海外で永住権をとった若者は1年間で57万人?【ファクトチェック】
「海外で永住権をとった若者は1年間で57万人」という言説が拡散しましたが、誤りです。2023年10月1日現在、日本国外にいる永住者は57万4727人で、2022年に比べて1万7693人増えました。
検証対象
2024年3月27日、「海外で永住権を取った若者が1年間で57万人か」というポストが拡散した。このポストは4月4日現在、15.9万回以上の表示回数と400件以上のリポストを獲得している。
3月28日、当該ポストを投稿したアカウントは「訂正 海外に永住権を持つ日本国籍保持者の数が57万人になった という事らしいです」と、複数回、投稿を訂正している(投稿1、投稿2)。しかし、これらの投稿の表示回数はいずれも900回ほどで、リポストも数件にとどまっている。
検証過程
日本国外に居住している日本人(在留邦人)の統計は、外務省が毎年10月1日に「海外在留邦人数調査統計」を公表している。在留邦人は、「長期滞在者」と「永住者」の2つに分けられる。外務省によると、永住者は、在留している国などから永住権が認められ、日本から海外に生活拠点を移した日本人。長期滞在者は3ヶ月以上の海外在留者のうち、海外での生活は一時的なもので、いずれ日本に戻るつもりの邦人だという。
2023年10月に公表された最新版の「海外在留邦人数調査統計(2023年版)」によると、在留邦人の総数は129万3565人で、そのうち永住者は57万4727人だった。
統計によると、永住者の数は2022年の統計に比べて1万7693人増えている。なお、この統計には年齢区分がないため「若者」の数は明らかではない。
判定
日本国外に居住している「永住者」の総数は57万4727人(2023年10月時点)で、1年間に57万人の永住者が増えたわけではない。したがって、「海外で永住権をとった若者は1年間で57万人」は誤り。
検証:高橋篤史、木山竣策
編集:宮本聖二、藤森かもめ
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