アメリカ大統領選のシステムでトランプ氏に期日前投票できない? 共和党側も否定【ファクトチェック】
米大統領選の期日前投票をめぐって、投票機でトランプ氏への投票が選択できないという言説が動画と共に拡散しましたが、不正確です。投票所のある州当局などが確認、共和党側も不正を否定しています。
検証対象
米大統領選の期日前投票で、トランプ氏に投票しようとしてもシステム上できなくなっている不正選挙だという動画が拡散した。
Xに投稿されたもので「選挙妨害:ケンタッキーの有権者が投票機でトランプ氏が選択できないと報告、何度か試したらハリス氏が選択された」という文言とともに、トランプ氏に投票しようとしても画面が反応しない様子が映っている。
11月5日現在、320万を超す閲覧回数と2600件のリポストがある。
日本でも引用リポストされており、リプライ欄では「犯罪じゃないか」「懲りないね、アメリカの不正選挙」といったコメントのほか「この一事象だけをもって結論は出せないよ」という指摘もついている。
この動画は、TikTokなどでも拡散している。
検証過程
ケンタッキー州当局が確認
拡散した動画について、現場のケンタッキー州ローレル郡当局は「州司法長官室担当者が来て、何度か試したところ同じ現象が確認できた」と動画をつけて投稿した。
また、ケンタッキー州司法長官室は「郡書記局に対して投票機を交換するように勧告した」とXのアカウントで投稿した。
つまり、投票機になんらかの不具合があった可能性があるのは事実だ。
共和党も不正ではないことを確認
共和党の政治家でケンタッキー州のマイケル・アダムズ州務長官は「票のすり替えはない。その投票者は自分の選んだ候補者が正しく投票用紙に印刷されていることを確認した。選挙に関する情報は、TikTokや質の低い情報源ではなく適切な情報源から入手しよう」と投稿した。
ララ・トランプ共和党全国委員会共同議長は、この件について「ケンタッキー州で機械の故障でトランプ氏が選択できなかったという報告を受けてすぐに法務チームが調査した。選挙当局に直接聞いたところ、その機器を分離してテストしたところ、投票者が適切に投票できることを確認した」と投稿している。
メディア各社が検証
アメリカの複数のメディアがこの出来事を検証している。オレゴン州ポートランドのテレビ局KGW8はケンタッキー州ローレル郡書記局をはじめ関係機関を取材した結果、動画の現象は起きたが、動画の投票者は正しく投票を終えることができたと確認している(KGW8)。
米ABCニュースもケンタッキー州当局が否定したことを報じている(ABC)。
判定
米大統領選の投票をめぐって、投票機でトランプ氏への投票が選択できないという言説が、動画と共に拡散したが、不正確。投票所のあるケンタッキー州ローレル郡の担当者や州当局、共和党関係者が否定しており、アメリカのメディアも検証している。
検証:宮本聖二
編集:古田大輔
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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