様子が映っている。車体にZマークがついている箇所は確認できない。
この動画のYoutubeへの投稿は2021年3月30日で、2022年2月に始まったウクライナ侵攻とは関係ないことがわかる。会話の内容も料金の支払いに関するもので、ウクライナ侵攻とは関係がない。
カザフスタンの別のニュースサイトでも、2021年3月に、このトラブルをめぐる記事が配信されている。
判定
以上のことから、動画は2021年3月にカザフスタンで起きたトラブルを映したもので、2022年2月に始まったウクライナ侵攻とは関係なく、「Zマークを車につけているロシア人を『歓迎』しているカザフスタン人の動画」という投稿は誤り。
あとがき
外国語の動画に、実際とは異なる文章を付けて誤った印象を与える誤情報、偽情報は多く存在します。注意が必要なケースの一つです。
検証:金子祥子
編集:藤森かもめ、古田大輔
検証手法や判定基準などに関する解説は、JFCサイトのファクトチェック指針をご参照ください。
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