ジョー・バイデン死去?史上最高齢の米大統領、死去情報は繰り返し拡散【ファクトチェック】
「アメリカ大統領のジョー・バイデン氏が7/1に心臓発作で亡くなった」とする言説が拡散しましたが、誤りです。7月2日以降も様々な場所に姿を見せています。80歳と史上最高齢の米大統領でもあり、死亡したという情報は繰り返し拡散していますが、事実であれば主要メディアが一斉に報じるのは間違いありません。
検証対象
2023年7月3日、「バイデンは7/1(土)重度の心臓発作で亡くなりました」というツイートが、バイデン氏の写真と共に拡散した。7月14日時点で、ツイートは、190万件を超える表示回数と2300件を超えるリツイートを獲得している。
返信欄には「大往生じゃん!!」などと同調する声の一方で、「何故かニュースにならん!」という指摘や、「デマ??本当に??」と真偽を怪しむ声も見られた。
ツイッターでユーザーが情報を付加するコミュニティノートでは、以下のように指摘されている。
バイデン大統領が亡くなっているという情報は信憑性がかなり低く、デマである可能性があります。 7月1日にはバイデン大統領は政権の学生債務救済プログラム に関する最高裁判所の決定についての会見をYouTubeで配信しています。 また、バイデン大統領が亡くなったのであれば予定が全てキャンセルされて大騒ぎになるはずですが、ホワイトハウスは昨日バイデン大統領が英国、フィンランドを訪問した後リトアニアの首都で行われるNATO首脳会議に出席する事を公表しています。
検証過程
バイデン氏の活動はFacebook(Joe Biden)やTwitter(@POTUS)などのSNSアカウントや、米国ホワイトハウスの公式Fecebookアカウントから確認できる。
7/4の独立記念日に、バイデン氏は米国陸軍の兵士と対面した際の写真をFacebookに投稿し、「私たちは、わが国と世界の民主主義を守る人々に、常に恩を感じている」と記した。
ホワイトハウスの公式Fecebookでも、7/4に彼が、彼の妻であるジル・バイデン氏とホワイトハウスから花火を見ている画像がある。
Twitterでは、米国時間の7/5(日本時間の7/6)に、ホワイトハウスでスウェーデン首相と対談した際の写真が投稿された。「今日、私たちはスウェーデンのNATO加盟への支持を再確認した」などと記している。NHKも同様の内容を報道した。
リトアニアであったNATO首脳会議の合間には、12日にウクライナのゼレンスキー大統領と首脳会談を開いたとロイター通信が報じるなど、世界中のメディアが最近の動向を確認。NATO首脳会談の閉幕に合わせたバイデン氏の出席の様子も写真付きでツイートされている。
このように7/1以降も彼が活動する様子が、様々なSNSやメディアから確認できる。そもそも検証対象のツイートではバイデン氏死亡に関する一切の情報源が示されていない。また、ホワイトハウスの公式ホームページでも、彼が死亡したという情報は公開されてない。
80歳で米国史上最高齢の大統領として健康面が不安視もされるバイデン氏について「死亡した」という情報はこれまでもネット上で繰り返し拡散している。いずれも誤りであるというファクトチェック記事が様々な団体から発表されている。
アメリカのファクトチェック団体PolitiFactは2022年5月、「バラクオバマがジョー・バイデンの死を知らせた」という言説は、誤りであると指摘した。またアメリカのファクトチェック団体Snopesは、「ホワイトハウスからバイデン氏の死体が運ばれた」という言説を否定する記事を2023年7月に公開している。
さらに、2022年9月にはUSAトゥデーがファクトチェック記事を配信し、「バイデン氏は4年前に亡くなり、双子がその代わりになった」という言説を流布する動画は誤りであると指摘している。
バイデン氏が死亡したという言説はインターネット上で繰り返し拡散されているが、いずれの言説も明確に否定されている。
判定
7/1以降にも、NATO首脳会談やスウェーデン首相との会談の写真、独立記念日で兵士と対面した写真が彼の動静を伝える公式SNSアカウントや報道から確認できた。「アメリカ大統領のジョー・バイデン氏が7/1に心臓発作で亡くなった」は誤り。
あとがき
バイデン大統領に限らず、著名人が死亡したという偽情報の事例は大量にあります。関係機関や主なメディアが報じていない場合、事実ではない可能性が非常に高いので発信元や情報源を確認し、むやみにシェアしないようにしましょう。
検証:鈴木刀磨
編集:古田大輔、藤森かもめ、野上英文
検証手法や判定基準などに関する解説は、JFCサイトのファクトチェック指針をご参照ください。
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